10-12月GDP年率1.2%増に上方修正-市場予想は下回る
- 設備投資が2.0%増と速報値を大幅に上回る-個人消費は横ばい
- 消費など内需は「物足りない力強さに欠ける結果」とSMBC丸山氏
昨年10-12月期の実質国内総生産(GDP、改定値)は、速報値から上方修正された。設備投資が速報値から引き上げられて全体を押し上げた。4期連続のプラス成長は変わらず。市場予想は下回った。内閣府が8日発表した。
キーポイント
- 10-12期GDPは前期比0.3%増と速報値(0.2%増)から上方修正(ブルームバーグ調査の予想中央値は0.4%増)
- 年率換算は1.2%増と速報値(1.0%増)から上方修正(予想は1.5%増)
- GDP全体の約6割を占める個人消費は横ばいと速報値と変わらず(予想も0.0%)
- 設備投資は2.0%増と速報値(0.9%増)から上方修正(予想は1.7%増)
背景
財務省が1日発表した法人企業統計によると、10ー12月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は、前年同期比3.8%増と市場予想に反して2期ぶりのプラスとなった。GDP改定値に反映されるソフトウエアを除く設備投資は同3.3%増で、季節調整済み前期比では3.5%増だった。
政府は2月の月例経済報告で「一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」との景気判断を維持。日本銀行の政井貴子審議委員は6日、スイス・チューリヒで講演し、昨年後半以降の原油価格の安定的な動向が「世界経済ひいては日本経済にも好影響を及ぼす」と指摘。「日本経済の下振れリスクは昨年 後半と比べて低下しているとみている」と述べた。
エコノミストの見方
- ゴールドマン・サックス証券の田中百合子エコノミストは発表後のリポートで、法人企業統計で堅調な伸びが確認された設備投資は1次速報から大きく上方修正され、消費増税直前の2014年1-3月以来の高い伸びとなったと指摘。在庫は下方修正されたが、これは在庫調整が一段と進ちょくしたことを意味し、設備投資の上方修正と合わせ「内容は悪くない」としている。
- SMBC日興証券の丸山義正チーフマーケットエコノミストは発表後のリポートで、外需の貢献により今年の日本経済は潜在成長ペースか若干それを上回る程度の成長が可能とみる。名目雇用者報酬は明確に増加しているが、「個人消費の拡大に結び付いていない」と指摘。内需という観点では「物足りない力強さに欠ける結果」としている。
詳細
- 公共投資は2.5%減と速報値(1.8%減)から下方修正
- 在庫のGDP全体への寄与度はマイナス0.2ポイントと速報値(マイナス0.1ポイント)から下方修正
- 外需の寄与度はプラス0.2ポイントと速報値から変わらず
- 7-9月期の実質GDP成長率は前期比0.3%増、年率1.2%増
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