この20年で劇的に経済が縮小した日本
預金封鎖という説が出てきたり、日本国債や日本円が暴落するという意見があったり、縮小経済を生きる私たちには不安な要素が盛りだくさんです。
日本経済が右肩上がりではないのは、すでに切実に感じられるところです。日本が長らくデフレだったのに対し、ドルは年率2%のインフレでした。為替レートはこの20年でボックスですから、実に20年で40%近く円が弱くなったと考えることもできます。
その円が弱くなった結果の外国人旅行者の増加であり、国際競争力の維持であると言えるでしょう。観光が脚光を浴びているのは、何も日本の観光資源の魅力が世界に認められたという、良い面だけの話ではありません。通貨競争力の面で日本が割安に感じられるようになったからに過ぎません。
世界は広く、割安で素晴らしい観光資源を持つ国が多々あります。日本だけが持つ文化の奥ゆかしさ、観光資源の良さももちろんあります。しかし、一番の理由は世界から見て相対的に日本が経済的に弱くなり、物価が安い、来やすくなったということです。
なぜ世界中でインド旅行やタイ旅行がいつの時代ももてはやされるのか。なぜ、ヨーロッパ旅行が一部の限られた人にしかウケないのか。その国の持つ良さだけでなく、価格という経済力が勘案されていることは間違いありません。
さて、長くなりましたがご質問を紹介します。
日本円と日本国債はどうなるのか
いつも楽しく拝見させて頂き有難うございます。
お忙しい中大変恐縮ですが、たぱぞうさんによろしければご見解を頂ければと思い質問させて頂きました。ずばり「日本円(日本国債)」についてです。
長期的には円安というたぱぞうさんのご見解は私も全く同意見です。しかしながら私は更に悲観的(悲劇的)なのではないかと最近感じはじめています。
日本は超高齢社会であることより、ある程度以上の高インフレ(超円安)は政治的にも社会的にも持たないと思われます。一方でもはや日本の財政状況を考えるとソフトランディングは不可能であるとも感じます。
そうであるならば70年前と同様、『預金封鎖・新円切り替え』という名の元に『財産課税』が行われるのではないか?という点です。「マイナンバー・国外財産調書・出国税」などどれを見てもその布石なのでは?と思うのは私が心配性なだけでしょうか?たぱぞうさんのご見解を伺えれば幸いです。
財政破綻、預金封鎖への対策をどう考えるか
私は市井の投資ブロガーですので、国の経済や国債の行く末を明確に見極めることはできません。ただ、海外旅行歴と、海外駐在経験から体験的に語れる範囲でお話をしてみたいと思います。
まず、自国通貨が信頼できる国というのは世界においてはそう多くないということです。例えば私が駐在していた開発途上国では、現地通貨のインフレが激しく、毎年のように価値が下落していました。
例えて言うと、去年500円で食べられていたラーメンが、今年は700円、翌年は800円、このようにジワジワと値上がりするのです。結局、10年で定食のようなものが倍以上値上がりをしました。
高成長の国でしたので、現地の人たちの給与も右肩上がりだったのでしょう。一方、私たち外国人への給与はドルで支払われるのが普通でした。ホテルや高級ホテル、レストランなどもドル払いが歓迎されました。
もちろん、国の指導で現地通貨払いは奨励されるものの、その価値が数年後には下がっていることが明確でしたので、現地の人も含めてドルが歓迎されていました。特に100ドルを超えるような支払では高額紙幣が喜ばれました。
この国に限らず、自国通貨よりもドルが信頼され、流通している国は多くあります。紙幣や硬貨は結局は商品引換券にしかすぎません。その価値を裏付けてくれる中央銀行と国家の経営が怪しくなれば、国の通貨の信頼も失墜してしまうのです。それが、極端なインフレということになります。
これらの経験から、自国通貨のみを財産とするのは日本に限らず違和感があります。ましてや日本の場合は国債が大量に積み上がり、金利負担を抑えるためにも低金利の継続は必須です。株式市場もこの20年で最高値を更新できていません。
まさに地域と対象の分散投資が求められていると言って良いでしょう。
日本円で給与を得ているならば投資を米ドル、不動産にする
もし、日本円で給与を得ているならば、退職金も含めてかなりの円ポジションを持つことになります。私の感覚からすると、これはとても偏った投資バランスになります。
例えば株式は米ドルで持つ、通貨だけでなく不動産を持つ、こういうバランスを考えて投資をしたいと思い実行しています。米国株は、成長国であり、法整備がされていることから投資妙味があります。それは100年以上成長を続けてきているNYダウ30種やS&P500を見ても明らかです。
また、不動産は価値が上がることはまれでしょうが、低金利での借入は円の暴落に対する備えになります。今日の2000万円の借金が、インフレになれば希釈化されるからです。また、多少希望的ですが持ち家を手放すほどの税金はかけないでしょうから、財産税への備えにもなるでしょう。
住宅ローン減税も相まって、賃貸派から持ち家派に転じたのはこういう理由です。よろしければ、関連記事でも触れていますので、ご覧ください。
関連記事です。財政破綻・預金封鎖への対策について、もう少し詳しく書いています。
関連書籍です。こういう悲観的な考えが私は好きで、そのためにどうするのか見据えて行動したいです。もちろん、財政破綻しない道が一番ですが、希望でご飯は食べられません。
ドル建て投資というのは円を持つ私たちにとって、もっとも簡単な分散投資の1つです。