県内の22病院が2005年4月以降、医師不足などを理由に35診療科を休廃止したことが18日、県衛生部の調べで分かった。このうち産科・産婦人科が11を占め、小児科も4診療科がなくなった。患者の受け入れ制限など縮小も8診療科あり、計27病院が休廃止や縮小を実施。今後休止などを予定する病院も複数あり、県内の勤務医不足は深刻さを増している。
県が9月下旬時点で、各保健所を通じまとめた。調査対象は病院のみで診療所は含まない。
休廃止された診療科は、ほかに整形外科が3、麻酔科、眼科、循環器科がそれぞれ2−など。年度別では、05年度が9病院・17診療科、06年度は6病院・8診療科だったのに対し、本年度は諏訪中央病院(茅野市)、国立病院機構松本病院(松本市)がともに産科を休止するなど、4月以降の半年で8病院・10診療科に上っている(1病院は06、07年度に実施)。
休廃止や縮小を行った27病院を開設者ごとにみると、県や市町村、一部事務組合などが運営する自治体病院が8病院で最も多い。次いで医療法人が7、県厚生連が5、日本赤十字社が4などとなっている。地域別では中信8、東信7、南信と北信各6と全域に及んでいる。
県内ではこのほか、昭和伊南総合病院(駒ケ根市)と県立須坂病院(須坂市)が来年4月から出産の扱いを休止する方針。市立大町総合病院(大町市)も内科の規模縮小を決めている。
産科医や小児科医の不足をめぐっては、県の検討会が3月、広域圏ごとの医師の重点配置を提言。医師を重点的に配置すべき「連携強化病院」として産科9病院、小児科10病院を選定した。提言を受け県は本年度、10広域圏ごとに医療関係者や市町村などでつくる地域医療検討会を設置し、対応策の具体化を検討している。