突然ですが皆さん、
「英検〇級のテキストを購入して勉強しているよ」「留学しました!」「外国語の学習スクールに通っています」
勉強方法は十人十色かと思いますが、1番は自分に合った勉強方法で勉強をすることだと思います。
今回はスマートフォンで語学学習ができるアプリ「HiNative」を運営している株式会社Lang-8の喜 洋洋CEOにお話を伺ってきました。
・語学学習アプリ「HiNative」とは
・「HiNative」の課題
・エンジニアと非エンジニアのコミュニケーション
・起業経験から学んだこと
・終わりに
「HiNative」HPより
株式会社Lang-8が運営する「HiNative」とは、語学学習に意欲的なユーザー向けの、BtoCサービスである。英語をはじめとした、他外国語の勉強で気になったことを、ネイティブスピーカーに簡単に質問できるアプリを提供している。
利用者は自分で勉強をしていて疑問に思ったこと、自分が書いた英文やその発音が正しいかを「HiNative」でネイティブに聞くことができる。対応言語は英語だけでなく、韓国語、日本語、フランス語など多岐にわたり、グローバルな展開をしている。以前は「Lang-8」という「HiNative」の前身となるWebサービスを展開していたが、現在は一時休止中。
-「HiNative」開発に至った経緯を教えてください。
CEO 喜 洋洋(Ki Yoyo)
生まれは中国で、4歳から日本在住。大学在学時にビジネスコンテストや、ITベンチャーの社長の講演を聞いているうちにIT業界に興味を持つ。一度就職を挟むと、性格的に退職することが困難だと考え大学卒業後にそのまま起業。開発をしていたメンバーが突如離脱してしまったことにより、何の知識もなかったプログラミングを独学で勉強したことで、現在は開発にも携わっている。
喜 大学在学中に中国語を勉強するため、上海に留学しました。その時に、現地の友人と互いの言語を教えあう経験をして日本に戻ってきたのですが、その時の経験が現在の「HiNative」開発に至ったきっかけです。
-「HiNative」の前に「Lang-8」という語学学習サービスを運営していたと思うのですが、なぜサービス名を変更して、新たな語学学習サービスを開発したのですか?
喜 「Lang-8」はPC向けのサービスですが、数年前からスマホの時代になって来ました。そこでしっかりとしたスマホ向けのサービスを作ろうと考えました。PC向けのサービスを無理やりスマホに詰め込んでも、ユーザビリティがよくない為です。そこで、ゼロから作るとしたらどのような物がいいだろうか、と考え再び作ったのが「HiNative」です。ですのでコンセプトはほとんど変わりません。
-「HiNative」は最初から日本で公開されていなかったようなのですが、最初から日本でサービスを公開していなかったのにはなにか理由があったのですか?
喜 会社が日本にあるので、海外と比べると日本のメディアには取り上げられやすいです。それと比例して日本のユーザーも増えていきやすいので、ユーザー間のバランスを保つために日本では最初から公開せず、海外のユーザー獲得から動いていました。現在アメリカ、ロシア、日本、韓国、台湾にユーザーが多くいて、ユーザーの8割は海外からの登録です。
-会社が日本にある中での、海外展開はどのように取り組んでいたのですか?
喜 地道に、海外に対してインフルエンサーマーケティングをしていきました。例えば、SNSを利用してYouTuberに紹介してもらったりしていました。
-インフルエンサーマーケティングの効果はどれほどなのでしょう?
喜 Webへの訪問者数は4ヶ月で2倍に増えました。2016年3月頃と比べるとユーザーは10倍くらいまで増えています。
-「HiNative」を実際に使ってみて、他のユーザーからの回答というものが30分~1時間程でした。回答時間を早くするために、どのようなことに取り組んでいますか?
喜 今年の我々の重要な指標として、平均回答時間を早くすることを会社として取り組んでいます。2016年3月頃と比べると、平均回答時間は3分の1にまで縮まっています。ユーザーに早く回答してもらうために質問のテンプレートを用意したり、早く回答をすることでアプリ内ポイントが加算されるゲーミフィケーション要素を取り入れて、ユーザーに「回答をすると楽しいことがある」と認識してもらえるようにしています。
-「HiNative」を開発する上で気を付けていることはありますか?
喜 「HiNative」は、“投稿に対し、ユーザーが素早い適格なレスポンスを返せる状態”にすることに注力しています。例えばユーザー間のメッセージ機能で要望の多いものがあっても、本質とは関係ないものだとすぐには着手せずに、他の重要なところに集中することを心がけています。
あとは、データを見て改善することです。例えば、ユーザーが実際に利用しているのも見せてもらうユーザビリティテストを行っています。データで定量的な改善と、ユーザビリティテストで定性的な改善、この両方をバランスをとりながら行っています。もう1つは、本気でグローバルサービスに育て上げたいと思っているので、日本で成功してから海外展開するのではなく、最初から海外展開をしていることです。
-これから追加機能等、優先的に取り組んでいこうと考えていることは何ですか?
喜 今年やることは明確にしています。ユーザーからの回答スピードを上げるための機能追加と回答の質をあげるための機能、この2つを最優先事項として動いていて、それ以外のことは極力やらないようにしています。何をやるかよりも何をやらないかを決める方が重要で、どんな小さな機能でも開発に時間は取られてしまうということ。1つ機能を追加してもそれがちゃんと全体に良い影響を与えてくれるまで改善を積み重ねなければいけないこと。新規機能を追加すると、メンテナンスやバグによってある程度の時間が取られるので、この2点を念頭において優先的に取り組んでいます。
-世間一般的には「エンジニアVS非エンジニア」の構図があるとは思うのですが、Lang-8としてその課題にはどのように取り組んでいますか?
喜 弊社ではそのフェーズは乗り越えたと思っています。それと、起業をするなら企画者にもある程度プログラミングの知識があった方がいいです。エンジニアVS〇〇、などの衝突は今の時代ナンセンスで、とにかくみんなで良いプロダクトを作る。そのために自分の分野でできることをやる。このくらいの意識がないとスタートアップで成功していくのは難しいと思います。
-起業当初前述の問題で苦労されたことはありましたか?
喜 起業当初私はプログラミングができませんでしたし、かと言って他の実績があるわけでもありませんでした。そんな中、エンジニアと1対1だとどうしてもエンジニア頼りになって、段々とエンジニアの立場の方が上になっていくんですよ。今だから分かるのですが、エンジニアからすると、開発のことを何も分かっていないのに指示されても信頼して開発に望めないんですよね。
例えば、ある新機能について考えるとき、ビジネス的観点からと開発的な目線からでは、その機能の優先度が変わってきます。”この機能はビジネス的には中くらいの優先度だけど、開発には多くの時間が取られそうだから後回しにしよう” と言った具合に、両方からの視点で見れるようになる為にもプログラミングの知識は企画・ディレクション側の人もあった方がいいと考えています。そういった面で会社設立当初は苦労しました。
-実際に起業を経験してみて、スタートアップと大手の違いをどのようにとらえていますか?
喜 世の中どんどん移り変わっていくので、安定を求めるなら大手。チャレンジするならスタートアップ。というよりは、逆説的にリスクを取って世の中の移り変わりに対応していくのが、結果的に安定につながると考えています。“これさえやっておけば安心だ”“ここに就職しておけば安心だ”といった考えを持ったまま大手に就職をすると、「将来的には不安定だ」ということもあるかもしれません。成功を収めているスタートアップは時代の流れを読み柔軟に対応していると思います。
ただスタートアップに興味を持つには自分に身近な例がないと難しいと思います。私もビジネスコンテストに参加するまでは、大手メーカーの研究職に着こうと、ざっくりとした大手志向だったので大手志向の人の気持ちも分かります。最近だと20代で成功している起業家も少なくないので、そういった情報から少しずつ私自身もスタートアップが面白そうだなと思い始めました。
ユーザーの使いやすさを求めてゼロベースでサービスを作り直したLang-8社のこだわり、会社が日本にあるためグローバルなサービスにしていくために、海外のユーザーの確保から始める姿勢。「HiNative」が世界中のユーザーから使われるようになるには、時間の問題であろう。起業のリスクを取って世の中の動きに合わせた方が結果、逆説的に安定する。今の時代も流れが分かっているからこそ、分かることなのだと感じた。ユーザビリティ向上ため、今後どのような機能を盛り込んでいくのか楽しみである。
株式会社Lang-8
「HiNative」:https://hinative.com/ja
世界から250万人以上に使われているサービス、Lang-8とHiNativeを開発・運営しています。
(本当に全ての国からアクセスがあります)世界中のネイティブスピーカーの知識と経験のExchangeを促進するのが目標です。
HiNativeで世界一億人ユーザーを本気で目指しています。