「メープルシロップ=パンケーキ」だと思っていませんか?
メープルシロップの生産量世界一のカナダでは、メープルシロップがいろいろな料理に活用されています。砂糖よりもカロリーは低いのに栄養価は高いので、ダイエット中の女性にもオススメです。
そんなメープルシロップの魅力や活用法を、たっぷり紹介します!
メープルシロップの原料は、メープル(カエデ)の樹液です。カナダの厳しい冬が終わる3月下旬ごろの10日間から20日間だけ、メープルの樹液は自然に樹木から流れ出します。採取した樹液を糖度66%に煮詰め、不純物を取り除いたものがメープルシロップです。まさに、100%天然の自然食品なのです!
1600年代にカナダへヨーロッパからの入植者が来る前から、この甘い樹液はカナダの原住民のエネルギー源となっていたのでした。そして、メープルシロップは、現在もカナダで多くの人に親しまれているのです。
世界のメープルシロップの約80%を生産しているのがカナダ。メープルの樹液を採取するには、夏と冬の寒暖の差が激しくなければいけません。それで、メープルシロップが生産できるのは、カナダでもケベック州などの限られた地域だけなのです。
メープルシロップは、採取の時期によって色や風味が変わります。採取時期が遅いほど、色が濃く、風味が強くなるのです。
カナダ産メープルシロップは、色と風味で4種類に分けられています。採取時期が早く、色の薄いものから順番に紹介しますね。
ゴールデン/デリケートテイスト:淡い色と繊細な味が特徴です。一般的なメープルシロップの味が苦手な人は、ゴールデンを試してみてくださいね。
アンバー/リッチテイスト:琥珀色でゴールデンよりも風味が増します。一番多くお店に置いてあるのがアンバーです。
ダーク/ロバストテイスト:アンバーよりも色が濃く、風味も強いです。スィーツよりも、肉・魚料理に使うのがオススメです。
ベリーダーク/ストロングテイスト:1番色が濃く、風味が強いのがベリーダーク。ダークと同じく肉・魚料理に使うのがオススメです。
今から十数年前のある日、私はカナダ人宅へランチに招待されました。そのときのメインディッシュは、なんと「サーモンのクレープ」。
「クレープ=スィーツ」だと思っていた私は、顔がこわばりそうになるのを必死で抑え、笑顔を作ったのです。そして、当たり前のように差し出されたメープルシロップ。クレープの中身がソテーした鮭だったということよりも、鮭にメープルシロップをかけるということに衝撃を受けたのでした。
魚料理にメープルシロップをかけるのは、メープルシロップ好きのカナダ人にとっては普通のこと。日本人がさまざまな料理に醤油をかけるように、カナダ人はメープルシロップを使います。パンケーキやアイスクリームに、メープルシロップをかけるのはもちろんのこと、野菜、魚、肉、卵料理などにもメープルシロップをかけるのも、決してめずらしいことではありません。焼いたベーコンやソーセージのしょっぱさと、メープルシロップの甘さは、意外に合うのです。
私が少し緊張しながら口にした「サーモンのクレープ」も、なかなかのおいしさでした。
カナダ産メープルシロップの約90%が生産されるケベック州では、メープルの樹液を採取する時期になるとたくさんの人たちが「シュガーシャック」へ出かけます。
「シュガーシャック(sugar shack)」は、メープルの樹液を煮詰め、メープルシロップを作る砂糖小屋のことです。ケベック州には、たくさんのシュガーシャックがあります。多くのシュガーシャックでは、トラクターの荷台などに乗ってメープルの樹液を採取している林を見学し、メープルタフィーを体験して、食事を楽しむことができます。ちなみに、メープルタフィーというのは、アツアツのメープルシロップを雪の上で固めて、アイスの棒のようなものに巻き付けて食べることをいいます。子どもたちの大好物です。
残念ながら「シュガーシャック」は、ダイエット中の女性にはオススメできません。シュガーシャックの食事は、ベーコン、ハム、フライドポテトなどの高カロリーな料理に、メープルシロップをかけて食べるからです。さらに、デザートはドーナツやシュガーパイなど……。ダイエット中の女性にとっては、拷問のようなものです。年に1度のことなので、大抵の人は食べ過ぎて体重を増やしてしまいます。
ダイエット中に「甘いものが食べたい!」と心の中で叫んだ経験がある人はいると思います。ストレスの強いダイエットは、長続きしないもの。ダイエットのたびに無理な食事制限をしては、リバウンドを繰り返しているなんて人も多いはず。
ダイエット中に、シュガーシャックに行くのはオススメできません。けれども、メープルシロップは、ダイエット中に摂取する甘味としてオススメできます。
メープルシロップは、砂糖やはちみつなどと比べて、カロリーが低く、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれています。また、添加物などが入っていないので、安心して摂取することができるのも嬉しいですね。
メープルシロップには、たくさんの栄養素が含まれています。ダイエット中の女性にとくに注目してほしいのは「カリウム」。カリウムには、新陳代謝を促して、余分な塩分を体の外に出す働きがあります。また、メープルシロップには、ダイエット中に不足しがちなカルシウムやマグネシウムも含まれています。この2つの栄養素は、強い骨を作るのには欠かせません。ダイエットに成功したとしても、骨粗しょう症にはなりたくないですよね。
ちなみに、スーパーなどで、メープルシロップの近くに陳列されていることが多いパンケーキシロップは、メープルシロップとは別物。高カロリーなのに、栄養がほとんどないだけでなく、香料や色素が原材料に含まれています。
メープルシロップを購入するときは、しっかりラベルを確認することが大切です。原産国は、言うまでもなく「カナダ」のものを選びましょう。そして、原材料名が「カエデ樹液100%」、「メープルシロップ100%」などと記載されているかを確認してくださいね。
それでは、メープルシロップを砂糖の代わりに使う方法を紹介します。
料理やお菓子作りのときに、砂糖をメープルシロップで代用するときの割合は、砂糖大さじ1に対して、メープルシロップ大さじ2/3。それから、水や牛乳などの水分を大さじ1/4減らすことも忘れないようにしてくださいね。また、焼き菓子などを作るときは、オーブンの温度を4度低く設定します。
カナダ保健省のデータによると、カナダ産メープルシロップは砂糖よりも10%低カロリー。大さじ1の砂糖を、大さじ2/3のメープルシロップで代用することで、カロリーを40%カットすることができます。 低カロリーで甘味を得ることができるのは、ダイエット中には嬉しいですよね!
メープルシロップの独特な味が苦手な人はいると思います。けれども、調味料としてメープルシロップを入れた料理からは、メープルシロップの味は感じられません。もちろん、肉じゃがなどの和食に使っても大丈夫。かなり舌が敏感な人でなければ、砂糖の代わりにメープルシロップを使ったことには気がつかないはずです。
ダイエット中に、野菜をたくさん食べたほうが良いというのは常識。けれども、「生野菜が苦手」という人もいますよね? そういう人にオススメなのが、メープルシロップを使ったドレッシングです。
作り方は、とっても簡単。カナダ産メープルシロップ、マスタード、オリーブオイルを混ぜ合わせるだけ。メープルシロップ1に対して、マスタード1/2、オリーブオイル2にするとほどよい甘さになります。
ちなみに、開封後のメープルシロップは、冷蔵庫に保存しましょう。はちみつと違い、室温で保存するとカビが生えてしまうことがあります。冷蔵庫で保存できる期間は、長くても数か月です。なるべく早く使い切るようにしましょう。
冷蔵庫の片隅に、1度パンケーキにかけただけのメープルシロップはありませんか?長い間、カナダで親しまれているメープルシロップには、パンケーキにかける以外にも、いろいろな活用法があります。
ダイエットにオススメと紹介しましたが、もちろん摂りすぎには要注意。大さじ1杯のメープルシロップは約54カロリー、14gの糖質が含まれています。ダイエットを成功させるために、カナダ産メープルシロップを上手く活用してくださいね!
ライター LOA
【プロフィール】
カナダ在住15年目のフリーライター。これまでに、カナダ生活や語学学習についての記事を多数執筆。「生きることは食べること」の精神で、おいしい食べ物を探し続けています。