ハリーポッターを見て、魔女の宅急便を見て……「ほうきで空を飛びたい」と思ったことがある人は多いのではないでしょうか。私もその一人です。
Hikaru Yoza / BuzzFeed
ちょっと本当に飛べないかな…と思い、大学教授に相談しにいきました。
「こんにちは」
Hikaru Yoza / BuzzFeed
『はい、こんにちは』
「ほうきで空を飛びたいんですけ…」
Hikaru Yoza / BuzzFeed
『無理です無理です』
こちらは工学院大学の機械工学科 伊藤 慎一郎教授。
液体や空気の流れを研究する流体力学がご専門。ペンギンやカメの泳法を研究していた経験を生かし、日本競泳のスタンダードである「I字泳法」の考案した。とてもすごくて偉い人です。 Hikaru Yoza / BuzzFeed
「無理なのは知ってるんですけど、どうして無理なのかしっかり知りたいです」
『では、夢を諦めてもらえるようにがんばります』
「お願いします」
ほうきだけなら浮かせることができる
『ざっくり言うと、ほうきだけなら時速50kmぐらいで引っ張れば浮きます』
くるまにヒモをくくりつけ、ほうきを引っ張ると浮くには浮く。 Hikaru Yoza / BuzzFeed
「いけるじゃないですか！」
『ですが、人が乗って飛行するためには、翼の形と面積がとても大事なんですね』
『パラシュートを見てみましょう』
Marcutti / Getty Images
『翼の面積が広いですよね。風を捕まえやすいよう、角度も計算されています』
Hikaru Yoza / BuzzFeed
『それに対し、ほうきの翼部分である後部は面積も小さく、風を受け止めることができません』
『これでは、人間が乗って浮くことはできないのです』
「知ってた……そもそも構造的に翼が足りないのですね」
『そうです。なので、どうしても魔力が必要ということですね』
仮に飛んだとしたら
「せっかくなので、仮に飛んだとしたらどうなるかも教えてください」
『乗るとなると、バランスがとても大事です。まず、絶対にほうきの後部に乗らないと、逆さまになってしまいます』
「ちょうどこのあたりです」と先生。私が作った即席人形で渋々説明してくれました Hikaru Yoza / BuzzFeed
『バランスが取れても、ほうきと人間が浮く速度で飛ぶと、約750kgの空気抵抗が発生するんですね』
Hikaru Yoza / BuzzFeed
『それに耐えられる握力があればいいのですが、無理なので』
Hikaru Yoza / BuzzFeed
『こうなって落ちます』
「うっ…」
『ジェットコースターに手で捕まる、と想像してもらえればいいと思います』
これに手だけで捕まれるのか。 Rglinsky / Getty Images
「無理じゃないですか」
『無理なんです。キキやハリーポッターは、魔力で全部どうにかしています』
「ほうきで空を飛ぶことへのやる気自体がなくなってきました」
『よかったです』
現代で一番「ほうきで空を飛ぶ」に近いもの
「それでも、近い体験だけでもしたい！ と思った場合はどうしたらいいですか？」
『それならウイングスーツが一番近いと思います』
ウイングスーツ Avid_creative / Getty Images
「これで飛べるんですか……？」
『滑空にはなりますが、翼が計算されているので飛べます。高いところからぽーんと』
Sindreespejord / Getty Images
『飛んで』
Sindreespejord / Getty Images
『滑空していくわけですね』
Xof711 / Getty Images
「ちょっとこれ画像見てるだけで、足がガクガクしてきました」
『アニメでもこのぐらいの高さと速度は出ているし、体感は似ていると思いますよ』
動画で見たい方はどうぞ。声が出るほどの恐怖。 Jeb Corliss / Via Facebook: jeb.corliss
「そもそも飛びたいだなんて思わなくなりました。こわすぎる……」
『よかったです。夢を壊してしまってごめんなさい。せめて空を飛ぶ楽しい夢（睡眠時）が見れるといいですね』
「模型作るときはね、絶対に芯が必要なんですよ」と言いながら人形を直してくれた先生。「一度空を飛ぶ夢を見て、それが最高だったんです…」と話してくれました。いい人…。 Hikaru Yoza / BuzzFeed