弁護士が語る!痴漢の様々なケースと逮捕・示談の流れ
当事務所では、早期の身柄解放を目指した弁護活動を、東京・神奈川・千葉・埼玉などの首都圏エリアを中心に行っております。このページでは、数十年の実務経験を経て得た、“痴漢が発覚した後の流れ”と“その後の示談交渉”についてお話したいと思います。悪質な痴漢の場合、軽微な痴漢の場合、意図せず女性に触れてしまった場合、相手が未成年だった場合など、ケース別にご紹介致します。
目次
1.逮捕後の流れ(強制わいせつの痴漢の場合)
もっとも悪質なものは下着の中に手を入れるものです。このような痴漢は強制わいせつ罪に該当し、発覚して検挙されれば逮捕され、検察官へ身柄送検され検察官により10日間の勾留請求が裁判所になされ、裁判所は10日間の勾留を決定します。10日間の勾留後さらに勾留延長されると合計20日間勾留されることになります。
逮捕で釈放されれば3日間の欠勤ですので家族が何とか方便で対応して会社も深くは追及しないことが多いと思います。しかし、12日間や22日間の勾留となれば会社に警察沙汰さらには痴漢の件が発覚することが通常でしょう。
かりに警察沙汰が会社に知れなくとも、会社が納得できる理由を家族が説明することは難しいでしょうから、無断欠勤として会社を解雇されることになることが多いと思います。
勾留延長となり20日間が経過すると被疑者が認めていれば正式起訴されることになり、勾留は継続します。認めていなくとも目撃証言などの信用性が高ければ起訴され、勾留は継続します。
2.起訴後のポイント(弁護士なら最短3日で保釈可能)
起訴後の勾留から解放されるには裁判所に保釈を認めてもらう必要がありますが、認めている場合には逃亡や証拠隠滅などの恐れがないでしょうから、家族が身元引受人となり、弁護士が保釈申請すれば通常は裁判所が指定する保釈金の納付を条件として保釈が認められます。
東京地裁ですと、保釈申請から保釈決定まで土日祝日を除き、起訴後最短3日間で保釈されます。
被疑者、被告人が起訴事実を否認していれば逃亡の恐れがあると判断されますので、通常は裁判所は保釈決定を出さないと考えてください。
状況によっては逮捕されても勾留されないことも少ないですがあります。もちろん弁護士に刑事弁護を依頼する必要があります。
3.逮捕されても釈放?準抗告とは
当所では、強制わいせつの痴漢で10日間の勾留決定を裁判官が下した事案で、決定当日に3名の裁判官からなる合議体の裁判所に準抗告という裁判を起こして勾留決定を取消してもらい、逮捕されて3日目に釈放してもらったことがあります。(この他にも準抗告が認められて勾留決定を取消してもらったことが少なからずあります。)
4.初犯なら執行猶予付き懲役刑か、もしくは不起訴か
勾留された場合には弁護士に早期に被害者と示談してもらい告訴取消をしてもらうことで不起訴となります。強制わいせつ罪は刑事告訴で立件される親告罪ですので示談して告訴取消となれば不起訴となるのです。
示談できなければ、程度の軽い痴漢なら罰金刑ですが、強制わいせつの痴漢については罰金刑がないため起訴され正式裁判となります。初犯なら強制わいせつの痴漢は下着の中に手を入れる態様で強制わいせつの中では軽い方ということもあり通常は執行猶予が尽きますが、懲役刑が宣告されます。
執行猶予付き懲役刑は罰金刑とは比較にならないほど重みをもってくるのはいうまでもありません。重い刑罰を受けるとともに先ほど伝えたように多くの場合職を失うことになります。
このような強制わいせつ罪に該当する悪質な痴漢はいきなり初めての痴漢で行うことはまずありません。最初は軽い痴漢、迷惑行為防止条例違反の痴漢から始め、悪い意味で場慣れし、発覚しないことに味を占めてエスカレートして強制わいせつに該当する痴漢を行うのが通常です。
少なからずの方は迷惑行為防止条例違反の痴漢で検挙され示談して不起訴か罰金刑かを受けているのが現実です。
5.軽い迷惑行為防止条例違反の痴漢の場合
迷惑行為防止条例違反の痴漢は犯行を認めれば逮捕されず任意捜査として検挙され、当日警察署で供述調書を作成し解放され、会社に知られることは通常ありません。
警察は解放するときに、家族に連絡して身元保証人として警察署まで迎えに来てもらいます。家族がいないか連絡が取れない場合には警察官が被疑者の自宅にパトカーなどで送っていき、自宅を確認して解放します。
例外的ですが、家族に連絡が取れないなどの場合に会社の上司に連絡して身元引受人として警察に迎えに来てもらうこともあります。その場合には当然会社に事件のことが知られることになります。
6.再犯防止の工夫(心療内科のカウンセリング等)
弁護士に弁護を依頼すれば弁護士が被害者と示談交渉し、示談できれば不起訴となり、できなければ罰金刑となり正式裁判にまではならないことから、大したことはないと受け止めてしまうこともかるかもしれません。
もちろん警察から解放されるときは先ほど述べたように家族が身元引受人として迎えに警察に出向くのが通常ですから、検挙されたことを重く受け止め家族からも厳しく注意され、反省して二度と痴漢をしない方も多数おります。
痴漢を完全に止める自信がない方や家族で不安をお持ちの方には、最初の痴漢で検挙された時点で、二度と行わないように、ある種の依存症の可能性がありますので、信頼できる心療内科で診療カウンセリングを受けることをお勧めします。
7.重い迷惑行為防止条例違反の痴漢の場合
重い痴漢は強制わいせつの痴漢ですが、軽い痴漢でも同一女性を対象とした場合には先ほど述べたように迷惑行為防止条例違反の痴漢であっても、悪質とみなされて警察に検挙された場合には任意捜査ではなく逮捕勾留の強制捜査ということもあります。
この場合には被害者も被害感情が強いのが通常で示談に応じてもらえる可能性は通常よりは低くなります。
もっとも、すべてのケースで示談してもらえないわけではありません。当所ではこの種の痴漢について示談成功率の統計を作成しているわけではありませんが、弁護士が誠意をもって示談交渉することで示談に応じていただいたこともかなりあります。
8.意図せず手の甲・指が触れた場合
軽い痴漢ですが、衣服の上から触る態様の痴漢です。満員電車ですから、意図しないで近くの女性の体に手が触れることもあります。それ自体は迷惑行為防止条例違反の痴漢にはあたりません。
しかし、手をずっとそのままにして女性の体に触れたままにしておくことは痴漢にあたります。このような痴漢で警察に検挙されたケースも少なくありません。
こういう痴漢もありました。エレベーターに先の乗っている女性の隣を通り抜ける時に手でさっとその女性のお尻を触ったという場合も典型的な痴漢ではありませんが、痴漢にあたります。
9.マスコミの実名報道の基準(教員、公務員etc.)
悪質な痴漢で職業が公務員、教員、医師、歯科医師、弁護士などの公的資格者、公益企業従業員、大企業社員などは一罰百戒の意味を込めて報道されることが多いといえます。
新聞やテレビで報道されなくとも、インターネットニュースで報道されることが結構あるように思っています。
インターネットは新聞やテレビと違ってあまりコストがかからないこともあって私ども多数の刑事弁護に取り組んでいる弁護士からすると以前なら報道されることが考えられないような刑事事件も新聞やテレビ報道はないですが、インターネットで報道されることは痴漢に限らず増えていると思います。
痴漢は強制わいせつの痴漢でなければ示談できなくとも罰金刑となりますが、インターネット報道されると罰金刑以上に被疑者にとって会社に知られて解雇などの厳しい状況に追い込まれますので、報道のあり方はマスコミ各社で十分に検討すべきではと個人的に考えています。
10.弁護士なしで被害者と示談交渉は不可能です。
痴漢の示談ですが、被害者の連絡先は弁護士にしか教えてくれません。刑事弁護の依頼を受けた弁護士は警察ではなく担当の検察官に連絡して被害者の連絡先を示談交渉のため教えてくれるよう依頼します。(警察は性犯罪の場合には弁護士に対しても被害者の連絡先を教えてくれません。)
検察官は被害者に連絡して被害者の意向を聞いて被害者が了承してくれれば検察官から弁護士に被害者の連絡先を伝え、弁護士から被害者に連絡して示談交渉となります。
被害者の方が検察官を通して連絡先を弁護士にどの程度教えてくれるかですが、当所の経験では大半の場合に教えていただいていると受け止めています。もとより教えたくないという被害者の方も一定数いらっしゃいます。
被害の受け止め方は感情の問題ですので、軽いから連絡先を教えていただけるわけではありません。
11.未成年の場合は、両親と示談交渉する必要があります
なお、被害者が未成年(20歳未満)の場合には示談交渉の相手方は被害者の両親となります。
弁護士が誠意を尽くして交渉することで示談していただくことが多いといえますが、示談していただけない被害者の方もいらっしゃいます。
わが子供になんてことをするんだとの親としての怒りは当然のことながら強いものがあります。
当弁護士法人では様々な痴漢の刑事事件に取り組み多くのケースで示談していただいておりますので、万が一事件を起こしてしまった場合には当弁護士法人にまずは無料相談してください。