北朝鮮は3月6日午前7時34分ごろ、北朝鮮西岸の東倉里(トンチャンリ)付近から、弾道ミサイル4発を東方向に発射した。菅義偉・内閣官房長官の記者会見によると、弾道ミサイルはいずれも約1000キロ飛び、うち3発は日本の排他的経済水域(EEZ)に落下。安倍晋三総理は北朝鮮に厳しく抗議した。
今回のように、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した場合、「Jアラート(全国瞬時警報システム)」が出る時もある。しかし、今回はなかった。どうしてだったのか。
北朝鮮の弾道ミサイル発射問題について、参院予算委員会で報告する安倍晋三首相 時事通信
Jアラートはどうなった?
Twitterでは「Jアラートは機能したのかな?」「北朝鮮がミサイル発射してもJ-アラート通知全く来ないんだけどシステムどうなってんの?」などと、疑問の声が出ていた。
Jアラートは、国が緊急情報を出す仕組み。津波・地震などの大規模災害だけでなく、弾道ミサイルでも出される。Jアラートが出されると、市町村の防災行政無線等が自動的に起動し、屋外スピーカー等から警報が流れるほか、携帯電話にエリアメール・緊急速報メールが配信される。
今回と同じ北朝鮮西岸の東倉里(トンチャンリ)付近から2月7日、ミサイルが発射されたケースでは、Jアラートが出されていた。携帯電話のエリアメールでは、次のような文章が流れた。
政府からの発表
2016/02/07 09:34
「発射情報、発射情報。先ほど、北朝鮮からミサイルが発射された模様です。続報が入り次第、お知らせします。」
(総務省消防庁)
なぜ今回は、Jアラートが出なかったのか。
弾道ミサイルなど、武力攻撃についてのJアラートを出すかどうかは内閣官房が決めている。内閣官房の担当者は、BuzzFeed Newsの取材に、次のように答えた。
「Jアラートは、ミサイルが我が国の領土・領海に飛来する可能性があると判断した場合に送ることになっています」
「一方、今日の場合は、途中の段階で日本海に落ちるだろうと予測しました。Jアラートを出さなかったのは、ミサイルが日本の領土・領海に飛来する可能性がないと判断したからです」
今回のミサイルは、秋田県男鹿半島から西に約300~350キロの日本海上に落下したと見られている。これは、日本の排他的経済水域(基線から約370キロまで)の範囲内だが、領海(基線から約22キロまで)には至っていない。
まとめると、Jアラートを出すのは次の2つの場合。
(1)ミサイルが領土・領海に落ちると判断したとき
(2)ミサイルが領土・領海を通過すると判断したとき
今回はそのどちらにも当てはまらず、Jアラートは出なかった、ということだった。