(出所はWIKIパブリックドメイン画像)
「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」が本日、上映開始です。前作の「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」が公開されたのは2014年10月でしたので、2年4か月ぶりのヤマト発進になります。
最近、当ブログの記事も難しいテーマが増えてきたので、たまには休日モードの記事を公開してみます。
筆者は24日が初めてのプレミアムフライデーであることを忘れていたので、昨日もいつも通り、政治経済の記事を書いていたのですが、アクセスが伸びないのを不審に思い、数時間たってやっと気が付きました(このブログは休日にはアクセス数が2~3割減する傾向があるので、カレンダーを見ない筆者は記事公開後のアクセス数を見て、「ああ、今日は休みだったんだ」と思い至ることがたまにあります)。
話をヤマトに戻しますが、構成・脚本の担当は「ガンダムユニコーン」に携わった福井晴敏氏なので、筆者は出来上がりにかなり期待しています。ガンダム系のアニメも一時期、マンネリ化してつまらない作品が増えていたのですが、福井氏のガンダムユニコーンは出色の出来だったので、面白い形で物語がリメイクされるのではないでしょうか。
ちょうど、23日に地球に似た惑星があるとNASAに発表されたばかりなので、「ヤマト2202」の公開(航海)は時期的にもピッタリです。そこで、今日は宇宙とSF等についての雑記を書いてみます。
- 「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」って何だっけ?
- 「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の見所
- GIGAZINEが福井晴敏氏にインタビュー
- 宇宙開発で「地球外生命との出会い」は探究テーマになる?
- 日本はもっと宇宙開発できる?
- 未来を先取りし、未来を動かすのがSFの醍醐味?
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「宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海」って何だっけ?
そもそも「ヤマト2199」を見てない方もかなりいますし、日本では、宇宙戦艦ヤマトの原作が公開された後に生まれた人達(筆者もそうですが)が、今後、多数派になっていきます。
そのため「宇宙戦艦ヤマト」を知っているとは前提せず、今さらながら、その世界観を振返ってみます。
このシリーズがテレビに初めて姿を現したのは1974年10月なので、ヤマト2199が公開されたのはちょうど40年後になります。つまり、リメイクされた時、かつての作品に胸をふるわせた少年少女たちがヤマトに再会した時は、みんなおじさんおばさんになっていたわけです。
「宇宙戦艦ヤマト2199」は、ガミラス星に侵略され、放射能汚染された地上から逃れ、地下に逃れている人類が地球を取り戻すため、最後の希望となる宇宙戦艦を発進させ、異星人の艦隊を打ち破る。そしてガミラスの母星近辺に住む友好的な宇宙人から放射能汚染を解消する機械を持って帰るーーという設定です。
ヤマトシリーズを見て、筆者が不思議に思うのは「地球」の話なのに登場人物が日本人ばかりなことですが、そこは今回、触れないことにします(恐らく、日本人向けの設定なのでしょう)。
戦争と戦後復興を経験した松本零士氏の体験が凝縮されたヤマトシリーズのシナリオは、敗戦寸前の地球が「ヤマト発進」でガミラス軍への奇跡の逆転劇を実現する話を下敷きにして、戦後復興後に異星人の侵略を受け、もう一度、ヤマトで撃退する話が描かれていきます。「ヤマト2199」は前者のシナリオのデフォルメ版で、後者のシナリオ(復興後の物語)には何種類かのバージョンがあります。
25日に公開される「ヤマト2202」ではガミラス軍を撃退後に地球は復興。その3年後を想定した物語です。
「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」の見所
「ヤマト2202」では、3年後に白色彗星帝国のガトランティス人から地球が侵略される設定になっています。遠方から地球に迫る白色彗星の中に都市帝国があり、そこに住むガトランティス人が地球侵略を図っているわけです。
もともとの「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(1978)では、ガミラス星の指導者デスラーが一緒に地球に攻めてくるという設定ですが、プレビュー動画で見ると、今回の「ヤマト2202」では、ガミラス星と地球は講和したのか、同盟を結んでいるようです。そこでは、地球軍とガミラス軍の連合艦隊がガトランティス艦隊に負けそうになり、ガミラスの最終兵器デスラー砲(宇宙戦艦ヤマトの最終兵器「波動砲」と同類の兵器)で敵を殲滅する話が描かれています。
リメイク版なので、設定がどう変わるのかも一つの見所になっています。例えば、原作では地球軍が誇る宇宙戦艦アンドロメダが率いる艦隊が出撃して撃沈されるのですが、こちらはどうなるのかも気になります。
プレビュー版で見ると、古代進や森雪などの古式ゆかしいキャラが今風の絵にデフォルメされ、戦闘シーンがCGで華やかに描かれているので、アニメの「現代化」も大きな見所です。
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GIGAZINEが福井晴敏氏にインタビュー
今回、「宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち」に先立って、ニュースサイト「GIGAZINE」がシリーズ構成の福井晴敏氏にインタビューを行っています(2017年2月24日「今この時代に作る意味がある『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』)。その見所を幾つか紹介してみましょう(長いので、編集部の質問は要約します)。
どうしてヤマト2199は「100億円経済圏」になった?
福井晴敏(以下、福井):(※ヤマトと)ちょうど同時期に「機動戦士ガンダムUC」(以降、ガンダムUC)をやっており、私たちの世代からすると、この「ガンダム」と「ヤマト」という2つの作品はなかなかマニア層から飛び出していけない部分があったのですが、そこを飛び出した商売ができるようになったな、という感じはありました。
G:「2199」が始まったときは、こんなにヒットするとお考えになっていましたか?
福井:この点についていうと、今回の「2202」のもとになった「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」(以降、「さらば」)は観客動員数が400万人を突破しているんですよね。
G:確かに、同年公開の邦画の中で2位だったと。
福井:そう考えると「実はまだ潜在顧客の10分の1も取れていない」という考え方もあるわけで、そこを掘っていかないといけないな、というのが今回の作品です。
400万のヒットなので、今でいえば、『君の名は。』の大ヒットにも似ています。しかし『君の名は。 』は続きが出せるのかどうかが微妙なので、シリーズとしての大ヒットを生み出したヤマトシリーズのほうが規模は大きそうです(40年後に『君の名は。』をもう一度、みんなが見るようになるかどうかは不明)。
日本のエンタメのメガヒットシリーズとしては、宇宙戦艦ヤマト、ガンダムがやはり大きく、ヤマトの後に出てきたガンダムはもともと「ヤマト越え」を狙った作品でもあります。
福井氏が初めてヤマトを見た感想
福井:当時の私は小学3年生ぐらいで、視聴対象からは全く外れていたので、劇場版で初めて「宇宙戦艦ヤマト」の存在を知りました。見た時は「何かすごいものを見た、こんなに真面目なまんががあるんだ」と思いました。当時、「アニメ」という言葉自体がまだ怪しかった時代で、「テレビまんが」と言われていました。
確かに、ヤマトは「人類の危機を救う」という非常にまじめなストーリーです。戦争を経た松本零士氏の、ご本人の経験が反映された作品だからです。ヤマト発進には「日本の復興」という夢が重ね合わされています。
<福井:極端な話、内容なんてどうだっていいわけです。でも、それを逆手にとってというのか、そんな環境の中でちゃんとした話をやってのけた。しかもその内容は、当時の日本の実写も含めて手つかずだったところに手を伸ばしたもので、上手く作ってしまったというのが「ヤマト」のすごいところです。
・・・
10代の若者たちが見に行って、みんな泣いて帰ってくる。そりゃ「一体なにがおきたんだ!?」と思います。それぐらいの衝撃でした。
当時の社会現象だった「ヤマト」は、みなが「お前も見たか?」と言い合っていたようです。筆者の感覚では、「君の名は。」のヒットは大きいにせよ、そこまでは行っていないような気がします。
福井氏は「ガンダムユニコーン」が190万本を達成。しかし、ガンダムの映画三部作はヤマトには勝てなかったのだから、ヤマトのリメイク版はもっと大きな市場を狙えると見ています。「ヤマト2199」の50万本越えを狙っているとも述べていました。
ただ、ヤマトのヒットと、「君の名は。」のヒットは性格が違います。ヤマトは宇宙に向けて出ていくという、マクロなストーリーですが、『君の名は。』は恋愛を中心としたミクロのストーリーです。ヒットの性格の違いには、インフレの中で経済成長が続いた時代と、デフレ時代の不況が続いた近年との違いが反映されているようにも見えます。
宇宙開発で「地球外生命との出会い」は探究テーマになる?
宇宙戦艦ヤマトでは「地球外生命との出会い」が描かれていますが、これは現実の宇宙開発でも探究テーマの一つに入っているようです。
ちょうど、23日にはNASAが重大発表を行いました(日経電子版「NASA、地球に似た7惑星発見 水存在の可能性 」2017/2/23)
【ワシントン=川合智之】・・・みずがめ座の方角に39光年離れた恒星「トラピスト1」の周りに、大きさが地球の0.76~1.13倍の惑星7つが見つかった。1つの恒星系で7つも見つかるのは珍しい。このうち6つは地球に似た質量で、岩石でできているとみられる。赤外線をとらえるNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡などで観測した。少なくとも3つの惑星は地表に水が液体のまま存在する可能性があるという。惑星は恒星からの距離が程よく「ハビタブル(生命が住むのに適した)ゾーン」にある。水が蒸発するほど暑すぎたり、凍るほど寒すぎたりすることはない。トラピスト1は太陽より暗くて冷たい恒星だが、惑星はいずれも地球と太陽の距離より数十分の1の近さで周回する。惑星はちょうどよい温度を保てるという。
他国を見ると、昨年8月30日のAFP通信の記事では、ロシアで地球外生命体がいるという証拠を探す科学者たちの電波望遠鏡が地球から約95光年先にある恒星「HD164595」から強い信号を検知したことが報じられていますし、8月31日の人民日報(日本語版)記事にも、地球外文明からの信号検知に貢献すべく巨大球面電波望遠鏡「FAST」を運用するという話が書かれています。
後者の記事では米国がこの種の予算を削減する中で中国は予算を増やしているぞと自慢げに書かれているのですが、欧米にも「SETI」という、地球外知的生命や地球外文明の探査計画があるので、日本も、本当は、こうしたテーマをもっと本気で扱ってもよいのかもしれません。
日本はもっと宇宙開発できる?
日本の場合「はやぶさ」を打ち上げて小惑星から物質を持ち帰るという限定戦で技術力の高さを世界に実証しようとしたりしていますが、国力から言えば、もっと大規模に取組めないわけではありません。
日本の宇宙予算はだいたい3000億円ぐらい、市場規模で言えば「宇宙機器産業(衛星、ロケット、地上施設等)は3160億円」ほどだと言われています。そして「世界主要国の宇宙開発予算の30~70%は軍事関係」(米・英は72%。仏は33%、独は31%、日本は5%)であり、「 軍事関係の実績が商用に転用される欧米に対して我が国は国際競争において劣勢」だとも指摘されていました。(日本の宇宙産業の現状と今後の展望)
予算額としては他国よりも少ないわけではありませんが、各国は軍事技術開発の成果を商用に転用してくるので、競争相手としては手ごわいわけです。そして、日本の宇宙開発は、一回打ち上げに失敗したら、予算が打ち切られかねない状況の中で進められてきました。
オバマ政権は火星有人探査を30年代に実現させることを目指し、中国は月に探査機を着陸させ、インドは火星周回軌道に探査機を送っていることを考えると、日本にも、もっと大きな目標があってもよさそうです。
宇宙開発は多くのスピンオフを伴うので、他の産業にも大きな恩恵が及びます。衛星放送、天気予報、GPS、車のエアバック、船を守る断熱技術など、宇宙開発から生まれた技術やサービスが様々な方面で生かされているのです。
未来を先取りし、未来を動かすのがSFの醍醐味?
宇宙戦艦ヤマトは日本版のSFの最大級作品ですが、海外の事例を見ると、SFと現実との間でフィードバックや相互作用が生じているケースもあるようです。
「『ターミネーター』の生みの親でSF殿堂博物館の役員でもあるジェームズ・キャメロンは言う。〈中略〉「SFに触発されて、科学者になって存在や物質や現実の本質について問いかけようという人間が出てくるだけでなく、科学が発見したことはSF界にフィードバックされ、まったく新しい世代のSFが紡ぎ出される」(P・W・シンガー著『ロボット兵士の戦争』小林由香利訳 P249)
ここではSFに刺激されて科学者になる人の例が挙げられていますが、ノーベル賞を受賞したポール・クルーグマン博士のように、アイザック・アシモフのSF小説「ファウンデーション」シリーズを読んで、経済学者になろうと思った方もいます。
また、ジュール・ヴェルヌの「月世界旅行」以降、宇宙もののSF小説が流行り、宇宙ロケットの開発に興味を持った人々が出てきたりしたこともありました。20世紀初めにドイツに「宇宙旅行協会」ができ、そこからヘルマン・オーベルトやフォン・ブラウン等の著名な科学者が出てきたこともあります。ヴェルヌは「海底二万里」(1870年)の中で潜水艦ノーチラス号を描きましたが、その40年数年後の第一次世界大戦では、ドイツが潜水艦部隊を本格的に運用したりもしています。
SFが現実社会の人間に影響を与え、次の発明を刺激することもあるわけです。
前掲書「ロボットの戦争」には、携帯電話の発明者マーティン・クーパーが「スタートレック」のカーク船長がダイヤルを回さずに通信機で話しているのを見て、携帯電話を思いついた話や(P239)、「コンピュータがいたるところにある時代が来ることを、『スター・トレック』は世界に教えた」というビル・ゲイツの発言も掲載されています(P242)。
『宇宙戦艦ヤマト』は和風SFなので、スタートレック等とはテイストが違いますが、この映画に触発されて、何か面白いことを思いつく人たちが出てくればいいなあと思います。
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