米艦防護へ出航 護衛艦「いずも」午後にも合流
防衛省は1日、安全保障関連法に基づき、米軍の艦船などを守る「武器等防護」(米艦防護)を初めて実施する。海上自衛隊最大のヘリコプター搭載型護衛艦「いずも」が午前、横須賀基地(神奈川県横須賀市)を出港した。政府関係者によると、東京湾を出て午後にも房総半島の沖合で米海軍の補給艦と合流し、警護を始める。北朝鮮情勢の緊迫化を背景に日米同盟を誇示するとともに、米軍との連携を深める狙いがある。
安保関連法による新任務では、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の派遣部隊に「駆け付け警護」などが付与されたが、これまで実施されたことはない。今回が同法に基づく初めての任務の実施となり、運用が本格化する。
護衛艦「いずも」は午前10時ごろ、横須賀基地を出た。政府関係者によると、補給艦と合流後は四国沖まで太平洋の沖合を並走し、訓練をしながら、警護に当たる。偶発的に攻撃を受けるなどした場合、必要最小限の武器使用も認められる。
いずもはその後、シンガポールに向かう予定。補給艦は日本海側に展開した米原子力空母「カール・ビンソン」など、北朝鮮への警戒に当たる米艦の補給に回る可能性がある。
武器等防護は安保関連法の一つとして、昨年3月に施行された改正自衛隊法で可能となった。政府が策定した運用指針では、弾道ミサイルの警戒監視や情報収集▽放置すれば日本が攻撃される恐れがある「重要影響事態」での補給・輸送活動▽共同訓練--での米艦などの防護を想定している。今回の任務は北朝鮮から離れた太平洋岸での任務のため、共同訓練をする中で米補給艦を防護するという形を取っているとみられる。
朝鮮半島周辺には、北朝鮮のミサイル警戒に当たる米軍のイージス艦などが展開している。今回の任務を皮切りに、自衛隊と米軍の一体化がさらに進む可能性がある。【前谷宏】