市長、名刺をツアー割引券に 公選法違反か
神奈川県横須賀市の吉田雄人市長が自身の名刺の裏面に、市内で船のツアーを行う観光業者に名刺を提示すると10%の割引が受けられると記載していたことが分かった。市選挙管理委員会に「公職選挙法違反の恐れがある」と指摘されたにもかかわらず、6年余前から配っていたという。吉田市長は21日、報道陣の取材に応じて謝罪し、「率直に反省している。使用を中止した」と述べた。
問題の名刺は、裏に市内の観光名物を記載した6種類のうちの2種類。観光業者が船を運航する「YOKOSUKA軍港めぐり」のツアー代(料金1400円)と、無人島「猿島」への渡船料(1300円)が10%割引になると記載している。
市長によると、配り始めたのは2010年11月ごろ。「市の観光戦略として観光をPRする目的で作った。私から業者にお願いしたと思う」とした。計約2600枚配ったという。
市選管によると、市長から市選管に名刺を配布するのに問題はないかと問い合わせがあり、県選管に照会。「公選法が定める寄付行為の禁止に当たる可能性がある」との指摘を受け、10年12月ごろ、市長には「配布をお控えください」と口頭で報告したという。
市長は「(市選管の報告は)覚えていないが、今となってはやめておけばよかった」と陳謝した。【田中義宏】