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Written by 平田和生 131記事

優良企業ウォッチ

ABCマートの「稼ぐ力」 15年連続最高益のワケ

(写真=TungCheung/Shutterstock.com)
(写真=TungCheung/Shutterstock.com)

ABCマートを知らない人はまずいないだろう。国内だけでも842店(16年2月末)を展開する靴の販売チェーンだ。繁華街でもショッピングモールでもどこに行ってもよく見かける。だが、15年連続で過去最高益(経常利益)を更新する見通しの優良企業ということをご存知の方は多くないだろう。

日本の靴の売上では、チヨダ <8185> をおさえてシェアトップとなっている。上場企業で連続過去最高益更新企業(今期予想を含む)の1位は30年連続のニトリ <9843> だ。ヤオコー <8279> の28年、ツルハ <3391> の24年がそれに続く。ABCマートは同率で6位に位置している。

連続過去最高益を更新しているだけでなく、靴業界にSPAのビジネスモデルを導入し、小売店としては異例の高収益体質なのだ。

小売業では飛び抜けた「高収益」の理由は?

アパレル業界は、SPAを導入することがグローバルで成長する鍵となっている。ユニクロを展開するファーストリテイリング <9983> 、ZARAのインディテックス、スウェーデンのH&M、アメリカのGAPなどファストファッションの大企業がその代表例だ。

SPAとは、日本語で製造小売業とも言う。小売業者が自社のプライベートブランドを持ち、企画、製造から販売までを一貫して行う業態。販売の最前線での売れ筋商品の情報を、新商品の企画にすぐに反映し、自社工場ですぐに製造するといったスピード経営が可能で、少量多品種生産に対応出来るため商品効率も良く、在庫リスクも限定的になる。

ABCマートは、靴業界にSPAを導入した。英ホーキンスや米VANSといった海外有名ブランドの商標権を獲得し、自社で開発から製造、販売まで手掛けている。同社の好採算を支えているのは、こうしたPBブランドで、売上の約半分を占める。

残りは、ナイキ、ニューバランスといったグローバルブランドだが、それもメーカーと共同開発して大量に直接仕入れするため、好採算で値下がりに強い。さらに徹底したPOSシステムの活用による販売力の底上げ、物流の効率化などが、収益体質を強固にしている。

ABCマートの今期予想ベースの営業利益率は17.5%。小売業界としてこの営業利益率は異例の高さだ。

たとえばファストファッションの代表で高収益と言われるファーストリテイリングの今期予想の営業利益率は9.5%だ。大手アパレルでは、アダストリア <2685> が同8.1%、ユナイテッドアローズ <7606> は6.3%。良品計画 <7453> も小売では高収益と言われるが11.3%だ。靴業界では、業界2位のチヨダ <8185> が5.4%、ジーフット <2686> が5.6%、リーガル <7938> が3.5%とABCマートの収益率は群を抜いている。

高成長のカギはABCマートの店舗戦略、15年で株価10倍超

15年連続の過去最高益を支えているのは積極的な店舗戦略にもある。地域、商圏に適合した店舗をスピーディに出店できる体制が構築できている。路面店、駅ビル、ファッションビルといった既存の出店形態以外に、小商圏向けのネイバーフッドショッピングセンターやロードサイド店など新業態・新形態店舗チャネルも開発を進めている。

店舗は市場の変化に対応して常にリニューアルを欠かさない。国内店舗数は、06年2月末に245店であったのが、16年2月末には849店とこの10年間で3.5倍になった。新規出店がABCマートの成長をささえていることは明らかだろう。今後も毎年50店程度の新規出店を続ける方針だ。

15年連続最高益を更新している間に株価は大きく上昇した。15年前の2002年の株価の安値は515円だった。515円で買っていれば、2014年には12年掛けてテンバガーを達成、その後の高値は2015年の8020円で15倍以上になった。

マラソンが市民権を得るなど女性のスニーカー市場が拡がったことや、インバウンドの外人の需要なども追い風となる。今後もABCマートには注目していきたい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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