定員の妥当性調査へ 8月に認可判断 設置審
安倍晋三首相の友人が理事長を務める学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)が国家戦略特区に新設を予定している獣医学部について、設置の可否を審査している文部科学省の大学設置・学校法人審議会が、6月5日に愛媛県今治市の建設予定地で実地審査する方針を固めた。加計学園の獣医学部の定員は全国平均の3倍近くに達し、教員や施設の態勢に問題がないか確認するため、実態を調べる必要があると判断した。審議会は実地審査を踏まえて慎重に議論を進め、8月末に認可・不認可を決める。
加計学園は3月末に岡山理科大獣医学部の新設を文科相に申請。これを受け、文科相が審議会に諮問し、専門家が委員を務める「専門委員会」で教育課程や財政計画などについて書類審査が進められてきた。
実地審査は、書類審査だけでは設置可否の判断が困難な場合に実施される。加計学園の獣医学部の計画で特徴的なのは、160人という定員の数だ。現在、獣医師養成系の大学は全国で16あり、定員は計930人。平均すると60人弱となっており、新設が認められれば全国最大規模となる。
審議会は現地で施設の整備状況などを確認し、実際に160人を教えられる態勢が整うのか法人側から聞き取りをする。関係者によると、委員からは教員について「大学を卒業したばかりの若手と65歳以上の教授が多い」と年齢構成に偏りがあると指摘されているという。不十分と判断した場合、計画の修正や補足説明を求める。その場合、学園側は補正申請書を提出し、改めて審議会の判断を仰ぐことになる。【伊澤拓也】