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このあいだ、スーパーの惣菜コーナーにいたときのこと。小型のスピーカーが設置されており、音声だけのコマーシャルが流れていた。餃子のCMだった。家族で食卓を囲んでいるという設定らしい。子供役の声優が絶叫していた。
餃子、おいし~~~~~い!!!
このCMは十五秒で一周するようで、私が惣菜を選んでいるあいだじゅう、何度も餃子おいしいという絶叫をきかされた。これには参った。
餃子がおいしいことは、天津飯がおいしいことや唐揚げがおいしいことに並ぶ事実だとは思うが、だからといって、店頭のスピーカーで十五秒に一回のサイクルで餃子おいしいと絶叫していいわけではない。
世の中には、「大人の声優が子供を演じるときのわざとらしい声」というものがある。私は昔からそれが少し苦手だというのもある。ふだんは「少し苦手」で済むんだが、延々とループされると明確に苦手になる。
コマーシャルは繰り返し何度も見られる。しかし、あまり繰り返しを意識して作られていないのか。これは一度かぎりのハイテンションを何度も再生するところからくる問題だろう。基本的にハイテンションは二度目から鬱陶しいものである。一度かぎりのものである。
よって、私の考える地獄は血の池でもなければ針の山でもない。ハイテンションCM無限ループである。このスーパーの惣菜コーナーに一時間もいれば私は発狂する自信がある。
たまに、ブックオフに行って本を長時間あさることがある。あのときも頭がおかしくなりそうになる。これは異常なハイテンションというほどじゃないが、妙に明るい口調の店内アナウンスがずっと言っている。
「読まなくなった本が捨てられてしまうのは、もったいないと思いませんか?」
まず、こういう最後でこちらに委ねてくる口調が私は苦手である。明らかに「もったいない」という結論は決め打ちなんだが、「思いませんか?」と形だけ委ねられる。最後だけはこちら側に言わせようとする。それを何度も何度も何度もきかされる。脳にじくじく入ってくる。
もっとも、結論を相手に委ねずに、「読まなくなった本が捨てられるのはもったいない!!!」と断言されても、それはそれで困るかもしれない。「餃子おいし~い!!!」と同じ地獄が生まれそうだ。
読まなくなった本が捨てられるのはもったいな〜〜〜い!!! ブックオフに売れ!!! ブックオフに売れ!!! ブックオフに売れ!!! もったいな〜〜〜い!!! 売れ!!! もったいな〜〜〜い!!! 売れ!!! 読まなくなった本が捨てられるのはもったいな〜〜〜い!!! 売れ!!! もったいな〜〜〜い!!!
売れッッッ!!!
これだと、地獄のどあいは増すか。まだ疑問形だからマシなのか。本当は、もっと静かにしてほしい。とにかくループは精神がやられる。