熊本県合志市の国立ハンセン病療養所菊池恵楓園に1日、熊本市のNPO法人が運営する保育所「かえでの森こども園」が開園した。ハンセン病問題基本法(2009年4月施行)に基づく地域開放の一環で、基本法を受けて保育所が設置されるのは全国13療養所で初めて。入所者と地域住民の交流促進や、根強い偏見・差別の解消につなげる狙いがある。
公募で選ばれたNPO法人「ひと・学び支援センター熊本」が運営。旧付属看護学校の校舎(425平方メートル)を改装し、保育室や入所者との交流などに使う多目的室を設けた。松崎景子園長(58)のほか保育士4人と事務職2人、調理師1人がいる。0-6歳児の定員は36人で、この日は11人が入園した。
入園式などはなかったが、恵楓園の入所者自治会役員らが訪れて祝福した。自治会の志村康副会長(79)は「療養所では断種や堕胎を強制されて子供を持てなかった人が多い。子供たちの元気な声が聞こえるのはうれしい」と喜び、松崎園長は「子供たちを通して入所者と地域の交流の手伝いをしたい」と話した。
恵楓園には361人の入所者がおり、平均年齢は80・6歳と高齢化が進んでいる。
=2012/02/01付 西日本新聞夕刊=