医師は労働者にあらず!??
なんだか、日本医師会の会長さんが「医師の雇用を労働基準法で規律することが妥当なのかも含めて考えていきたい。医師が労働者と言われると、(意識したことがなく)少し違和感もある」と口走ったそうですが・・・、
http://www.asahi.com/articles/ASK3Y6RSFK3YUBQU011.html
政府の働き方改革実行計画で、医師の残業時間の具体的な規制内容が今後検討されることについて、日本医師会の横倉義武会長は29日の会見で、「医師の雇用を労働基準法で規律することが妥当なのかも含めて考えていきたい。医師が労働者と言われると、(意識したことがなく)少し違和感もある」と述べた。
医師には、原則として診療を拒めない「応召義務」がある。実行計画では、医師は規制の適用が5年程度猶予されるが、2019年3月末までに具体的な内容を検討する。新年度に厚生労働省内に検討会が設けられる予定だ。
横倉会長は、検討課題として医師の健康や応召義務を挙げ、「(残業時間の)上限を超えても、患者の状態が悪くなったとき放っておけず、仕事をしてしまう。罰則を与えるのか、応召義務を外していいのか、大変な議論になる」と話した。
いやもちろん、雇用契約に基づいて病院等に勤務して診療行為に従事している医師は労働者以外の何者でもありませんよ。自分で診療所を開院している自営業者の医師は労働者ではありませんが。
という、小学生でも分かることが分かっていないように見えるのは、日本医師会が(会員数だけで言えば勤務医が相当数に達しているにもかかわらず)、その運営の実権がほとんど自営業医師の皆さんによって動かされているからなのか、などとあらぬ疑いをかけたくもなります。
医師の長時間労働問題については、本ブログでも何回か取り上げてきたテーマではあります。
2013年に『労基旬報』に寄稿した「医者の不養生」では、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2013/06/post-77bf.html(医者の不養生)
今年2月12日、最高裁判所は奈良県立奈良病院事件の上告を受理しないという決定を下しました。これにより、医師の宿日直をめぐる問題に最終判断が下されたことになります。もっとも、その判断の内容は労働基準法施行当初から当然と考えられてきたことに過ぎないのですが、医療界にとっては驚天動地のものであったようなのです。・・・
最高裁の判決が出ても未だに医師会の上層部の感覚はあまり変わっていないというあたりが、この問題の難しさを示しているのかも知れません。
実は、同じ2013年に私の編著で刊行したミネルヴァ書房の「福祉+α」シリーズの『福祉と労働・雇用』では、この問題に注意を喚起するためにも、わざわざ1章を割いて中島勧さんに「医療従事者の長時間労働」という論文を書いていただきました。
http://www.minervashobo.co.jp/book/b120806.html
第11章 医療従事者の長時間労働 中島勧
1 医療従事者の労働事情
2 医師の労働問題
3 労働問題の原因
4 長時間労働の見通し
5 長時間労働の軽減に向けて
この論文の冒頭にも「医者の不養生」という言葉が出てきます。
「医者の不養生」という言葉がある。その意味は、「医師が自分のことを顧みずに患者の治療に打ち込んでいる」という肯定的なものではなく、「正しいと分かっていながら、実行が伴わないこと」という否定的な意味が含まれている。医療従事者の労働事情を考えてみると、この言葉の意味が、医療従事者にとっても、そして医療と労働問題をともに所管する厚生労働省にとっても、異なる意味としてではあるものの、非常によく当てはまっていると感じられる。世間では常識とされている労働者の権利が医療界では顧みられていない場面が多く、それが医療体制の破綻につながっているにもかかわらず、一向に抜本的な解決策が講じられていないのである。・・・・・
いやそもそも「正しいと分かっていな」いような気も・・・。
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