向かうところ敵なしだった安倍晋三首相が、わずか6週間の間に弱みを見せるようになった。安倍内閣は読売新聞の2月の世論調査では支持率66%を付けるなど、野党にも自民党内にも、これといった脅威は見当たらなかった。しかし、超国家主義的な人物との関係をめぐるスキャンダルが安倍氏の人気に影を落とし、市場も動揺を見せている。
スキャンダルの中心にいるのは、大阪の学校法人「森友学園」理事長を務める籠池泰典氏。同氏は民間政治団体「日本会議」の一員とされる。安倍氏や安倍内閣の閣僚の半数以上も日本会議を支援する議員連盟に所属する。籠池氏は衆参両院の予算委員会で行われた証人喚問で、安倍昭恵首相夫人から首相名義で100万円の寄付を受け取ったと語った。首相夫妻は寄付を否定している。
スキャンダルが発生したのは今年2月。森友学園に対し、国有地が大幅に値下げした価格で下げられたことが発覚したのが発端だった。
今回のスキャンダルで安倍首相が失脚することはないだろうが、政治的目標を設定するうえでの力には影響するだろう。安倍氏は、規制緩和や正社員の雇用と解雇を容易にする労働市場改革など、必要不可欠な経済改革を先延ばしにしてきた。今となっては、仮に首相がそれを望んだとしても、国会で関連法案を通過できるか疑わしい。
これまでのアベノミクスは金融政策が大部分を占め、資産価値の上昇には貢献したものの、デフレは克服できていない。安倍氏は2012年と2014年の選挙で得た有権者からの支持を追い風に、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈変更など、安全保障面の課題に集中して取り組んだ。これら改革は価値があったが、経済より優先させるのは間違いだった。日本国民はアベノミクスにますます懐疑的になっているが、代わりとなるリーダーがいないという理由で安倍氏の人気は高く維持されていた。
しかし、それは変わるかもしれない。第1次安倍政権で2007年に防衛大臣を務めた小池百合子東京都知事は、7月に行われる都議選で勝利するとみられている。同氏がいずれ国政に復帰し、首相の座を狙うとの憶測も出ている。
安倍氏が日本会議とは距離を置き、経済再生に集中するのなら、このような挑戦者の登場は歓迎すべきことだろう。だが今回のスキャンダルは、政治力ははかなく、それゆえに浪費してはいけないことを再認識させてくれる。
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