「残り火」でやけど事故67件
消費者事故調まとめ 防止へ「スライド式」が有効
使い捨てライターを使用後、「残り火」が衣類やバッグなどに燃え移ってやけどを負う事故が、これまでに少なくとも67件あったことが、消費者庁の消費者安全調査委員会(消費者事故調)のまとめで分かった。事故調は24日、事故防止に向け着火口が塞がれた「スライド式」ライターの使用が望ましいとの検証結果を公表。消費者庁と経済産業省に対し、注意喚起などの対策を講じるよう呼びかけた。
「残り火」による事故を巡っては、2015年6月に兵庫県の70代男性が、使用後のライターを衣服のポケットに入れたところ衣服に燃え移り、重いやけどを負って死亡している。この事故を受け消費者庁などが注意喚起を行ったが、それ以降も事故が起きている。
事故調によると、消費者庁などが10年4月以降に把握した情報をまとめたところ、計67件の事故報告があり、うち重症が11件あった。死亡事故は15年の1件のみ。
残り火は、ライター内部に何らかの異物が入り込むことで、着火レバーが正常な位置に戻らず、微量のガスが漏れて発生しやすくなる。事故調が過去の事故を精査したところ、内部からたばこの葉や砂が見つかっており、使用する過程で着火口などから入り込んだとみられる。
使い捨てライターは点火方式などにより、スライド式▽押し込み式▽やすり式--の3種類に分類され、スライド式以外は着火口が露出している。こうしたことから事故調は、スライド式が他の2種類のライターに比べて「事故防止に有効」と結論づけた。
消費者庁によると、国内で販売されている使い捨てライターのうち、スライド式は約4割という。【曹美河】