ゲストに垣間見る政党事情

 満場の拍手がしばらく鳴りやまなかった。先月、都内であった民進党大会で会場を一体化したのは、蓮舫代表のあいさつではなく、ゲストとして招かれた井手英策慶応大教授の熱弁だった。

 財政社会学が専門の井手氏が「普遍的真理を求める研究者が特定の政党を応援する場に来るのは勇気がいる」と語り始めると、会場は静まり返った。

 井手氏は「(政治や財政は)困っている人を平気で切り捨てる社会をつくった」と指摘した上で「経済成長は期待せず、分かち合いや満たし合いの財政で新しい社会モデルを示し、生まれてよかったと思える国に」と訴えた。

 旧民主党の政権転落以来、低迷が続く民進党への叱咤(しった)激励だった。同党議員のブログなどは「心を揺さぶられた」「泣きそうになった」といった感動の言葉であふれた。

 政党の大会は激論が交わされるわけではない。論議があっても大会前に決着しており、議案は満場一致で採択される。私はむしろゲストの人選と話の内容に興味が湧く。

 他のゲストは、貧困に苦しむ子どもたちの教育支援に取り組む特定非営利活動法人「キッズドア」の渡辺由美子理事長、女性議員の割合が高くなったアイルランドのアン・バリントン駐日大使だった。

 昨年は脳科学者の茂木健一郎氏、社会政策の大沢真理東京大教授、学生団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基(あき)さんが招かれた。多彩なゲストの話は政治や党への苦言が多い。問題はゲストの指摘を現実政策に生かせない政党としての力量不足だろう。

 自民党は有名人志向だ。今年は卓球の福原愛さん、車いすテニスの上地結衣さん、柔道のベイカー茉秋さん、箱根駅伝3連覇の青山学院大・原晋監督とスポーツ界で固めた。昨年はノーベル物理学賞の梶田隆章氏だった。大会を盛り上げようという意識が強く、そこには「1強」の余裕すら感じられる。

 党大会のゲストからも、その政党の現状や課題が垣間見える。


=2017/04/02付 西日本新聞朝刊=

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