最先端テクノロジー、どんどん実用化してます。その中でもカスタマーサポートや自動接客、社内問い合わせなど多くの場面で活躍しているのがチャットボット。
ただ、ほとんどのチャットボット系サービスって実は“人工無脳型”なんです。つまり自然言語解析技術とかは使ってない。
というのも、自然言語解析技術を使った人工知能型チャットボットを実際のサービスの中で開発・運用するのがまだまだ難しいからなんですね。
そんな中、人工知能型チャットボットを実用、かつ利便性やサービス向上の部分で結果も出しているのが「鎌倉 NAVITIME Travel」。
まだまだ事例が少ないチャットボットを導入・運用するにあたっての課題やAI活用のリアルな話を、ナビタイムジャパンに聞いてきました。
お話を伺う前に、まずは「鎌倉 NAVITIME Travel」がどんなサービスで、どの部分でチャットボットが活躍しているのか紹介させてください。
「鎌倉 NAVITIME Travel」は名前の通り、鎌倉を訪れる旅行者をターゲットとした、鎌倉の観光・グルメ・お土産・宿泊施設などの情報、オリジナル記事を配信するアプリ。
チャットボットはスポット検索などで活躍していて、自然な会話のやりとりから飲食店や観光スポットなんかを教えてくれます。
使ってみると、こんな感じ。
チャットUIってやっぱり楽でいいですね。そしてちゃんとスポットを紹介してくれました!
(これはほんの一部の機能ですが)
ちなみにこのチャットボットは自然言語解析サービス「LUIS」を採用しています。
LUISを採用しているチャットボットって意外と少ないんです。
ということで、そのあたり含めさっそくお話を伺います。今回お話をしてくれるのはナビタイムジャパンの毛塚大輔さん。
毛塚さん、よろしくお願いします!
―やはり1番気になるところなので単刀直入でお聞きしますが、チャットボットを採用した理由を教えてください
(参考:https://www.luis.ai/home/index)
チャットUI、ユーザーにとってもメリットが多くて本当に楽なので、一般化の流れは非常に嬉しいですね。
まずLINEやFacebookメッセンジャーなど、既存のプラットフォームなら登録する必要はありませんし、普通に会話している感覚で使えるし、何より使い方覚えなくていいし、本当にメリットしかありません。
実際にチャットボットを導入しようとしたきっかけが気になるところですが……
ただチャットボットなら正式名称でなくても、チャットで対話しながら簡単に探すことができるのです。そしてチャットUIは外国の方も使い慣れています。
なるほど。観光に限らず情報を検索するって意外と難しいし、面倒な点もありますよね。ただチャットボットならピンポイントの情報を簡単に引っ張ってこれる。
つまり、チャットボットの質問に答えて、分岐していくと自然と探しているものにたどり着く……そんな感じでしょうか。そのフローを、より簡単でストレスなくユーザーに提供するには、今のところチャットボットが最適ですよね。
そこで、MicrosoftのLUISを採用したのです。
数あるプラットフォームの中から、LUISを選んだのは、抽出精度の高さ、再学習の容易さなどの条件が良かったことが決め手になったんだとか。加えて、APIも整備されていて開発コストも低いことも後押ししたそうです。
すでにあるプラットフォームを実際のビジネスで使った事例って、意外に少ない気がします。どうやってサービスまで載せていったのか、引き続き聞いていきます!
―技術の話がでましたが、LUISでチャットボットを開発・運用するにあたって何が大変だったのでしょうか
同じくLUISを活用しているLINE向けに提供している乗換サービスでは、弊社の既存ロジックで対応する処理を追加しています。AIが得意なところはLUISにおまかせして、そうでないところは自社技術の強みを活かすという使い分けがいまのところベストプラクティスです。
なるほど……。単に外部サービスを使うだけでサービスを作れるほど簡単ではないですよね。
となると開発期間などすごくかかってそうですが、意外にも開発からリリースまでにかかった期間は2ヶ月程度。
さらにベース部分に関しては、MicrosoftのHackfestという共同開発プログラムを通して、数日程度で完成したんだそう。
このスピード感。いち早くAI分野の研究開発を進められてきたことからも、納得できます。
技術的な観点でお話しを聞かせてもらい、やはり提供されているAIの技術だけでサービスを成り立たせるのはまだまだ難しい、というのは分かったのですが、AIの技術をどう効果的に使うかっていうのが肝になってくるような感じも受けました。
結果的にみると、その組み合わせがサービスの強みになり、そうすることで利用者のニーズを満たす、より便利で快適なサービスを開発することが可能になります。
AIの技術と、自社の技術、結局はバランス。
NAVITIME Travelはユーザーへ届ける価値を中心にそえた、自社技術とAI技術のコラボレーションの結晶なんですね。
そのあたり含め、効果的にAI活用してきた実績があるからこその知見……いやー、説得力があります。。
―サービス内で柔軟にAIなどの最先端テクノロジーを使われているようですが、御社ではAI活用をどのように捉えているんでしょうか
(参考:http://bot.navitime.co.jp/)
ここまでお話しさせていただいて、とにかくユーザーにフォーカスしてサービス設計も開発も進めてきているのを、すごく感じています。
現在のサービスを向上させる手段がたまたまAIの技術だった、ということですよね。
となると、実際にチャットボットを導入した後のユーザーの行動や反応が気になるところ。
実はかなり多くの人に使われていて、チャットボットはアプリ内のトップページの次に多く使われている機能です。
入力されるワードも“食べ歩き”や“体を動かせる場所”、“海に行きたい”など体験したいことを意図するワードが多くて、とても自然に使われています。
トップページの次に多く使われているとは……。やはりチャットUIがユーザーにとってかなり使いやすいっていう証拠ですよね。
そして使いやすいとはつまり、どれだけ自然に使われているか、ストレスがないかってことに繋がってきますし、チャットボットを通してしっかりとユーザーに想定していた価値を届けられてるのは素晴らしいです。
その機能に関しては2017年5月にリリースした東京版の観光ガイドアプリ「東京 NAVITIME Travel」でお使えいただけます。
概要としてはチャットボットに送信された画像から「建物」「食べ物」の名称などに関連するキーワードを抽出し、スポットの名称や詳細情報を教えてくれる仕組みになっています。
それは、すごい。。。!
SNSに投稿された画像などを送信するだけで、目的地や情報が知れちゃう。近未来感すごいですね。
この画像検索機能にもMicrosoftの「Bing Image Search API」の類似画像検索機能と自社開発の固有表現抽出エンジン、そして先日USで開催されたMicrosoft のbuild 2017で発表されたばかりの「Custom Vision」を組み合わせて実現しているとのこと。
ここまで積極的にAIを取り入れている企業も珍しいですよね。
んー、ナビタイムさんすごい。
常に利用者にとって、より便利にお出かけを楽しんでいただける方法を模索し、反映することで、さらなるサービスの向上を目指していきます。
他社が提供しているAI技術やツールを使うだけではなく、利用者により最適化するために自社開発も惜しまず、常に利用者のことを考え続けて、その結果として必要な技術を使う。まさに本質的です。
サービス自体もユーザーに対する姿勢も見習わせていただくことが盛りだくさんでした。
そしてチャットボット、もうごくごく普通に使われているんですね。
普通に使われ続けることで、ますます精度が増し、データも増えるので今後が楽しみで仕方ないです!
毛塚さん、お忙しい中ありがとうございました!
NAVITIMEトラベルを使ってチャットボットの便利さを知りたい方は使ってみてください!
※現時点でチャットボット・画像検索機能は、iOS版にのみ対応。Android 版にも今後対応予定とのこと。