出典:PIXTA
お酒を飲むと赤くなる人は骨折しやすい?予防にはビタミンEが効果的【最新研究】
2017年3月27日(月)慶応大学で行われた研究において、飲むと赤くなりやすい人は骨粗しょう症による大腿骨近位部骨折のリスクが高く、また、ビタミンEがリスク軽減に役立つことが判明しました。(参考)
アルコールと骨に意外な関係があるとされますが、一体どのような研究が行われたのでしょうか?
今回は慶応大学が行った研究概要、骨折を予防する対策、ビタミンEの健康効果などを医師に解説していただきました。
アルコールと骨に意外な関係があるとされますが、一体どのような研究が行われたのでしょうか?
今回は慶応大学が行った研究概要、骨折を予防する対策、ビタミンEの健康効果などを医師に解説していただきました。
慶応大学が行った研究
研究背景
太ももの中にある大腿骨は、お年寄りが転倒すると股関節部分で折れてしまいやすい骨です。
大腿骨が折れると手術と長期入院が必要になり、お年寄りは一気に体力が落ち、そのまま寝たきりになったり、認知症が進む方もおられ、社会的に問題となっています。
骨粗しょう症で骨がもろくなっていると特に骨折しやすいです。
研究内容
今回慶応大学から発表された研究では、大腿骨骨折を起こした人には、遺伝子の観点から見て、どのような特徴があるかを調査いたしました。
研究結果
骨折を起こした人ではALDH2という遺伝子のある部分に、rs671という変化が見られ、骨折しやすさが2.48倍高くなりました。
rs671による変化によって、アセトアルデヒドが体内に溜まりやすくなり、骨を修復する骨芽細胞の機能を妨げるため、お酒を飲んで顔が赤くなる人は、そうでない人に比べて2.5倍大腿骨骨折を起こしやすいということが判明しました。
■ ALDH2とは
ALDH2はアルコールを体内で分解する際に働く遺伝子で、rs671という変化があると、アルコール分解の過程で生じるアセトアルデヒドという物質が体内に溜まりやすくなります。
■ アセトアルデヒドとは
アセトアルデヒドは脈拍や血圧を上げることで、顔が真っ赤になるflash syndromeを起こしたり、二日酔いや頭痛の原因となります。
また、ビタミンEを取ることで骨芽細胞の機能を活性化させ、 骨折リスクを少なくできるかもしれないということもわかりました。
考察
わざわざ遺伝子検査をしなくても、自分が骨折しやすいかどうかが分かり、転倒予防を早めにするなどの対策が取りやすくなると考えられます。
《参照》
・慶応大学
ビタミンEと骨の関係
過去に日本でおこなわれた研究で、ネズミに、人間でいうと一日に1000㎎に相当する大量のビタミンEを飲ませたところ、骨を破壊する破骨細胞が活性化してしまい、骨粗しょう症を招くという結果があります。
しかし、適量のビタミンEは骨の維持に必要と考えられており、慶応大学で行われた研究ではビタミンEが良いと言う結果が現われていました。
ビタミンEと骨を作る骨芽細胞の機能の関係に関しては、まだ研究段階の事項であるものと考えられます。
《参照》
・Nature Medicine
骨折予防をするのに効果的な対策
栄養素
骨の原料となるカルシウムやタンパク質、小腸や腎臓からのカルシウム吸収を促進するビタミンDを取ることが重要です。
薬
骨を壊す破骨細胞の機能を抑制することで、骨粗しょう症を治療する飲み薬・点滴薬が存在しますので、骨量が少ない方には投与されることがあります。
運動
骨を支え守っている筋肉を保つことも重要です。特にお年寄りは運動量が少なくなると筋肉が減り、動くのが大変になってますます運動量が減るという悪循環になりがちです。
状態に合わせて無理のない範囲で運動をし、筋肉に負担をかけて訓練する必要があります。
ビタミンEの健康効果
活性酸素を減らす
抗酸化作用によるアンチエイジング効果で知られ、更年期に起こりがちなお肌の老化の原因となる活性酸素を減らす効果が考えられます。
血流の改善、体の冷えを防ぐ
女性ホルモンであるプロゲステロンの材料や全身の血行を良くする働きがあり、生理痛、生理不順の原因の1つ、体の冷えを防ぐ効果が期待できます。
不妊や更年期障害を緩和する
ビタミンEにはホルモンバランスを整えてくれる作用があります。
また、ホルモンの原料となり、血流を良くする効果もあるため、不妊や更年期障害を緩和する作用が考えられます。
ビタミンEが多く含まれる食べ物
ビタミンEは油に溶ける性質があり、以下のような植物性の油分を含む食品などに多く含まれます。
■ オリーブオイル
■ アーモンド
■ アボガド
■ かぼちゃ
■ うなぎ
■ ヒマワリの種
最後に医師から一言
お酒の強さと骨折に関係があるとは意外な発見です。
お酒の強さも骨折しやすさも、「そういう体質」と考えられてきましたが、どのような遺伝子が体質を作り出しているのかが最近の研究で明らかになりつつあります。
今後も病気の予防に役立つ発見がされることを期待します。
(監修:Doctors Me 医師)
- この記事は、医療・健康に関する知識を得るためのものであり、特定の治療法、専門家の見解を推奨したり、商品や成分の効果・効能を保証するものではありません
- 専門家の皆様へ。記事の内容について間違いや誤解を招く表現がございましたら、こちらよりご連絡ください