仕事で出張することが多いので、カバンの中にはいつもスマホの充電ケーブルや、くし、歯ブラシ、爪切りといったものを入れています。
今のところ、空港の手荷物検査で爪切りを持っていることを注意されたことはありませんが、国際線に乗る場合は注意した方がいいと教えてもらいました。
そういえば、夜に爪を切るのは縁起が悪いとされていますよね。
昔から「夜に爪を切ると、親の死に目に遭えない」という戒めがあります。
気になってその理由を調べてみたんですが、これって単なる迷信ではなく、ちゃんとした理由があるようです。
迷信というよりも、周囲への配慮やマナーと言える理由もいくつかありました。
そこで今日は、夜に爪を切ってはいけない理由について書いてみます。
灯りは高価なものだった
電気がない時代の灯りと言えば、ろうそくか油でした。
昔はどちらも高価なものだったので、よっぽどの理由がなければ、暗くなってから灯りを使うことはなかったそうです。
そのため、人々は日の出とともに起き、日の入りと共に寝る生活をしていました。
そんな時代に、わざわざ高価な灯りを使って爪を切るなんて、無駄遣いでしかありませんね。
それに、たとえろうそくや油で灯りをつけたとしても、電気を使った照明に比べたら、非常に暗かったはずです。
そんなところで爪を切ったら、怪我することにもなりかねません。
こうした理由から「夜に爪を切ってはいけない」と言われるようになったそうです。
爪には霊魂が宿る
日本書紀の中に、「謹んで己の爪を収めよ」というものがあります。
日本では昔から、人の体には霊魂が宿ると信じられていました。
爪も体の一部なので、そこにも霊魂が宿っていると考えられていました。
魑魅魍魎が活発に活動を始める夜に、霊魂の宿っている爪を切ったりしたら、いたずらに物の怪を呼び寄せてしまうことになり、悪いことが起こると考えられていたようです。
儒教の教え
儒教の教えに「身体皮膚これを父母に受く」というものがあります。
自分の体は、すべて両親から授かったものだから、むやみに傷つけるのは親不孝にあたる、という教えです。
暗い夜に爪を切って、誤って怪我してしまうようなことがあれば、それは親不孝者ということになりますね。
恐らく、この儒教の教えが独り歩きして、現代も言われ続けている「夜に爪を切ると、親の死に目に遭えない」になったんだと思います。
爪を燃やしてはいけない
昔は、囲炉裏を囲んで食事をしたり、暖を取っていました。
当時の人たちは、切った爪が囲炉裏の中に入るのをとても嫌がりました。
爪や髪の毛には、たんぱく質が含まれています。たんぱく質が燃えると、独特の臭いがします。
今は死者を弔う際、火葬する場合がほとんどですが、以前は土葬することがほとんどでした。
それでも、戦争や疫病の蔓延などの理由で、死者を火葬する機会もありました。
爪が燃える臭いは、火葬の臭いを連想させます。
なので、切った爪が囲炉裏の中に入ると「死」を連想する臭いがするので、囲炉裏や火の近くでは爪を切ってはいけないとされていたそうです。
これって、今はあまり聞くことのないマナーですね。
他にも、死者を弔う際は「納骨」や「納髪」という儀式以外に「納爪(のうそう)」というものもあったそうです。
爪が燃えるということは、やはり死を連想させるということで嫌われていたようですね。
踏むと痛い
薄暗い灯りを使って夜を過ごしていた時代。
切った爪が飛び散ってしまったら、探すのは大変だし、踏むと痛かったはずです。
魂が宿っていた、大切な爪を暗がりの中探すのは大変でしょうね。
夜に爪を切ってはいけないと言われてきたのは、そんな周囲の人への心配りやマナーも理由になっていると思います。
こうして見ると、昔は夜に爪を切っても、いいことが全然なかったようですね。