7人が死亡、3人が重傷を負った広島県福山市の「ホテルプリンス」の火災で、市は15日、防火面で不備があり、ホテルの建物が遅くとも1987年から建築基準法に違反している状態だったと発表した。「是正指導していれば被害を防げた」とし、25年間改善させることができなかった落ち度を認めた。
市などによると、今のホテルの建物のもとになったのは、60年にできた木造2階建てと、隣接地に68年にできた鉄筋4階建て。建築確認申請が出された時点ではいずれも、当時の基準には適合していたという。
市の説明では74年、木造と鉄筋をつなげて使っているという報告がホテル側からあった。これが増築にあたれば新たに確認申請が必要だが、市は「両方の建物の間に防火扉を設けるなどしており、別棟と見なせる」とし、法的問題はないと判断したという。
だが、87年に市が査察に行った際、木造1階部分が駐車場になり、木造1階から2階に上がる階段が撤去されていたことが判明。大規模な模様替えにあたり、確認申請が必要だった。しかし、ホテル側はこの時も申請しなかったため、建築基準法違反になるという。