効果抜群!お焚き上げ人生相談
—— 『妖怪男ウォッチ』出版おめでとうございます。発売からしばらく経ちましたが、読者の反応はいかがですか。
ぱぷりこ 「筆圧が強い」「読むのに3日かかった」「霊圧も強い」などの感想が多いです!
—— 霊圧って(笑)。でも、言いたいことはわかりますね。ぱぷりこさんはnoteで、相手を不幸にする「妖怪男」「妖怪女」との恋愛で消耗している子羊たちの声に耳を傾け、叱咤激励する「お焚き上げ人生相談」を行っています。とにかくどんな相談に対しても、ロジカルかつテンポよく怒涛の文字量で回答しているなと思います。
ぱぷりこ 書いているうちに、いつのまにか1~2万字を超えているんですよね……。
—— とくに人気のトピックというのはありますか?
ぱぷりこ この前、統計を取りました! 最近だと、「[相談28] バツイチモテ子が婚活中。誠実な人と結婚したいけど、つまらない!ときめかない!でも恋愛結婚したい!」がぶっちぎりでしたね。ざっくり相談全体の傾向をわけると、婚活系、初心者系、セフレ系の3つがあります。
—— 今の女性の恋愛の悩みは、婚活、初心者、セフレの3つに分けられると。
ぱぷりこ 3つのどれも、「受け身」であるがゆえに自分の理想とのギャップを抱えているパターンが多いです。「選ばれなくてつらい」という話ですね。キラキラ系港区女子のコミュニティに属している人からも相談はきますけど、そういう場合でも、「同スペックの地味男からは言い寄られるけど、華やかハイスぺとは付き合えない……」という話だったりして。
——「[相談33]広告業界の華やかハイスペに憧れるけど、付き合えない。自分と同スペックの地味男で手を打つべき?」ですね。あれはすごかったです。書籍は女性向けに特化していましたが、noteやブログの読者もやはり女性なんでしょうか?
ぱぷりこ 今はそうだと思います。でも、ブログを始めた当時は男女半々だったんですよ。今よりも多くモラハラ男やヤリチン男の生態について書いていたからだと思います。
男性が読むと「攻略本」になる?
—— 男性はどう読んでいるんでしょうね。「あ、俺もモラハラしてたわ!」って改心するんでしょうか。
ぱぷりこ 「自分もやってるかもしれないから気をつけよう」という感想ツイートをされている人はいますね。それと女性から、「いっしょに住んでる彼氏に見せたら『俺、このなかだとどのタイプ~?』って聞かれた」と言われたことも。インタビューなどで聞かれるのは「ぱぷりこさんの本は、男性が読むと『攻略本』として利用されませんか」ということです。
—— 悪用されてしまうのではないかと。
ぱぷりこ まあ、妖怪男との恋愛というのは永遠のイタチごっこなんです。詐欺もいっしょですけど、手口を知っておくのは大事なので、男性に悪用されるリスクよりは女性が自衛できるメリットのほうが大きいと思いますね。女性には妖怪男に対する情報感度を高めてほしいし、悪用する男が出現したら、我々は我々で撃退法をブラッシュアップすればいい話なんです。
—— 読者の方にもらってうれしかった感想はありますか?
ぱぷりこ 「妖怪男以外の人間と付き合えるようになりました!」「内省して動いた結果、元気になりました!」といった声をいただけるのはうれしいですね。みなさん、行動が速いので驚いています。私の周りには、ぐずぐず言って何も変わらない人が結構いるので。
—— ぱぷりこさんの方法論は「現実的に解決したいと思っているんだけど、そのメソッドがわからない……」という女子にとって画期的なものでした。
ぱぷりこ 恋愛本自体は世に山ほどあふれているんですけど、「運命の恋を引き寄せよう!」「本当に愛される女になるには」といったスピリチュアル方向のものが多く、あまり具体的な解決策を書いてあるものが少ないと、私自身が感じていました。
なので、私の本は「プライベートも仕事もあきらめることなく、受け身にならずに前向きに自分の人生を選択しようとしている」人に響いてほしいと思って書いています。
実際、私自身と同じ東京の女子校出身者の方から多くの意見をもらいますね。まあ、取り上げた「妖怪男」に、都内で遭遇するパターンが多いからなんですが。
—— たしかに、港区に生息している妖怪が多いですね(笑)。
「ハイブリッド妖怪」には最大の注意を!
—— ぱぷりこさんは書籍の冒頭で「自分も恋愛で一万回くらい悩んだ」と書いていました。書籍のなかには妖怪男マップが掲載されており、多種多様な妖怪男が紹介されていましたが、個人的に恨みを持っているタイプはいるんでしょうか?
ぱぷりこ 「メンヘラほいほい男」(※1)と「自称ロジカル男」(※2)がいちばん嫌いです。ただ、憎しみが醸造されて味わい深くなるタイプの男性って、1つのタイプではおさまりきらない器の深さがあるんですよね。ハイブリッドなんです。
※1 「女子に頼られる俺」という自己像を補強するため、依存傾向のある女子と付き合っては陰で「メンヘラ」と呼ぶ男。
※2 自称「論理派」なものの、実際は論理破綻している男。良識のある人間が聞いたら呆然とする内容も、「俺流ロジック」を振りかざし、さも「常識」「論理的に正しい」という態度で詰め寄る。
—— ハイブリッド妖怪!
ぱぷりこ 強くアラートを鳴らしておきたいのが、「メンヘラほいほい男」「恋心の搾取地主」(※3)「プライド山男」(※4)「自称ロジカル男」あたりの複合パターン。本当にやめた方がいいです。こいつらは見下しパワーがすさまじいんですよ。見下し山の主です。
※3 女性からの好意を得ることで自信のなさを埋め、男としてのプライドを回復しようとする男。本命以外の女性にいかにもな恋人扱いをする。
※4 自分より下の女性を見ることで安心し、自分のプライドを保つ男。伝統的モテテク「女は男を立てるべき」ががっつり通用する層。
—— 見下し山! 書籍巻頭のマップにありますね(笑)。このマップ、本当にすごいですよね。妖怪男たちの性質がわかりやすい。
ぱぷりこ 「本を作るならマップを載せたい!」と思って無心でパワポでラフを切りました。本当は「見下しビューポイント」というのを山上に作りたかったんですけど、細かすぎて断念しました(笑)。
見下し山の人って、ある程度の年収や仕事は持っているのに、プライドがめちゃくちゃ高くて、「友達と比べると年収低い」とか「学歴に満足してない」とか「過去にモテなかった」というようなコンプレックスを抱えているんです。それを女性に対してぶつけて支配しようとするので、本当に厄介です。
—— 妖怪男の分類は、いつごろから固まってきたんですか?
ぱぷりこ ブログを書きながらですね。タイプ別のラベリングはもともと持っていたんですけど、マップになるまで落とし込めたのは最近です。
自分も「妖怪男ホイホイ」だったからわかること
—— ぱぷりこさんの恋愛や人間に対する洞察はとても深いと思うのですが、「ぱぷりこ」としてではなく、ふだん外資系OLとして働いているときに人から恋愛相談を頼まれることはあるんでしょうか?
ぱぷりこ ひっきりなしにされます!
—— やっぱり(笑)。
ぱぷりこ えんえんと相談をされ続ける人生です。私が「ぱぷりこ」であることは周囲にも明かしていないのですが、最近、ぱぷりこの記事のURLとともに「俺、この記事読んで自分のことだと思ったんだよね」と相談をされて、さすがにバレたのかとヒヤヒヤしました。
—— ぱぷりこさん自身は、昔からロジカルに自分の状況を判断しながら、恋愛できていたんでしょうか。
ぱぷりこ いや、自分自身もかつては「妖怪男ホイホイ」だったんですよ。今私が「ぱぷりこ」として話していることは、自分が走りながら考えた結果なので。理想の男性像は自分の中にあったものの、好奇心が災いして「自分と違う考えの人がいる! もっと深堀りしたい!」と思って妖怪男に寄り道してしまうことが多く、苦労していました。
—— でも今ではそれを乗り越え、周囲からも恋愛相談されているなかで、ぱぷりことしての活動を始めたわけですよね。そのモチベーションとなっているものは何でしょうか。
ぱぷりこ 結局、データ収集が好きなんですよね。自分と違う考えの人間に会ったときに、それを深堀りしていくのが単純に楽しい。ウェブで相談を受けることにしてから、これまで以上にデータが集まるのが楽しいです。そして、それをアウトプットして積み上げていくと、さらに新たなものが見えてくる。それ自体がライフワークです。
—— 最終的な目標などはあるのでしょうか?
ぱぷりこ 今やりたいのは、ぱぷりことしての活動のなかで蓄積されたデータをもっとちゃんと分析することですね。恋愛データマイニングをしたい!
—— 恋愛データマイニング! 今はいろいろな分野で「ビッグデータ」や「AI」が注目されていますが、まだ恋愛とかけあわせての試みの話は聞いたことがないですね。
ぱぷりこ ですよね。恋愛ビックデータを構築して、きちんとロジカルに悩みの解決策を回答できるbotとかをつくれたらおもしろいなと思います。
—— もちろん、ぱぷりこさん本人にお焚き上げしてもらえればうれしいですが、相談数が大変なことになってますもんね。いつかお焚き上げbotが稼働するのを楽しみにしています!
次回は彼氏の浮気に悩むアラサー女性を迎えての恋愛相談!
「マッチングアプリで浮気していた彼氏に悩んでいます」は2月24日(金)更新予定
構成:平松梨沙
※プライバシー保護のため、写真は編集部員によるイメージ写真となっております。