全国初、下水道事業運営権売却へ 仏企業などに
浜松市は21日、同市南区の下水処理場「西遠浄化センター」や2ポンプ場の運営権売却について、仏企業などでつくるグループが優先交渉権を取得したと発表した。運営権を購入した民間企業に公共施設を運営、維持させる「コンセッション方式」で、正式契約すれば同グループが2018年度から20年間、同処理場を運営する。下水道事業の運営権売却は全国初で、鈴木康友市長は「民間活力により、コストダウンが可能」としている。【竹田直人】
公共施設の運営権売却は、国内の有料道路や空港などで行われており、国や自治体の財政負担軽減策として期待されている。
グループは世界3000カ所以上で水処理事業を展開する「ヴェオリア」の日本法人「ヴェオリア・ジャパン」が代表企業で、JFEエンジニアリングやオリックス、地元企業の須山建設など6社で構成する。
同処理場などの所有権は市に残る。グループは、運営権の対価として市に25億円を支払い、市が徴収する下水道料金のうち27%(年間約18億円)を収入として受け取る。設備の修理や更新はグループが独自で行い、費用は市に請求されない。
市の試算では、市が運営を続ければ20年間で約600億円の費用がかかるが、グループは約513億円にまで圧縮できると主張し、優先交渉権を獲得した。
市は9月議会に関連議案を提案し、10月にも正式契約を結ぶ方針。一方、共産党浜松市議団の落合勝二市議は「民間企業に下水事業を任せるとなると、放流水の水質汚染の懸念がぬぐえない」として反対の姿勢を示している。