新火葬場「危険な場所」に 土砂災害、震災懸念
相模原市が市内2カ所目となる新火葬場の建設場所の最終候補地に、緑区青山(旧津久井町)の帝京大学青山グラウンドを選定していることが、関係者への取材で分かった。二つの断層に挟まれた土砂災害警戒区域の山間地で、市街地の居住者には交通の利便性も悪く、住民から「公共施設を設ける場所として不適当」との批判が出ている。【高橋和夫】
2014年に作られた基本構想では、新火葬場は延べ床面積最大約6300平方メートルの平屋か2階建て。火葬炉10基、告別室・収骨室各4室、待合室10室、式場、霊安室などを備える。順番待ち日数がほとんどない状態にするため、25年度までに整備が必要としている。
市は緑区の候補地7カ所から3カ所に絞り、整備費や環境、交通利便性などを評価して、同グラウンドを最終候補地に選定した。県道から幅約4メートルの坂道を約400メートル進んだ中腹にあるグラウンドは広さ約1・7ヘクタール。帝京大硬式野球部が使用し、近くに駐車場が2カ所ある。
グラウンドは東側に鶴川断層、西側に伊勢原断層がある。南山は崩れやすい砂れき層で形成され、グラウンド全域が土砂災害警戒区域で、グラウンド脇の南沢は土砂災害特別警戒区域の急斜面。両断層とも活断層とされていないが、1923年の関東大震災では活断層に沿って建物の倒壊が多くあったという。
関東大震災では南山に隣り合う馬石地区で、大量の土砂流出で16人が生き埋めとなった。相模川に注ぐ串川の流路も変わり、流出した土砂が堆積(たいせき)した箇所を地元では「地震峠」と呼ぶ。
住民の間では、別の候補地が将来の交通の利便性や安全性の面から最有力とみられていたという。市が今年1月、地元説明会で候補地選定を報告した後、被害を語り継ぐ青山・串川地区住民の多くが大規模地震による被害を心配し、60代男性は「公共施設の立地に不適当な危険な場所」と選定に驚いている。
市側は「候補地は複数あり、グラウンドに最終決定したわけではない」と説明している。