原因は「道迷い」4割超 神奈川県警調査
神奈川県内の昨年の山岳遭難者137人のうち、40%超の56人が気付かないうちに登山道を外れるなど道に迷ったことが原因で遭難したことが、県警地域部の調べで分かった。他の遭難原因に比べて突出して多く、近年は同様の傾向が続いているという。県内の山々は都心からのアクセスが良く気軽な登山スポットとして人気がある半面、ルート確認など十分な事前準備をせずに入山する登山者が増えていることが背景にあるとみられる。【村上尊一】
同部によると、山岳遭難は増加傾向にあり、昨年初めて100件を超えた。例年、5月の大型連休や秋の紅葉シーズンに目立ち、年間約95万人が観光に訪れるとされる大山(伊勢原市・秦野市・厚木市、標高1252メートル)や塔ノ岳(秦野市・清川村・山北町、標高1491メートル)、鍋割山(秦野市・松田町・山北町、標高1273メートル)などで発生が多いという。
昨年の遭難者137人のうち、14人が死亡、50人が重軽傷を負ったほか、2人が行方不明となっている。原因は「道迷い」が最多で56人に上った。5月に大山で1人で登山をしていた20代の女子学生が下山途中、登山道の分岐で方向を間違えて遭難。午後3時ごろに入山したため日が暮れた上に、照明器具を持っていなかったことも影響したとみられる。本人が携帯電話で110番し、県警が全地球測位システム(GPS)と通話から遭難場所を特定し、救助した。
迷うのは下山時が多く、県警の担当者は「迷ったら慌てて下ろうとせず、いったん上って元の道へ引き返すことも有効」と指摘。未然防止策として「登山用地図を携行し、道標を小まめに確認するなど、自分の位置を常に把握することが大事」と話す。GPSで位置確認できる登山向けアプリの利用が最近増えたが、スマートフォンのバッテリー切れなどに注意が必要という。
遭難の原因は他に、転落・滑落29人▽転倒18人▽疲労16人▽病気8人--など。死亡の原因は滑落と転落が多いという。