今日は体験談を投稿してみようと思う。といってもまあ寓話のようなものだ。何かを学べる。
こう見えて交友範囲が結構広いので、古今東西いろんな友人のエピソードを持っていて、あと100ぐらいは話せる……というのは嘘にしても、今回の話もその1つなのは間違いない。
私にはかれこれ十数年の付き合いになる友人がいる。まあ何人かいるのだが、その中でも特に仲が良かった2人に焦点を当てる。その2人と私は親友だった。
片方をカラオケ君、もう片方をオカネ君と呼ぶことにする。
この2人の縁が、たった2000円でプツリと切れてしまう悲しきエピソードだから、手元にハンカチ、もしくは手斧を用意して読んでいただきたい。
手斧はムカついたときにこのページのブクマにでも飛ばしていただけると幸いだ。
事の発端~カラオケ会~
突然カラオケ君がこんなことを言いだした。個人LINEで切り出された。
「今週の日曜、オカネと一緒にカラオケ行かね?」
あいにく部活動が忙しかったので、日曜は空いていなかった。私は部活に関してもこれまた100ぐらいのエピソードがあって、そのほとんどはへそで腸が沸かせるぐらいのレベルのもの(へそと腸は近い)なのだが、また後日話すことにしよう。
天井の照明は今この2人にあたってるのだから。
私は少々の悔しさと怒りと悲しみを滲ませながら、
「ごめん、部活が忙しくて」
と返信した。
「そっか、残念」
それだけで会話は終わってしまった。きっと私が部活に打ち込んでいる間に、カラオケ君とオカネ君はカラオケに行って、楽しい時間を過ごすに違いない。その後マクドナルドに行って、賑やかな家族連れを傍目に、100円のジャンク・フードとぬるくなったコーヒーを両手に持ち3時間ぐらいたむろして、電車に揺られながら帰宅するのだろう。
ああ無情。世の何と理不尽なことよ。日曜日に駆り出され、そのまま自習室で8時まで勉強をしなければならない生活。学生生活という言葉とは対極にある生活。
前世のカルマが今になって効いてきやがった。
私は本気で彼らを羨んでいた。
時は進み、1か月後のこと。
突然カラオケ君からラインが来た。
「相談があるんだけど」
どっちが悪い?
どうやら、例のカラオケ会なのだが、行ったのは行ったとして、その後オカネ君と口を聞いていないらしい。
というのも、カラオケ君は私に断られた後、オカネ君を誘うのを忘れていたらしく、当日になって急きょ彼の家に行ったという。こういうことは私たちの間ではよくある。だからカラオケ君が非常識とは思えなかった(世間一般で言えば急に家に来るのはかなり迷惑なのだが)。
彼が「今日カラオケに行かない?」と尋ねたところ、
オカネ君は「持ち合わせがない」と答えた。
どうしてもカラオケに行きたかった彼は最後の一押しをした。これが縁切れの始まりだったとも知らず。
「じゃあ俺がカラオケ代貸すから!お願い!」
それに圧され、数分問答したあげくにオカネ君もついつい
「しょうがないなぁ」
と答えてしまったのだという。
カラオケ代と電車代、合計2300円はカラオケ君が代わりに払った。その後返すという約束は彼曰く「借りたお金を返すのは常識だから特に念押ししてない」とのこと。
一週間後、果たしてオカネ君はまだ金を返していなかった。
その「1」という数字はだんだん大きくなる。2、3、ついに4……つまり四週間、一か月が経ったのである。さすがに一月も待たされて、カラオケ君はシビレを切らしてオカネ君に催促した。
この時点ではカラオケ君も、「ああ、返すの忘れてるんだろうな」ぐらいにしか思っていなかったという。彼にLINEで催促。
だがオカネ君の口から発された言葉は衝撃的なものだった。
「は?お前が無理やり連れていったんだから、返す必要はないよね☆」
☆マークは原文ママというか、実際に語尾に☆がついてたらしい。
私なら☆マークで昇天するというか、そのまま持っているスマホを壁に投げつけ、オカネ君の家に行ってチャイム連打しないと気が済まなそうだったが、かなり沸点の高い(怒らない)カラオケ君は何も言わなかったという。
そう、文字通り、何も言わなかったのだ。
事実上の絶縁。高校を卒業してもそのまま。
10年来の縁が、たった2000円で切れてしまったのである。
なんでこんなことが起こったのだろう。
事件の原因
一言で言えば、「お金の貸し借りに対する認識の違い」だろうか。
カラオケ君は「たとえ俺が無理に連れ出したとしても、『貸す』と言った以上返すのは当たり前だ」と考えていた。
オカネ君は「無理に連れ出されたのだから、『貸す』という言葉は無効だ」と考えていた。
カラオケ君は借用書を作るべきだったのだろうが、たかが2000円と考えていたのだろう、そこがまずかった。借用書をかわしてしまえば、お互いに合意があったうえでの貸し借りと(法律的には)認められるから、言い逃れはできなくなる。
だが作っていない。結局カラオケ君はオカネ君に「返してよ」と言うしかないが、元々脛に傷持つ身、自分が無理やり誘っていたのだから、あまり強くも言えず。
そもそもたかが2000円、しかも友人同士なのだから、わざわざ公的なやり取りをする必要もあるまい。カラオケ君はそう舐めてかかっていたが、我々はここからとってもとっても大事な教訓を身につけることができる。
金は貸すな
金を他人に貸すな
ということである。こんなの当たり前じゃんか、と思うかもしれないが、これを読む中学生、高校生がいたら本当に肝に銘じておいてほしい。(大人の方だと恐らく単位が一桁違うだろうから、ちゃんとした書類の作り方などは調べたほうがいい)
人間なんて、2000円のために10年来の交友さえ簡単に断ち切れるほど弱い生き物なのである。
他人というのは家族も含む。金は貸しちゃいけない。それが家族であってもだ。兄に一万円をせびられたあげくまだ返してもらってない友人を私は知っている。
ことお金のこととなると人間はどこまでも冷徹に自己中心になる。貸してくれると知ったら頭を下げるクセに、催促をしたら途端に機嫌が悪くなるのだから、都合の良い生き物だ。
まあ貸す状況を作らないのが理想ではある。私は手持ちが余分にあっても、友人には金を貸さないようにしていた。「ごめん!手持ちがなくて」と言えばいい。
しかしどうしても貸さざるを得ない場面というのが出てくる。友人が財布を忘れてしまったときとか、交通費が足りなくて電車に乗れない場面とかだ。
こういう時どうするか。もちろん書類を作っておくのはいい。相手が言い逃れできなくなるからだ。だが、印鑑をプライベートで持ち歩く学生もあまりいないだろう。
サインはあまりあてにならない。お前が偽装したんだろと言われれば確かにすり抜けられてしまう。かなり苦しいけど。
だから私は、相手に宣言を繰り返させて、それを録音していた。
「〇年〇月〇日、〇〇は◇◇に2000円貸しました。よって、◇◇は〇月△日までに、2000円を〇〇に返すことを約束します」
これをまず私が読み上げ、その後相手に読み上げさせる。
こうすることで法律的に正当とまではいかないにしろ、合意があってお金を貸し借りしたことへの、かなり強い根拠になる。裁判で使えるかはわからないが、俺とお前の親に聴かせるぞと脅せば、相手も返さざるを得ないだろう。
録音がめんどくさいなら、相手と自分の個人LINEで、相手に
〇年〇月〇日、〇〇は◇◇に2000円貸しました。よって、◇◇は〇月△日までに、2000円を〇〇に返すことを約束します
という文章を打たせるといい。さすがにLINEを偽装したなんて言い張れないだろうから。
とにかく、契約(貸し借り)に互いの合意があって、借りた方に返済の意志があったことを証明できるなら何でもいい。こうでもしないとお金は返ってこない。
めんどくさいと思われても
これをお読みの学生諸君の中には、
「うっわコイツここまですんのかよ。メンドクサ。俺が友人だったら縁切ってるわ」
とお考えの方もいらっしゃるだろう。実際「そこまでするのかよ?」と言ってくる友人もいた。それは正論だ。正しい。メンドクサイと自分でも実感している。
(まあ借りる分際でメンドクサなんて言ってくる人がいたら、それこそこっちから願い下げじゃ!!という感じなのだが。口には出さんが)
だがこれは金だけの問題に非ず。相手との絆の問題でもある。
人を見たら泥棒と思え、という言葉は個人的に嫌いなのだが、念には念を入れる必要がある。だから私はこう答えるようにしている。
疑ってるわけじゃないんだけど、金なんかで大事な友人を失いたくないから、協力してくれないかな?
そうして前述のエピソードを話すと、ちゃんと録音やLINEに協力してもらえる。
めんどくさいのは確かにしろ、その少々のめんどくささを受け入れなかったばかりに、大事な友人を簡単に失うこともあるのだ。そう考えれば一種の「リスクヘッジ」といえるだろう。
あ、先輩とか上司の場合は……ちゃんと借用書を作りましょう。
金が返ってこない人へ
現在進行形で貸し借りの問題に直面している諸君。
まず諦めよう。
たぶん「何を言っても返してくれない」とか「もう一か月も催促しているのに」とか、そういう人もいるだろうが、まず全てを諦めてみよう。
社会からすれば、「いやいや、貸したオマエもアホやんけ」で終わってしまうのである。それだけ金の貸し借りの問題は難しい。もし仮に民事裁判で争うにしても、その費用が回収額より大きくなることも多々ある。
ならば、もうそのお金を回収する術はない。それとも相手の家にナイフを持って忍び込む?駄目だ、あなたが捕まるだろう。
そして、口約束だけでお金を借りて踏み倒したソイツと縁を切ろう。どんなに良い奴に見えても、金を踏み倒すことは許されるべきでないし、許す必要もない。要するにクズなのだ。クズと付き合っていたらあなたもクズになってしまう。
人間なんて所詮自己中心的で都合の良い生き物、奥底では何考えてるかなんてわからないのだから「ああクズを見つけるいいチャンスだった」とでも考え、他の人と付き合うことにしませう。
そして金を簡単な気持ちで貸してしまった自分を恥じよう。
社会に出てからだと額も大きいから、学生のうちに失敗するのも一つの手だ。失敗しないのが理想だけど、人間はそんなに賢い動物じゃない。
金を借りないようにしよう
もう一つ。金は他人に借りないようにしよう。特に相手が大事な友人なら。
あなたは「ちゃんと返すさ」なんて思ってても、人間はやっぱりクズだから忘れる。
友人はあなたに金を貸したことをはっきり覚えていて、あなたと話すたびにその事実が思い起こされる。気が弱いならなおさら、催促もできないから、「コイツも結局返さない奴だったな」なんて思われて縁切られて終わりだ。
だから、極力金を借りないようにしよう。
自分がどうしても借りなきゃいけない時は書類を作るなりLINEで申告するなり録音するなりして、ちゃんと相手との信頼を保つようにしよう。相手はあなたのことを信用して貸してくれたのだから、その分相手の肩を持ってあげるイメージで。
そういう細かくてめんどくさい行為が積もって信頼のある交友関係になる。「アイツは裏切らない」と思われることに繋がる。
たかが2000円、されど2000円。
あなたは金をとるか?友人をとるか?
という問題でした。ちなみにカラオケ君とオカネ君ですが、お互いにどこにいるかもわからないらしいですよ。同窓会で催促するのかな?
お金にはくれぐれもお気をつけて。アレは人間関係に効く劇毒です。