東京電力は1月30日、福島第一原子力発電所2号機の原子炉格納容器内部の映像を公開しました。詳細については今後の分析を待つ必要がありますが、原子炉圧力容器の下部に設置されている機器類は、既設の位置にあることが確認されました。圧力容器の底が大きく損傷し、燃料の大半が格納容器の下に溶け出すという最悪の状況にはなっていなかったようです。
[会見全文書き起こし]福島原発2号機の原子炉直下に「黒い塊」東電が会見
他の部分に損傷があるのかは現時点では不明
[写真]会見した東電ホールディングスの岡村祐一原子力・立地本部長代理
今回の調査は、圧力容器の下部に燃料デブリ(核燃料などが溶けて固まったもの)が落下していないか確認する目的で実施されました。カメラを搭載したパイプを格納容器の横から内部に入れ、圧力容器の下部を撮影するという方法が用いられています。
圧力容器の下部には、制御棒などを原子炉内に入れるための駆動装置が設置されています。もし溶融した大量の核燃料が圧力容器の底を突き抜け落下していた場合、駆動装置が大きく損傷、あるいは駆動装置そのものがなくなっている可能性が高いと考えられます。
しかしカメラ映像では、部分的とはいえ圧力容器下部の駆動装置がはっきりと映っており、少なくとも装置が大破した状態ではないことが確認されました。ただ、東電は圧力容器の下部全体を確認したわけではないので、他の部分に損傷があるのかは現時点では不明と説明しています。
カメラ映像では、上から水が雨のように落ちている様子も確認できました。現在2号機の圧力容器内部には冷却のため大量の水が注入されていますが、その水の一部である可能性が高いとしています。もし、これが圧力容器からのものであれば、圧力容器内部にある程度、水が溜まっていることを意味しており、圧力容器の底が丸ごと抜けた状態ではないということが想像できます。
構造物には一部消滅している部分も
また、映像には高い放射線下で特徴的な画面ノイズはほとんど映っていませんでした。東電ではこの件についてはっきりとした言及を避けていますが、圧力容器外に大量の燃料が存在した場合、画面には多くのノイズが発生すると考えるのが自然です。安易な結論は禁物ですが、その点からも、大量の燃料が落下した状態ではないことが推測されます。
もっとも、圧力容器下部の構造物に一部、消滅している部分があったり、堆積物が確認できるところもありました。これが溶け出した燃料によるものなのかは今後の分析を待つ必要があり、現時点で詳細は不明です。溶けた燃料による破損であれば、さらに下部に燃料が落下している可能性が高くなります。
東電ではメーカーの東芝とも協力し、映像の詳しい分析を進めると同時に、内部にロボットを進入させ、より詳しい調査を実施することが可能なのか検討する方針です。
(The Capital Tribune Japan)