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最終更新:2010年11月9日(火) 0時53分

日中の尖閣問題で問われる日米同盟

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 7日に開幕したAPEC(アジア太平洋経済協力会議)。日本の外交力が試されています。8日、中国の胡錦濤主席の会議出席が発表されましたが、注目の日中首脳会談については予定はないとしています。日中関係にスポットが当たる中、その影で影響を受けているのが「日米同盟」です。

 今年9月、尖閣諸島沖での衝突事件後初となった日米外相会談。この場で、アメリカのクリントン国務長官は「尖閣諸島は日米安保条約の適用対象」と強調しました。

 「この時期に日米同盟の観点から極めて適切な発言をしていただいたと高く評価したい」(北澤俊美防衛大臣)

 手放しで感謝の意を示す菅内閣の閣僚たち。ただ、日米外交に関わる政治家や官僚たちは「これでアメリカは日本に応分の負担を求めてくる」とも感じていました。

 尖閣を含む離島での有事の際、どう対処するのでしょうか。中国を刺激することを恐れ、かん口令こそ布かれているものの、防衛省の内部では図上での想定を積み重ねてきました。まず、沖縄那覇の基地から戦闘機が駆けつけ、長崎佐世保から離島への上陸作戦を得意とする部隊がヘリで展開するといいます。

 さらに・・・

 「S諸島をめぐって領有権を主張しているC国の空軍が、尖閣諸島周辺の制空権を確保しようと活動を開始した」

 先月上旬に航空自衛隊が単独で行った訓練は、こんな想定で実施されていたことがJNNの取材で明らかになりました。S諸島が尖閣、C国が中国であることは暗黙の了解となっています。

 ただ、こうした有事の際、アメリカ軍は日本のためにどう動くのでしょうか。そこはまだはっきりしていません。

 「島しょ防衛も含めて、日本防衛の日米の協力関係がまだ不十分である」(民主党・長島昭久前防衛政務官)

 必要性を感じつつも、日米対処方針の詳細が決まらない背景。それは、アメリカ側が日本に暗に求めている予算措置や人的支援といった負担に日本側が答えていないことがあるとみられています。例えば、在日アメリカ軍の経費である「思いやり予算」。総額をほぼ維持したい日本側と増額にこだわるアメリカ側との間で協議はまとまっていません。

 「(日米)共同宣言という形になる・ならないを含めて、中身を詰めている段階であります」(菅直人総理大臣〔先月25日〕)

 結果、APEC期間中に行われる日米首脳会談では安全保障に関する共同宣言も共同声明も見送られる見通しです。これで有事への備えは本当に大丈夫なのでしょうか。

 「日米同盟につきあうアメリカ側の熱意が薄れている。$3$s$J$3$H$G$$$$$N$+!W!J@/I\4X78
 「(日米)同盟深化の過程で分かってきたことは日本側の努力・コミットメント(関与)が非常に希薄であるということだと思います」(民主党・長島昭久前防衛政務官)

 中国の存在によって否が応にも求められることになった日米同盟の深化。しかし、そのお題目と実態があまりに乖離(かいり)しているのではないかと、実務を担当する官僚たちは思い悩んでいます。(08日23:22)

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