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ABCマート 違法長時間労働の疑いで書類送検
7月2日 16時50分

ABCマート 違法長時間労働の疑いで書類送検
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全国に展開する靴の販売店、ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京労働局は2日、労働基準法違反の疑いで運営会社を書類送検しました。
いわゆるブラック企業対策のためことし4月に発足した過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」が送検を行った初めてのケースになります。
書類送検されたのは東京・渋谷にある靴の販売チェーンの運営会社、「エービーシー・マート」と51歳の労務担当の役員、それに東京・池袋と原宿の店舗の責任者です。
東京労働局によりますと、「エービーシー・マート」は池袋にある店で残業をさせるのに必要な労使協定を結ばずに、2人の従業員に、去年4月からの1か月でいずれも100時間前後の違法な残業をさせていたほか、原宿の店でも2人の従業員に労使協定の取り決めを大幅に超える違法な残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いが持たれています。
別の複数の店舗でも過去に労働局から是正勧告などを受けていましたが、東京労働局が2つの店舗を立ち入り調査したところ、改善が進んでいなかったため運営会社や担当役員の書類送検に踏み切ったということです。
エービーシー・マートは全国に靴の販売店およそ800店を展開し、グループの売り上げは年間2000億円を超えるということです。
今回の件について、「誠に遺憾で、皆様に多大なご心配をおかけしたことを深くおわびします」としたうえで、「すでに違法な長時間労働は解消し、再発防止のための措置を講じています。今後もコンプライアンス順守に全力で取り組んでいきます」などとコメントしました。
厚生労働省は、いわゆるブラック企業対策として影響の大きい大企業を調査するためことし4月、東京労働局と大阪労働局に過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」を設置しましたが、今回が書類送検を行った初めてのケースになります。

問題とされた長時間労働は

東京労働局によりますと、池袋と原宿の2つの店舗では違法な残業があったとされる4人以外にも多くの従業員が残業が月100時間を超えるような長時間労働を行っていたということです。
それぞれの店舗では少しでも売り上げを伸ばそうと、店の営業が終わったあと、従業員が残業をして売れ筋の商品を目立つ場所に並べ替えるなど頻繁にレイアウトの変更をしていたため長時間労働になっていたということです。
さらに、ABCマートのほかの複数の店舗も同じような違法な残業があったとして、過去に労働局から是正勧告を受けていました。
しかし、運営会社の担当部署では、問題を認識しながら、去年、東京労働局の指摘を受けるまで残業を減らすなどの具体的な対応は取っていなかったということです。
このため、東京労働局は組織全体の構造的な問題があったとして運営会社や担当役員の書類送検に踏み切りました。

弁護団「長時間労働防ぐ法整備が必要」

今回、全国展開するチェーンの運営会社が書類送検されたことについて「ブラック企業被害対策弁護団」の事務局長、戸舘圭之弁護士は「大手チェーンの場合、1店舗だけ違法な働かせ方をしているとは考えられないので、労働局が本社や本店も含めて労務管理を正そうという姿勢を見せたことは評価できる」としています。そのうえで「今回のケースは、ほかの会社も襟を正すきっかけにしてほしいが、そもそも長時間労働を防ぐような法律を整備することが必要だ」と指摘しています。

厚労省の「ブラック企業」対策は

いわゆる「ブラック企業」ということばは、10年ほど前から若者を中心に使われるようになり、厚生労働省もその対策の一環として省を挙げて長時間労働の抑制に取り組んできました。
ことし5月には全国に展開する大企業で違法に月100時間を超える残業が行われ、3か所以上の支店や営業所が労働局から是正勧告を受けた場合、企業名を公表することを決めました。さらに悪質なケースについては刑事事件として書類送検する方針を示していました。

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