『名探偵コナンから紅の恋歌(ラブレター)』は、名探偵コナン第21作目となる作品。
第20作を区切りに、劇場版『名探偵コナン』の新たなる第1作を創り出すという気持ちで作られた映画だそうです。
キャッチコピーは、「待っとれ 死んでも守ったる───」「ふたひらの運命を引き裂く哀しき歌―紅に染まる巡恋(チェインドラブ)ミステリー」
今年も迫力満点の映画でした。
映画公開から2週間経ってやっと見に行けたので、今更かもしれませんが、感想アップします。
ネタバレなしの感想を最初に書き、下の方にネタバレ有りの感想と見どころをまとめました。
『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』の感想【ネタバレなし】
あらすじ
日売テレビで、爆破事件が発生!その時百人一首界を牽引する「皐月会」が開催する会見が行われており、大パニックに!
崩壊していくビルの中、西の名探偵・服部平次とその幼馴染・遠山和葉だけが取り残されるが、間一髪の所でコナンによって無事救出される。
まるでテロのような事件、しかし犯人の目的もわからない不可解な状況に違和感を禁じ得ないコナンと平次。
爆破騒動の中、コナンは平次の婚約者だと言い張る女性と出会う。その名は、大岡紅葉。紅葉はなんと競技かるたの高校生チャンピオンだった。
ひょんなことから、和葉はそんな紅葉に平次を懸けた勝負を百人一首で挑むこととなり、実力者である平次の母親・静華を師に、特訓する日々が始まった。
時を同じくして京都・嵐山の日本家屋で、皐月杯の優勝者が殺害される事件が発生。
その時、殺害現場のモニターに映し出されていたのは、紅葉の姿。そして意味深に数多のかるた札が被害者の周りに散らばっていた。果たして紅葉と事件との関係は?
コナンと平次は大阪府警・京都府警とともに、2つの事件に関係する皐月会の捜査を始める。やがて、次々と捜査線上に浮かび上がる謎の存在。
紐解いていくと、そこには“百人一首にまつわる共通点”が隠されていた――。
大阪と京都、2つの事件が1つに繋がる時、仕掛けられた運命の歯車が加速し始める!
秋の大阪と京都が舞台ということで、紅葉の描写がきれいでした。
倉木麻衣さんの歌う、映画主題歌『渡月橋~君想ふ~』も雰囲気とマッチしていてとても良かったです。
登場人物
コナンをはじめ、いつものメンバーはだいたい出てきますが、今回のメインは、服部平次と遠山和葉、そして映画初登場となる大岡紅葉です。
劇場版ではいつも欠かさず登場していた目暮警部が『から紅の恋歌』では登場しません。
今作でもゲスト声優が出演していますが、なんだか映画を台無しにしている感が否めないのは私だけでしょうか?
普通の声優さんでいいのになぁといつも思います。ゲスト声優さんでも、演技が上手い人は上手いんですけどね。
大岡紅葉とは何者なのか?
京都泉心高校2年で、百人一首の高校生チャンピオン。将来のクイーンと呼ばれる存在です。原作では既に登場しているが、映画は初登場。
平次の事を「未来の旦那さん」と呼び、婚約者だと言う。
感想【ネタバレなし】
迷宮のクロスロードが好きな、平次・和葉ファンにとっては、たまらない作品だと思います。とにかく今回はコナンよりも2人が目立っているし、2人が好きなら大満足の映画になっています。
特に平次と和葉の恋物語は、ファンじゃなくても「お腹いっぱい」といった感じで、2人の掛け合いや魅力をあますことなく詰め込んだ作品です。
平次の、かっこいいところ・ちょっとテキトーなところや、和葉の負けず嫌いで強気なところ・平次が好きだけど伝えられない可愛らしいところも十分描かれています。
見どころはラブコメだけではありません。
名探偵コナンと言えばミステリーなので、綿密に作りこまれたストーリーも見どころです。カルタと殺人事件がどのように関係していくのか。大阪と京都の2つの事件がきれいに1つの真実に繋がります。
今作は大迫力のアクションシーンも多いので、ぜひ劇場の大きなスクリーンで体感してもらいたいです。素晴らしくてコナンファンならきっと鳥肌が立ちます。
新たなる第1作と言うに相応しい素敵な作品でした。
※ここから下はネタバレありの感想になりますので、内容を知りたくない方は読まないで下さい。
『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』見どころと感想【ネタバレあり】
アクションシーンの迫力に圧巻
なんといっても今回の映画「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」の見どころはアクションシーン!想像以上にアクションシーンが多く迫力満点です。
ラブコメと同じくらい力を入れているんじゃないかなと感じます。「あれ?コナンって推理物だよね?アクション映画じゃないよね?」と疑いたくなる程です。
映画館で見るからこその大迫力であって、DVDやブルーレイで、あのアクションシーンの良さを100%伝えるのは難しいと思います。是非とも映画館で見て欲しい。
コナン映画と言えば、ど派手なアクションと共に繰り広げられる大脱出劇が魅力だが、今作ではわりと序盤で、クライマックス並の脱出劇がありました。
爆破された日売テレビに取り残された平次と和葉を助けに行くコナン。2人の脱出を見送ったコナンだったが、今度は逆にコナンが取り残されてしまいます。
火の勢いも強くなり、脱出ルートを塞がれ絶体絶命のピンチ。
そこでコナンが考えたのが、テレビ局の巨大なパラボラアンテナを利用し、サスペンダーとスケボーで助走をつけ、遠心力で近くの川まで飛んでいくというもの。
この発想もすごいけど、この一連のアクションシーンには、「いやいや、それは無理でしょ」とつっこみたくなるようなところがたくさんあって少し笑ってしまいました。
現実にやってたら、たぶんコナン君、死んでると思う。
序盤のこの爆破シーンでは平次とコナン(新一)のコンビが大活躍。お互いに信頼し合っている様子が存分に描かれています。
平次は、爆発で屋上に閉じ込められてしまった時、「俺一人やったら無理や、一人やったらな…」と言いながら、コナン(新一)が助けに来てくれると信じていましたし、コナンも追跡眼鏡で平次がまだビルの中にいる事を知り、絶妙なタイミングで助けに行きました。
コナンが川まで飛ぼうとして距離が足りなくてピンチの時は、平次が「待っとったで」と見事にキャッチし、2人仲良く川に落ちました。
この2人の信頼感すごく良かったです。名コンビ。
もうひとつのアクションシーンは、やはり物語のクライマックスの部分。こちらも脱出劇で、川と崖に囲まれた、地上高くにある皐月堂からの脱出。
この皐月堂は、皐月杯の決勝戦の舞台になっており、外界からは隔離されています。
携帯にカルタ札の添付ファイルが送られてきていた残り3人が皐月堂にいるという事に気づいた平次とコナンは大急ぎで向かうのですが、急な斜面を走ってのぼっていく服部平次のバイクを見ていると、このバイクどこでも走れるなと思ってしまいました。
そして皐月堂にバイクごと突っ込んで行く二人。ここでクライマックスの謎解きが行われる。
その後の脱出シーン。やはりメインは平次と和葉だけあって、コナンはさらっと脱出しちゃうんですよね。
平次と和葉はバイクで脱出。予告で流れていた、平次の「手ェ離したら、殺すで」ってやつもバッチリ聞けました。
前半と後半の2回の脱出アクションが今回の見どころかなと思います。
2回もあると見ていて全く飽きないですし、なんだかクライマックスが2回ある感じでドキドキしました。
大阪・京都ということで、あの人達が登場
名探偵コナンで、関西の事件といえば、『から紅の恋歌(ラブレター)』でもメインとなっている服部平次と遠山和葉が登場します。
あとは警察も関西という事なので、大阪府警本部長である平時の父・服部 平蔵や、大阪府警刑事部長である和葉の父・遠山 銀司郎、“大滝はん”こと大滝 悟郎が登場します。京都では、『名探偵コナン 迷宮の十字路(クロスロード)』でも登場していた、ペットのシマリスを連れている京都府警の綾小路警部も出てきます。
意外なところで、平次の母親である服部 静華もさりげなく登場。平次の頼みで和葉のカルタの特訓に付き合い、指導をしてくれる平次の母は、元カルタクイーンという事が判明し、驚きです。
平次のカルタシーンは残念ながら出てきませんが、平次本人もカルタが相当強いということは、母親の指導があったからなのでしょうか。
逆に今回出番が少なめだった、阿笠博士と灰原哀。この2人は、大阪に着いて行かず、博士宅から登場します。しかも、コナンが都合の良い時にだけ電話をし、そして用事が済んだら一方的に電話を切るという、ちょっと可哀想な扱いをされています。
平次と和葉の恋の行方は?
これね。
ラブコメ映画と聞くと、やっぱり一番気になるところ。結果だけいってしまうと、特に進展はありませんでした。進展を期待していた人、絶対いると思います。
いつもは、コナン(新一)の
「らーーーん!」
っていう叫びがありますが、今回はそれがなく、代わりに
「かずはーーー!」「へいじーーー!」
になっています。この絶叫シーンは、外せないんでしょうね。
平次、和葉、紅葉の三角関係も今回の見どころ。
和葉の所属するカルタ部の部長・枚本未来子(ひらもとみきこ)が骨折してしまった為、代わりに和葉に大会に出てほしいと頼むが、断ろうとする和葉。
しかしそこで紅葉に、平次のお嫁さん候補をかけて勝負をしないかと挑発された和葉は大会に出ることを決意する。
どっちも強気な女の闘いですね。そんな事になっているとは全く知らない平次。これを知ったらどう思うのだろう…。
結局、決勝戦では接戦の末に負けてしまった和葉ですが、得意札がとれたから良いと言っていました。その札というのが、今回のキーとなるカルタ札の事。
『しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思ふと 人の問ふまで』
これは、“心に秘めてきたけれど、私の恋は顔や表情に出てしまっていたようだ。「恋の想いごとでもしているのですか?」と、人に尋ねられるほどに。”という意味で、和葉の様子と重なりますね。
この歌を詠んだのは平兼盛(たいらのかねもり)で、名前に『平』がつく札は、これだけ。なので、和葉にはこの札が平次にしか見えなかったみたいです。
こういうところ、本当に可愛いなぁと思います。ごちそうさまです。
あとは、予告CMでも流れている平次のセリフ。
「しっかり掴まっとけよ!!和葉、その手ェ離したら…殺すで…」もバッチリ聞けました。
こっちはこっちで、すげーかっこいい!平次ファンには見逃せないシーンとなりましたね。
でもあのシーン、もっと溜めて溜めて、思いっきり決めゼリフ感を出すのかと思ったら、案外さらっとした流れでした。あまりにさらっと終わってしまったので、あのシーンはもっとクライマックス感が欲しかったなというのが個人的な感想です。
まぁ、1分1秒を争う脱出のシーンで、セリフを溜めるというのも不自然なので、あれは仕方ないのかなぁ。
脱出前に平次が和葉に向けて言った、「お前に言わなあかん事があんねん」というセリフを聞いた時は、ついに脱出して告白という流れか!と大いに期待したのですが、そう思ったのは私だけではないはずです。
和葉に問い詰められつつも、結局は平次がごまかしたままエンディングを迎えてしまったので、告白はまだまだ先になりそうですね。
エンディング後の平次と紅葉の会話で、結婚の約束が紅葉の勘違いだという事も発覚しました。
小学生の頃のカルタ大会で平次に負けてしまった紅葉は
「次会うたら嫁にとったるさかい、待っとけや」
と平次に言われたと思い、高校生になった現在までその約束を信じていました。
でも、平次は
「次会うたら、つよめに取ったるさかい、腕磨いて待っとけや」
と言ったそうで、結局は紅葉の聞き間違いという結末でした。
終始、強気でかっこ良かった紅葉でしたが、この時ばかりは恥ずかしそうで可愛かったですね。大岡紅葉は今後も登場しそうだし、またこの三角関係が絡んだ話が出てきそうな気がします。
今回は新一と蘭の絡みがない映画だなと思っていましたが、さすが青山剛昌先生。最後の最後でしっかり、新一と蘭のやり取りも盛り込まれていました。こういうさりげないところに、こだわりを感じます。
ちなみに蘭が新一にメールで送った歌は
『めぐりあひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半の月かな』
という紫式部の歌。意味は“せっかく久しぶりに逢えたのに、それがあなただと分かるかどうかのわずかな間に慌ただしく帰ってしまわれた。雲間に隠れてしまう夜半の月のように。”というもの。
それに対して新一は
『瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ』
と返します。これは崇徳院の歌で、“愛しいあの人と今は分かれても、いつかはきっと再会しようと思っている”というもので、ラブラブっぷりを見せつけて終わりました。
カルタと殺人
大阪・京都、2つの場所で起こる事件がやがてひとつに繋がります。どう繋がっていくのかなと思っていましたが、きれいにまとまっていましたね。
うまくミスリードされていましたし、カルタに絡んだ動機もしっかりしていました。
ただの思い違いから始まった殺人が、結局はあんなに大きな爆破殺人事件になってしまいましたが。
優しさを見せて前日に勝負を挑んだ名頃さんが可哀想すぎるし、いくら証拠品とはいえカルタを燃やすのにあそこまでするかという感じが否めないです。
まぁ、そこは映画ですからね、爆破しておかないと脱出劇が成り立ちませんからね(笑)
2018年の名探偵コナン映画の予告
上空からの日本列島地図。そして、3・2・1・ゼロ。
安室さんの声でゼロと言っていたので、次回はたぶん安室さんメインですね。楽しみに続報を待ちましょう。
まとめ
毎年見に行っていますが、映画が始まる時の何とも言えない高揚感を感じるたびに、「名探偵コナン本当好きだなぁ」と思います。
今年も映画館で見て良かったと思えるくらい満足感のある作品でした。余韻で思わず、名探偵コナンが表紙のサンデーを買ってしまった程です。
『から紅の恋歌(ラブレター)』は、アクションシーンが見物なので、映画館のスクリーンで見て欲しいです。