籠池氏:首相夫人から「100万円寄付」-国会証言、首相側は否定
- 「夫人個人としても寄付は行っていない」-菅官房長官
- 「政治的関与あったのではないか」-国有地売却で籠池氏
大阪市の学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長は23日午前、参院予算委員会での証人喚問で、安倍昭恵首相夫人から100万円の寄付を受け取ったと発言した。菅義偉官房長官は記者会見で「寄付は行っていない」と認識していると述べた。
籠池氏は参院予算委の証人喚問で、2015年9月に自身の経営する幼稚園の園長室で昭恵夫人から「どうぞ安倍晋三からです、という風におっしゃって寄付金として封筒に入った100万円をくださいました」と話した。中身を確認して金庫にいったん保管したという。
大阪府豊中市の国有地取得をめぐっては、昭恵夫人に翌10月、「助けをいただこう」と携帯の留守電にメッセージを残したが、その後、夫人付きの政府職員から現状では希望に添うことはできないとファクスで返答があったという。土地取引については弁護士に交渉を依頼したが、「最終的に土地価格8億円余りも値引きされた1億3400万円になったと聞き、想定外の大幅な値下げにその当時はちょっとびっくりした」と語った。
菅官房長官は23日午前の記者会見で、安倍晋三首相の「自分で寄付をしていない。昭恵夫人、事務所、第三者を通じても寄付していない」との反論を紹介。昭恵夫人についても「支出等の記録もなく、昭恵夫人個人としても寄付は行っていない」と述べた。
籠池氏は昭恵夫人に講演料10万円を渡したことも証言した。安倍首相は2月27日の衆院予算委員会で、昭恵夫人は森友学園から報酬も講演料も全く受け取っていないと聞いている、と語っている。
政治的な関与
参院予算委の証人喚問では、山本一太委員長が大阪府豊中市の小学校認可申請、国有地の買い受け、校舎建設に至る経緯で政治的関与はあったのかと質問。籠池氏は「その都度、その都度の場所で政治的な関与があったのではないか」との認識を示した。
稲田朋美防衛相との関係について籠池は、夫の龍示氏と顧問弁護士の契約をしていたことを明らかにした上で、「今回の土地の事柄についても16年1月に相談に行った」と説明。稲田氏本人とは「直接相談したことはない」と述べた。
国会で国有地売却が取り上げられるようになった後、昭恵夫人から「口止めとも取れるメールが届いた」とも証言。これに対し、菅官房長官は「私が承知している限りでは全くない」と語った。
また、籠池氏は小学校の設置認可、土地取得などで自ら協力を求めた政治家として日本維新の会の東徹、自民党の柳本卓治の両参院議員、北川イッセイ前参院議員の名前を挙げた。
森友学園をめぐっては、大阪府豊中市の国有地売却問題、安倍首相夫妻や稲田朋美防衛相との関係などについて野党が政府側を連日追及している。読売新聞が18、19両日に実施した世論調査で安倍内閣の支持率は56%で、2月調査の66%から10ポイント低下した。衆院予算委も午後2時50分から籠池氏への証人喚問を実施する。