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経産省が「日米韓連合」検討 構図複雑に

東芝本社=東京都港区芝浦で、本社ヘリから
東芝の半導体メモリー事業を巡る構図

 東芝が進める半導体メモリー事業の売却を巡り、所管する経済産業省が、韓国の半導体大手SKハイニックスと米ファンドのベインキャピタルの陣営に、官民ファンドの産業革新機構を加えた「日米韓連合」を検討し始めた。これまで米半導体大手ウエスタン・デジタル(WD)とブロードコムの2陣営が有力とされてきたが、新たな構想の浮上で、東芝が当初予定していた15日に買い手を絞り込むのは困難な見通しだ。

 陣営関係者によると、日米韓連合には、3社のほかに日本政策投資銀行と日本の複数の事業会社の参加が見込まれ、買収額は2兆円強を想定している。SKハイニックスの出資比率は5割未満に抑え、独占禁止法の審査通過を目指す方針だ。米ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)も参加を検討する。

 これまで革新機構と政投銀は、経産省の意向を受け、KKRと組み、東芝と三重県四日市工場で協業するWDも参加する「日米連合」構築を目指してきた。

 だが、WDはメモリー事業売却に反対して国際仲裁裁判所に申し立てを行い、東芝も対抗措置をとるなど対立が激化。9日にスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来日して東芝の綱川智社長と会談をしたが、平行線に終わった。WDは買収額引き上げや、各国の独占禁止法に抵触しない買収案を再検討しているが、「譲歩案が出てもWDに決めるのは難しいのでは」(政府関係者)との見方が出ている。

 一方、ブロードコムは、半導体の種類が異なることから独禁法の審査が通りやすいとの見方が強いうえ、2兆円超の買収金額を提示していることで東芝や取引銀行内にも「しっかりした提案内容」との評価がある。だが、買収・売却に積極的な経営方針から、経産省内に「転売される可能性がある」との懸念が出ている。買収には台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業も名乗りを上げているが、経産省は中国への技術流出懸念から強く反対している。ブロードコムにも難色を示し始めた結果、「消去法」でSKハイニックスが浮上したようだ。

 ただ、東芝と同型の半導体メモリーにおけるSKハイニックスの世界シェアは世界5位(米調査会社IHS調べ)。1位は韓国サムスン電子のため「少額出資であっても、韓国に半導体が集中することを良しとしない米国と中国の独禁法審査が厳しくなる」(アナリスト)との声もある。

 銀行関係者からは「経産省の横やりで、構図が複雑化する一方」との声も出ている。東芝は6月28日の株主総会までに売却先を絞り込みたい考えだが、先行きは見通せていない。【古屋敷尚子】

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