前代未聞!お水のプロを養成する学校
春うららかな4月。新宿歌舞伎町に前代未聞の学校が開校されます。都立水商業高等学校、通称「水商」。この物語は、水商売のプロを養成する学校を舞台にした、ちょっとエロい、いえ、かなりエロい学園コメディ作品です。
現実ではあり得ない設定である、水商売の養成学校。集まる生徒たちは他の学校に入学できずやむなく入学してきたような問題児ばかりです。さらに講師陣は元ソープ嬢などのお水のプロたち。そんな一癖も二癖もありそうな面々が、フーゾク、ホステス、ホスト、ゲイバー、マネージャー、という用意された5つの学科それぞれで、「まじめ」に水商売を学び青春を謳歌していきます。
水商売というと、世間ではどうしても一定の差別や風評被害にさらされるお仕事です。しかし本作の舞台となる水商では、お水のお仕事は決して負け組ではない、胸を張って生きる資格があると説いています。ストーリーがエロの付属品になっている漫画作品などとは違い、良くも悪くも「水商売」というものを肯定し、情熱を注いでいる人物たちの姿が描かれるのです。もちろん読者の期待する性描写も満載です。しかしそれだけではない、強いメッセージ性のある作品にも仕上がっています。
現実ではあり得ない設定である、水商売の養成学校。集まる生徒たちは他の学校に入学できずやむなく入学してきたような問題児ばかりです。さらに講師陣は元ソープ嬢などのお水のプロたち。そんな一癖も二癖もありそうな面々が、フーゾク、ホステス、ホスト、ゲイバー、マネージャー、という用意された5つの学科それぞれで、「まじめ」に水商売を学び青春を謳歌していきます。
水商売というと、世間ではどうしても一定の差別や風評被害にさらされるお仕事です。しかし本作の舞台となる水商では、お水のお仕事は決して負け組ではない、胸を張って生きる資格があると説いています。ストーリーがエロの付属品になっている漫画作品などとは違い、良くも悪くも「水商売」というものを肯定し、情熱を注いでいる人物たちの姿が描かれるのです。もちろん読者の期待する性描写も満載です。しかしそれだけではない、強いメッセージ性のある作品にも仕上がっています。
都立水商! 01 (ヤングサンデーコミックス)
作者 | 室積 光 |
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出版社 | 小学館 |
出版日 | 2003年10月04日 |
風俗に代表される水商売はピンからキリまで様々です。場合によっては違法行為などに該当するものも少なくなく、世間的なイメージが悪いのも無理はないことです。しかし風俗を提供する人間と、それを求める人間との利害が一致したうえで成り立つお仕事である以上、プライドを持つべきだという作者のメッセージもうなずけます。人を喜ばせる事の何が悪いのだ!そう、強く訴えかけられるような作品です。
エロとギャグが入り乱れるストーリーの中にも、登場人物たちなりのプライドと情熱が見て取れる本作品は、ただのエロではない、一風変わった漫画作品です。ちょっと違った観点で風俗というものに触れられる、そんな異色の学園コメディを楽しんでみるのもいいかもしれません。ひょっとしたら、あなたの風俗というものへの見方が変わるかもしれませんよ?
デリヘル嬢の裏側と楽屋ネタが満載!
デリヘル嬢の送迎をする一人の若手ドライバーのお話。強面でいかにもB系といった容貌の彼は、実は田舎出の優しい人物。そんな彼と、過酷な業界で必死に生きる女性たちの姿を描いた漫画作品。好人物の主人公と、前向きに生きるデリヘル嬢たちの姿を見ていると、もりもりと元気が湧いてくる、そんな物語です。
けっこうなインパクトを受ける表紙に描かれているのは、強面の主人公、ユキ。店長に客に舐められないようにと、あんな格好をさせられてはいますが、怖いのは見た目だけ。山形の漁村で育った彼は大らかな性格で、非常に気の良い青年なのです。何かと辛いことが多いデリヘル嬢たちの世界で、彼女たちはきっと、ユキの笑顔に癒やされているに違いありません。
こういった風俗関連のお仕事を描く作品の魅力は、エロ描写だけでなく、「業界の裏側や楽屋ネタを見られる」という点も大きいです。本作にも業界の裏側がしっかりと描かれていて、エロよりもそちらのほうに重点を置かれている印象を受けます。デリヘル嬢ならではの、あるあるネタや、ちょっと下品だけど笑えるエピソードなどが満載です。
けっこうなインパクトを受ける表紙に描かれているのは、強面の主人公、ユキ。店長に客に舐められないようにと、あんな格好をさせられてはいますが、怖いのは見た目だけ。山形の漁村で育った彼は大らかな性格で、非常に気の良い青年なのです。何かと辛いことが多いデリヘル嬢たちの世界で、彼女たちはきっと、ユキの笑顔に癒やされているに違いありません。
こういった風俗関連のお仕事を描く作品の魅力は、エロ描写だけでなく、「業界の裏側や楽屋ネタを見られる」という点も大きいです。本作にも業界の裏側がしっかりと描かれていて、エロよりもそちらのほうに重点を置かれている印象を受けます。デリヘル嬢ならではの、あるあるネタや、ちょっと下品だけど笑えるエピソードなどが満載です。
デリワゴン(1) (アクションコミックス)
作者 | |
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出版社 | 双葉社 |
出版日 | 2013年10月28日 |
風俗作品ならではの特徴として、世間からの風当たりが強く、偏見の対象になっているお仕事だという部分があります。登場する人物たちは、様々な悩みを抱えており、デリヘル嬢たちは彼女たちなりに真剣に仕事に打ち込み、日々一生懸命生きています。しかしその反面、社会的なつまはじきものであるという自覚も持っており、そういった彼女たちの葛藤も細かく描写されているのです。
一般的な風俗作品なら、そんな暗い部分を描き出すと作品全体に淀んだ雰囲気が蔓延してしまうものですが、本作には主人公のユキがいます。彼は本当に穏やかで、優しい青年なのです。辛いことがあって悩んでいる嬢がいても、満面の笑顔で優しく語りかけてくれます。そんな彼と嬢たちの掛け合いは、風俗業界という厳しい世界を描いているにも関わらず、ほんのり優しい気持ちにさえしてくれます。
たっぷりとエロシーンを見たいという読者にとっては少々物足りない感じもするかもしれません。しかし、過酷な環境でありながら強く生きているデリヘル嬢の姿は非常に魅力的で、見ているだけで元気が出てきます。エロだけでなく、そういった部分にも非常に価値があるのです。男性読者はもちろんですが、嬢たちのひたむきな姿はむしろ、女性読者の方々に見て欲しいところ。ひょっとしたらあなたも、ユキの満面の笑顔に癒やされることになるかもしれません。
エロ描写はほぼなし!女性が見るべき風俗漫画
フルーツを源氏名にしたデリヘル嬢を描く作品。デリバリーヘルスという業界を舞台に、様々な事情で働く女性たちの心理と、彼女たちの置かれた状況が細かく描かれています。これみよがしのエロ描写や表現は一切なく、等身大の嬢たちの姿を描いている点が秀逸です。
風俗業界で働く女性たちは、なぜ自らの体を露わにして生きていくことを決めたのでしょう。興味本位だったり、快楽を求めた果てのことであったり、金銭的な事情があったりとその理由は様々。本作には、まさにそういった千差万別の事情でデリヘル嬢となった女性たちの姿が、時にシリアスに、時にコミカルに描かれています。
描かれる絵は綺麗すぎず、雑すぎず、どちらかというと暖かみのある絵です。登場する女性キャラクターたちも、いわゆる美少女などではなく、実際にいそうなリアルなキャラクターとして描かれています。女性のバスタオル姿程度の描写はありますが、エロシーンと言えるようなものは一切なく、風俗漫画にありがちな暴力的な表現や、業界の裏側などの暗い部分なども全く登場しないのが特徴です。悪いイメージばかりを捉えた作品とはここが大きく違い、万人におすすめすることができるような作品に仕上がっているのです。
作中に描かれているのは女性心理。それから、現代社会のひずみと言える部分です。もし自分が多額の借金を背負うことになったら、子供を抱えながらも養育費がもらえなかったら……。一般的なお仕事をしている女性にとっては、風俗業に身を置く女性たちを「別世界」の人たちだと感じているかもしれません。しかし、そんな女性たちがいつこうなってもおかしくないのだと、そう訴えかけるような内容の作品なのです。
風俗業界で働く女性たちは、なぜ自らの体を露わにして生きていくことを決めたのでしょう。興味本位だったり、快楽を求めた果てのことであったり、金銭的な事情があったりとその理由は様々。本作には、まさにそういった千差万別の事情でデリヘル嬢となった女性たちの姿が、時にシリアスに、時にコミカルに描かれています。
描かれる絵は綺麗すぎず、雑すぎず、どちらかというと暖かみのある絵です。登場する女性キャラクターたちも、いわゆる美少女などではなく、実際にいそうなリアルなキャラクターとして描かれています。女性のバスタオル姿程度の描写はありますが、エロシーンと言えるようなものは一切なく、風俗漫画にありがちな暴力的な表現や、業界の裏側などの暗い部分なども全く登場しないのが特徴です。悪いイメージばかりを捉えた作品とはここが大きく違い、万人におすすめすることができるような作品に仕上がっているのです。
作中に描かれているのは女性心理。それから、現代社会のひずみと言える部分です。もし自分が多額の借金を背負うことになったら、子供を抱えながらも養育費がもらえなかったら……。一般的なお仕事をしている女性にとっては、風俗業に身を置く女性たちを「別世界」の人たちだと感じているかもしれません。しかし、そんな女性たちがいつこうなってもおかしくないのだと、そう訴えかけるような内容の作品なのです。
フルーツ宅配便 1 (ビッグコミックス)
作者 | 鈴木 良雄 |
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出版社 | 小学館 |
出版日 | 2016年07月29日 |
作中に登場する女性たちが置かれている状況は実に様々です。どのエピソードも実にリアルで、変に誇張などせず等身大で語られる彼女たちの心理には、素直に共感させられます。様々な事情でデリヘル嬢になってしまった彼女たちですが、それぞれの考え方で気持ちを切り替え必死に生きていきます。子供や恋人、周囲の人間との関係も描きつつ、女性ならではの想いがつづられていくのです。時にはほんのり涙をさそう場面などもあり、ドキュメンタリー作品のような深みもあります。
色んな意味で、女性にこそ読んで欲しい作品と言えます。「風俗漫画はエロだけではない」と語ることができる、最たる作品ではないでしょうか。
男前な「女」デリヘルドライバーが主役!
物語の主人公は、複数のデリヘルをかけもちする敏腕女性ドライバー、桜坂。彼女と様々なデリヘル嬢とのエピソードが次々に語られていく、1話完結型のストーリーです。デリヘルならではのトラブルや、嬢たちの悩みが展開されていきます。
嬢ひとりひとりの好みを熟知し、客から身を守るための腕っぷしも備えた主人公、桜坂。女でありながらデリヘルの送迎を生業とする彼女は、多くの嬢たちに慕われ気に入られています。そんな桜坂と、次々に登場する個性的なデリヘル嬢たちが関わっていくのが本作品の主軸。全体的にエロシーンは少なめで、エロというよりは物語ありきの作品です。嬢とお客の間のトラブルに桜坂が巻き込まれていく形で物語が展開します。
嬢ひとりひとりの好みを熟知し、客から身を守るための腕っぷしも備えた主人公、桜坂。女でありながらデリヘルの送迎を生業とする彼女は、多くの嬢たちに慕われ気に入られています。そんな桜坂と、次々に登場する個性的なデリヘル嬢たちが関わっていくのが本作品の主軸。全体的にエロシーンは少なめで、エロというよりは物語ありきの作品です。嬢とお客の間のトラブルに桜坂が巻き込まれていく形で物語が展開します。
デリバリー 1 (芳文社コミックス)
作者 | usi |
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出版社 | 芳文社 |
出版日 | 2015年02月16日 |
本作の魅力はまず、女だてらに腕っぷしがあり、嬢からの信頼も厚い敏腕ドライバーの桜坂、彼女自身にあります。彼女がこの仕事をするのには一貫した理由があるようです。それ自体は読む人のお楽しみとしておいて欲しいところですが、この一貫したこだわりが、主人公の魅力を引き立てているのです。
とある嬢とのエピソードでは、本番を強要する客を撃退し、嬢から大きな信頼を得ます。また他の嬢との場合は、客のサイフから金を盗んでいた嬢を叱りつけ、仕事を続けていくための覚悟を説きます。彼女の行動は常に「男前」で、すがすがしいカッコよさがあるのです。
こういった感じで1話完結というスタイルで進んでいくストーリーは、終始さっぱりとしています。エロシーンも抑え気味ですし、描かれているのは主人公、嬢ともに女性ですから、その心理描写も女性が主体です。本作もどちらかというと女性向きと言えるでしょう。
暗い作品やドロドロした風俗作品が苦手だという方も、本作であれば抵抗なく読めるのではないでしょうか。毒舌ぎみな主人公、桜坂が語る、デリヘルという仕事への哲学めいたものも、時にグッと胸に迫るものがあります。風俗作品を敬遠していたという方も、ためしに手にとって見てはいかがでしょうか。エロや低俗なネタばかりが風俗漫画ではない、ということがお分かりいただける作品です。
風俗嬢であることが、ちひろのアイデンティティー
『ショムニ』で有名な安田弘之による風俗漫画。世の中で「当たり前」として通っている事実に疑問を投げかけ、風俗の仕事に身を置くことにした、ちひろ。何かをごまかし、我慢して生きるわけではなく、心のおもむくままの生き方として「風俗嬢」を選んだ、ひとりの女性を描いた物語です。
ファッションヘルス「ぷちブル」のNo.1ヘルス嬢ちひろ。彼女は、元々は普通のOLでした。OL吉澤綾だった頃は、上司のセクハラや同僚の陰口に耐え続ける日々。世間で生きていくため、時には肉親の前ですら自分をごまかすような生き方をしていました。一般的に言えばそんなことは「当たり前」で、誰しも何かしらの我慢や無理をしているのかもしれません。しかし彼女はそんな自分の生き方に疑念を抱き、自由に自分をさらけ出せる職業「風俗嬢」になるのです。
この物語は、そんな彼女の生き方を中心にお話が構成されており、周囲の人間関係や仕事の内容をつづりながら、同時に彼女の人生模様が描かれていきます。複雑な心を持った彼女の生き方そのものが最大の魅力であり、本作を構成する重要な要素となります。少々哲学的で抽象的な部分もありますが、そういった所が独特で、作品を魅力的なものにしているのです。
ファッションヘルス「ぷちブル」のNo.1ヘルス嬢ちひろ。彼女は、元々は普通のOLでした。OL吉澤綾だった頃は、上司のセクハラや同僚の陰口に耐え続ける日々。世間で生きていくため、時には肉親の前ですら自分をごまかすような生き方をしていました。一般的に言えばそんなことは「当たり前」で、誰しも何かしらの我慢や無理をしているのかもしれません。しかし彼女はそんな自分の生き方に疑念を抱き、自由に自分をさらけ出せる職業「風俗嬢」になるのです。
この物語は、そんな彼女の生き方を中心にお話が構成されており、周囲の人間関係や仕事の内容をつづりながら、同時に彼女の人生模様が描かれていきます。複雑な心を持った彼女の生き方そのものが最大の魅力であり、本作を構成する重要な要素となります。少々哲学的で抽象的な部分もありますが、そういった所が独特で、作品を魅力的なものにしているのです。
ちひろ 上
作者 | 安田 弘之 |
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出版社 | 秋田書店 |
出版日 | 2007年06月20日 |
ちひろは風俗嬢となることで、自分の居場所にしがみつくことなく、自由な生き方ができるようになります。ちひろは風俗嬢となったことで初めて「自分」というものを見出すのです。
本作品の続編に『ちひろさん』という作品があり、ちひろのその後が描かれています。その作品の中で、ちひろは弁当屋になっているのですが、周囲には自分が元風俗嬢であったことを隠してはいません。というより隠す必要がないのです。彼女にとっては風俗嬢だったことこそが、自分を自分たらしめる事実だったわけで、それを誇りこそすれ隠す必要はまったくないと思っているのです。
そうやって世間で当たり前とされることに疑念を抱き、自分が思うまま真っ直ぐに生きている彼女の姿はとても美しく、そして時に儚げでもあります。浮世離れしているがゆえの切ない心理描写などがまさにそうで、彼女が働いているお店で築き上げた幸せを放棄し、去っていくシーンなどは特に読者の心に残るはずです。普通なら幸せを放棄する理由など無いのにどうして……、彼女らしい生き方が垣間見えるシーンです。
しかしそれこそが、彼女が自分を自分たらしめる理由であり、当たり前の価値観をひっくり返すような、ひとつの真理を物語っています。複雑で美しい彼女の生き方を見るだけでも価値がある、そう言える作品です。少しでも興味の湧いた方は是非一度ご覧になってみて下さい。ちょっと難解かもしれませんが、その分深いお話です。
SEXに値段を付けられ娼夫となる青年のお話
原作は、石田衣良の初の恋愛小説。女性にも、SEXにも退屈していた主人公の青年が、女性向けボーイズクラブで「娼夫」となって働くことになるお話です。お客は様々な理由で男を買う女たち。そんな彼女たちと触れ合い、退屈だった彼の人生は大きく変わっていきます。
大学生活にも女性にも、そしてSEXにも退屈していた主人公の青年リョウ。ある日彼は、中学時代の同級生シンヤが連れていた女性、御堂静香と出会います。女性向けボーイズクラブのオーナーである静香は、リョウの女性やセックスへの無関心さに興味を示し、彼にあるテストを持ちかけます。テストの内容はひとりの女性とのSEX。リョウはテストに合格し、クラブでVIP向けの娼夫として働くことになるのです。
大学生活にも女性にも、そしてSEXにも退屈していた主人公の青年リョウ。ある日彼は、中学時代の同級生シンヤが連れていた女性、御堂静香と出会います。女性向けボーイズクラブのオーナーである静香は、リョウの女性やセックスへの無関心さに興味を示し、彼にあるテストを持ちかけます。テストの内容はひとりの女性とのSEX。リョウはテストに合格し、クラブでVIP向けの娼夫として働くことになるのです。
娼年 1 (オフィスユーコミックス)
作者 | 幸田 育子 |
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出版社 | 集英社クリエイティブ |
出版日 | 2007年01月19日 |
本作には、全体を通して大人のイメージが漂っています。主人公リョウは大学生でありながら、どこか人生を達観している人物です。静香が自身の経営するクラブでSEXのテストを提案した際にも、普通ならたじろいたりするところを、リョウは「いいですよ。」と、状況をすんなり受け入れます。静香もまた、その一挙手一投足が大人びていて、言動もボーイズクラブのオーナーらしいものばかりです。
物語の中で登場するクラブのお客たちは、人には言えない性癖や様々な理由を持つ大人の女性たち。そんな大人の世界で、リョウはただ単にSEXするだけでなく、お客である女性たちの心に寄り添い、彼女たちの癒やしとなっていきます。性行為や、それを取り巻く環境だからこそ描ける女性たちの悩みや喜び。また、そんな大人の女性たちと触れあうことで変わっていくリョウの心情などが細やかに描かれ、単純な風俗漫画とは違った味わいを見せてくれています。
女性やSEXをつまらないと言い、人生に飽いていたリョウの心の背景には、実は母親にまつわる過去がありました。静香に無意識の内に引かれていたのも、彼女に母親の面影を見たからかもしれません。女性たちとの触れ合いももちろんですが、そういったリョウの背景に繋がるエピソードからも目が離せない作品です。
元女王様が描く珠玉のSMギャグ漫画
SM女王経験があるという、六反りょう作の4コマギャグ漫画。地味なOLまどかが、アフター5のSM女王を目指すお話です。作中にはSMトリビアなどが散りばめられ、SM女王経験者ならではの笑いどころをわきまえています。
主人公、葛西まどかは普段は非常に地味なOLで、会社ではその根暗っぷりに陰口を言われるほどでした。しかしそんな彼女には誰にも言えない秘密があったのです。それは、アフター5のSM女王を目指す新人女王様だということ。いじめられっ子だった彼女は、ずっと女王様になって仕返しすることを夢見ていたのです。そんな彼女の夢への第一歩、女王様見習い生活が今スタートします。
主人公、葛西まどかは普段は非常に地味なOLで、会社ではその根暗っぷりに陰口を言われるほどでした。しかしそんな彼女には誰にも言えない秘密があったのです。それは、アフター5のSM女王を目指す新人女王様だということ。いじめられっ子だった彼女は、ずっと女王様になって仕返しすることを夢見ていたのです。そんな彼女の夢への第一歩、女王様見習い生活が今スタートします。
アフター5の女王たち(1) (星海社COMICS)
作者 | 六反 りょう |
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出版社 | 講談社 |
出版日 | 2016年01月09日 |
本作は風俗漫画ですが、内容はエロよりもギャグに特化しています。舞台となるのは、まどかが新人として働き始めたSMクラブ。そこには個性的な先輩女王様たちや、自らもM男である社長、森田など、濃い面々が揃っており、SMクラブならではの濃厚なギャグが展開されていきます。
特に面白いのは、作中にたびたび挿入される「SMトリビア」。作者のSM女王経験を活かした内容は秀逸で、感心するものから笑いを誘うものまで実に様々。
「SMトリビア1、M男だからといってすぐになついてくれるわけではありません」(『アフター5の女王たち』より引用。)
「SMトリビア5、手なずけているM男でも満足しないと女王様を挑発することがあります」(『アフター5の女王たち』より引用。)
など、これ以外にも多種多様なSMネタが登場し、笑いを誘います。
SMという行為に対し、抵抗がある方もきっといらっしゃるでしょう。しかしこの漫画には、性的な意味でのSM描写はほとんど無く、背徳感なども一切ありません。言ってみれば一種の職業漫画なのです。その職種ならではのあるあるネタや笑いどころを提供し、知らなかった世界のことを教えてくれる、そんな漫画作品です。
4コマ漫画ですし、お試し版もたっぷりと用意されていますので、風俗漫画だからと敬遠せず気軽に読んで欲しい作品。男性、女性どちらの方でも楽しめる内容だと思います。是非ご一読を。
健全な風俗業界の教育本?エロを「学べる」一冊
知っているようで知らない風俗業界。一般男性はまだしも、一般女性は興味があっても立ち入れない場所だったりします。風俗店の中では一体どんなことが行われているのか、それを漫画やイラストを通して簡単に知ることができる本なのです。
本作を一言で言うならば「エロを学ぶ本」です。この本一冊で、様々な性を学ぶことが出来ます。風俗経験が豊富な方はともかく、一般的な方々はそれほど多くの風俗経験は無いはずです。特に女性などは出入りが禁止されている風俗店などもありますし、あの中で何が行われているのか全くわからない、という方もいらっしゃるでしょう。そんな人たちに、漫画という手軽な媒体で様々な性サービスの実態などを解説していく本なのです。
本作を一言で言うならば「エロを学ぶ本」です。この本一冊で、様々な性を学ぶことが出来ます。風俗経験が豊富な方はともかく、一般的な方々はそれほど多くの風俗経験は無いはずです。特に女性などは出入りが禁止されている風俗店などもありますし、あの中で何が行われているのか全くわからない、という方もいらっしゃるでしょう。そんな人たちに、漫画という手軽な媒体で様々な性サービスの実態などを解説していく本なのです。
〔セイコ文庫〕オトコとオンナの深い穴 (MF文庫)
作者 | 大田垣晴子 |
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出版社 | メディアファクトリー |
出版日 | 2008年07月02日 |
風俗業界を描く漫画作品は、色気重視だったり、低俗だったり、どちらかというと背徳的なイメージがあるものです。しかし本作の趣旨は、様々な性の形をわかりやすく漫画やイラストで解説するというもので、余計なエロ描写や裏話などはほとんど登場しません。全体的に明るいタッチで描かれており、女性でも気軽に読めるように配慮されているのです。
具体的にどういった内容かを少々解説してみましょう。例えば性感マッサージの場合、どこにどういった性感帯があるのか、どこをどう刺激すれば快感を得られるのかなどが詳しく解説されます。またSMクラブでの場合は、どういったサービス内容で、どういう行為がお客を喜ばせるのかなどが細かく解説されます。
活字は少なめで、わかりやすく絵で描写されていますから、知識として吸収しやすいというのも特徴です。そんな知識なんて!と毛嫌いする方もいらっしゃるかもしれませんが、気恥ずかしさなどを気にせず見てみると、案外実生活に役立つ情報は多いもの。本作で得られるのはまさに、普段の生活では絶対に手に入らないであろう、意外に役立つ知識なのです。
性的な行為やそれにまつわる事柄に対しては一種の抵抗を感じるものです。しかしそうは言っても、我々人間とは切っても切れない部分なのも確か。そんな人生において重要な知識を、それほど恥ずかしいと感じることも無く気軽に学べるというのは、思った以上に大きなアドバンテージだと言えます。表紙が少々手に取りづらいのが難点ではありますが、内容は気軽に楽しめるはずです。あなたの知らない性の世界を、ちょっと覗いてみたいとは思いませんか?
自由奔放、破天荒!沖田×華の人生本
漫画家、沖田×華(ばっか)による日常エッセイ作品。元風俗嬢だった頃や看護師時代などの体験談をつづったお話です。アスペルガーであることを公言している彼女の破天荒な経験談を、笑いたっぷりで提供してくれています。
主人公は作者本人、沖田×華です。彼女は『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』という作品で一躍脚光を浴び人気者となりました。過去に美容整形、風俗嬢、正看護師、など様々な経験を経て漫画家となった人物で、作中では、その壮絶な人生を包み隠さず描き出してくれています。自分の整形好きな部分や、割り切った風俗嬢時代などをコミカルな絵で面白おかしく表現しており、世間の風評や思い込みなんか笑い飛ばしてくれるような明るい内容になっています。
主人公は作者本人、沖田×華です。彼女は『毎日やらかしてます。アスペルガーで、漫画家で』という作品で一躍脚光を浴び人気者となりました。過去に美容整形、風俗嬢、正看護師、など様々な経験を経て漫画家となった人物で、作中では、その壮絶な人生を包み隠さず描き出してくれています。自分の整形好きな部分や、割り切った風俗嬢時代などをコミカルな絵で面白おかしく表現しており、世間の風評や思い込みなんか笑い飛ばしてくれるような明るい内容になっています。
×華のやらかし日記
作者 | 沖田 ×華 |
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出版社 | ぶんか社 |
出版日 | 2013年03月29日 |
本作は作者自身の体験談を語るエッセイです。同じ風俗という題材であっても、実際に経験したからこそ語れるエピソードや考え方などがてんこもりです。美容整形や風俗に関してのあるあるネタはもちろん、彼女自身が「やらかしてしまった」とんでもないエピソードなども語られます。業界の裏話にも通じ、わたしたちの知らない世界のことを深く知ることにもなる作品です。
あまりにもコアな内容で、実際にその業界に詳しい人じゃないとわからないような内容も少々目につきます。しかし、そんなコアな内容だからこその魅力があり、特に美容整形に関しては無駄に詳細な知識が身についてしまう程です。10回以上の美容整形を繰り返してきたという、彼女の経験に裏打ちされているお話なのがよくわかります。
彼女の生き方は自由です。様々な職業を経験してきたこともそれを物語っています。自由だからこそ世間から逸脱し、激しくつまずくこともあったでしょう。しかし、そんな生き方をしてきた彼女だからこそ得られた想いが、漫画を通して読者の心にも伝わってきます。下品で粗野なネタが満載の作品ですが、彼女の生き方や考え方に何かしら学ぶこともあるでしょう。面白いだけでは満足できないという方にはピッタリの、読み応え十分の作品だと思います。おすすめです。
性に悩める女性必見!作者のレズ風俗体験談
タイトルだけでは少々伝わりにくいですが、本作品の概要は、さびしすぎてレズ風俗に行く決意をするほどに悩んだ筆者の体験レポ、です。重要なのは「さびしすぎて」の部分。社会と人間関係、そして性に真剣に悩む作者自身が、レズ風俗経験を通じて自らの心情をつづるお話です。
作者、永田カビは女性です。28歳まで異性経験が無く、社会人としての経験すらありませんでした。しかも孤独感により自殺未遂をはかり、摂食障害、脱毛、鬱などの様々な弊害にも苦しみます。本作品で語られるのは、そういった「さびしさ」をうめるために行ったレズ風俗の体験談。レポートと題してありますが、レズ風俗を紹介するというよりは作者自身の体験した感想や心情が中心に描かれた内容となっています。
作者、永田カビは女性です。28歳まで異性経験が無く、社会人としての経験すらありませんでした。しかも孤独感により自殺未遂をはかり、摂食障害、脱毛、鬱などの様々な弊害にも苦しみます。本作品で語られるのは、そういった「さびしさ」をうめるために行ったレズ風俗の体験談。レポートと題してありますが、レズ風俗を紹介するというよりは作者自身の体験した感想や心情が中心に描かれた内容となっています。
さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ
作者 | 永田カビ |
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出版社 | イースト・プレス |
出版日 | 2016年06月17日 |
本作は、作者のように、性への向き合い方に悩む読者やファンから大きな反響があり、様々なメディアでも紹介され、ちょっとした話題になりました。しかしその反面、タイトルから想像できる内容と作品の内容が大きく異なっていたこともあり、賛否の評価を得ている作品でもあります。念を押しますが、レズ風俗の詳細を描くレポート漫画ではなく、レズ風俗に癒やしを求めた、ひとりの女性の体験談です。
作中では作者、永田カビがどういった症状に苦しみ、どういう経緯でレズ風俗に行くに至ったかが詳しく語られます。正直な所、人によってはあまりにメンヘラな内容に拒絶反応を示すかもしれません。しかし、世の中にはこういった悩みを抱える人たちがたくさんいるのです。そんな自身の弱さをさらけだし、真実のままに語ってくれているこの体験漫画は、多くの人たちの心の琴線に触れています。
深い悩みを抱えながら一大決心でレズ風俗に行った永田カビは、同性が相手とはいえ、初めてのSEXを経験します。殻に閉じこもっていた彼女が初めて経験する快感は、肉体的なものだけでなく精神的な癒やしでもありました。相手のお姉さんに素直に心を開けない自分を申し訳なく思ったり、それでも抱きしめてくれてありがとうと思えたり、彼女にしかわからない心情が事細かく描写されています。
レズ風俗体験漫画としてエロシーンを期待した方には申し訳ありませんが、本作品には必要以上の性描写はありません。レズ風俗のおおまかなシステムを理解する程度の知識は得られますが、内容はあくまで、自分の心に向き合い、大きな一歩を踏み出したひとりの女性のお話です。性と心という人間の精神に深く思い至ったこの体験談は、女性はもちろん、男性であっても彼女と同じような症状で悩んでいる方ならば必見です。風俗漫画の傑作と言えるでしょう。
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毎日頑張っているお疲れのあなたにおすすめ!ホッとさせてくれる癒しの漫画を集めました。どの作品に登場するキャラクターも読者を癒し、心までポカポカにしてくれること間違いなしです!大城利麻2017.03.29