――1.5kgのカレーを見たことがあるか?
こう問いかけられたら、ほとんどの人が「ノー」と答えるのではなかろうか。
1.5kgって、コカコーラのあの大きいペットボトルくらいの重さ?
そう聞くと平凡に聞こえるかもしれないが、例えば某有名カレー店の標準サイズであるご飯300g+ルー220gを「普通」とすると、だいたい3倍ですからね。
そう、新年一発目の「フクちゃんが行く!」はカレーだ。「全てのメガ盛りグルメの実態を暴く!」という信念のもと、メガ盛りのお店を巡っているフクちゃん(「みんなのごはん」が誇るメガ盛り戦士である)が、今度は約1.5kgのメガ盛りカレーに挑戦するらしい。……どうでもいいけど、メガ盛りというワードが頻発しすぎてゲシュタルト崩壊しそうだな。
ふだんから「カレーは飲み物」と豪語してやまないフクちゃんだが、前回の「肉汁麺ススム」でさらに自信をつけたようで「肉はちょっとキツかったけど、カレーならぜんぜん余裕っしょw」ときわめて悠然とした態度である。
新橋界隈のサラリーマン御用達「花一」
メガ盛りカレーを求めてやってきたのは、新橋の「カレー屋 花一」。13時過ぎに伺ったにもかかわらず、店外にも人が並ぶ盛況ぶりだ。
それもそのはず、こちらのお店ではたった520円で美味しい「ロースカツカレー」をいただけるのだ。カレーだけならいざ知らず、カツまでのってこの値段はなかなかないのでは?チーズカレーに至っては正真正銘ワンコインですからね。
さて、ここまでやってきたのは他でもない、メガ盛りカレーが目的だ。上の写真右下に注目してほしい。
フクちゃんには、+390円でお願いできる「トリプル大盛」にチャレンジしてもらう。トリプル大盛を頼むと、ライス750g+ルー700g=1.45kgにもなる。
いや、重量もスゴいんだけど、それ以上に注目してほしいのが値段。今回はロースカツカレー(520円)のトリプル大盛(390円)なので、まさかの910円。メガ盛りでこれはなかなかの衝撃プライスではなかろうか…!
これにはフクちゃんも「1000円札でお釣りが来る!!!!!」と感動しきりの様子(フクちゃんはいつも自腹でメガ盛りに挑戦しています)。たしかに、普通盛で900円くらいするのが一般的だよな……と花一に並ぶ人が絶えない理由を思い知った。
食券を買ったらお店の人に渡して、席が空くまでしばし待ち。わずか9席のカウンターのみと、店内はけっこうきゅうきゅうなので、サクッと食べてサクッと出るのがスマートだろう。並んでいるとはいっても回転がめちゃくちゃ早いので、すぐ席に案内してもらえる。
食券を買い終えた我々一行も席を待っていたのだが、そんな折、フクちゃんは衝撃の事実を口にした。
「いやぁ、実は昨日の夜ご飯もカレーだったんですよぉ」
さっそく言い訳か…?
「今日のことすっかり忘れてて、うっかりカレー食べちゃったんですよねぇ(てへぺろ)。
まぁ、カレーは飲み物ですから。さすがにトッピングが山ほどのっているとキツイんでしょうけど、カレーとご飯ならぜんぜん余裕ですよ。何食連続でも、どんとこいです」
言い訳どころではなく、余裕宣言だった。
かつてのライバルとの邂逅
席に着いたら、カレーが出てくるのは超絶早い。座るやいなや、というレベルで「お待ちどうさまです~」とカレーがやってくる。
上の写真は520gの「普通盛」なロースカツカレー。カツが大きい!!!
さて、ここで卓上のアイテムをチェック。左からカツ用のソース、福神漬け、辛みスパイスというラインナップだ。ソースはとろみのあるタイプで、赤くない福神漬けはちょっと甘めでマイルドな味わい。辛みスパイスは試していないが、ニオイ的にたぶん辛いやつだ。
筆者は普通盛を頼んだが、周りの人の注文を聞いていたら、だいたいの人が「大盛」を頼んでいた。2人ほど「ダブル大盛」の人を見かけたが、トリプル大盛を注文したのはフクちゃんを除いてただ一人しかいなかった。
その一人とは、フクちゃんのライバル、フナちゃんである。1字違いと紛らわしくて恐縮だが、フナちゃんとは、フクちゃんの前に現れてはその胃袋のデカさを見せつけ、連載を乗っ取ろうと目論んでいる謎の男だ。
フナちゃん「また会いましたね~。このトリプル大盛はまぁ、1kg超えっつってもカレーですからね。飲んじゃえますし、お互い余裕っすよね?w」
フクちゃん「も、もちろんじゃないすかw」
かつてのライバル登場に、少しばかり焦っている様相のフクちゃん。はたして、フナちゃんに打ち勝てるのだろうか…!
少しばかり緊張の走る店内。そして「トリプル大盛お待たせしました~」の声が響き渡る。
いよいよ今日の敵がやってくる……ッ!
こ、これは…ッ!
\ ズバァァァーーーン /
1.45kgのカレーだ。
微妙にサイズ感が伝わりにくいが、これ、けっこうデカイのだ。ご飯にのったカツの大きさから想像してみてほしい。いや、カツもまあまあ大きいからカレーが小さく見えてしまうのだが。
およそ1.5kgのカツカレーと記念撮影するなんて、めったにあるもんじゃない。「これ、予想より重いっすw 手がwww」と感想をもらすフクちゃん。店員さんは配膳するときに手がプルプルしないんだろうか。
普通盛りのロースカツカレーと並べてみた。皿の形状が違うからわかりにくいが、カツは同じ大きさだ。トリプル大盛のご飯はうずたかく積まれ、ルーはまるで海。たっぷたぷに入っている。そしてけっこうお皿が深いのだ。そもそもだけど、普通盛もけっこうボリューミーだよなぁ……。
カレーもご飯もカツも、すべてが絶妙すぎる
1.45kgのカレーを完食するにあたって、フクちゃんには何か戦略があるのだろうか?
フクちゃん「福神漬けはカレーのベストパートナーですからね。タイミング良く食べて、味に変化をもたらそうと思っています」
そういうと、フクちゃんは福神漬けをたっぷり器へ。
1.45kgのカレーを前に、どこから手をつけてよいのかわからなくて固まるフクちゃん。食べ方の順番も、完食のカギを握っていそうなものだが……
フクちゃん「カレーは飲み物。というわけで、飲めないものから先に食べ尽くします」
そう宣言して、フクちゃんはまずカツのみをペロリとたいらげてしまった。
▲カツを食べ尽くし、残るはカレーとご飯のみに。
え、大丈夫なの……?揚げ物ってお腹にたまらない…?
これにはライバルのフナちゃんも「だ、大胆っすね…w」と少し苦笑い。ただし、このカツ、本当に全く重たくないのだ。厚すぎず、薄すぎず、肉を食べている!という感覚はありつつ、サクサクっとイケてしまう。だからフクちゃんも「好きなものは先に食べる派なんです」と、余裕の表情なのか。
ルーはほどよくスパイシー。この辛さでスプーンが止まらなくなる。フクちゃんも5口目あたりからハンカチで額を拭きながらカレーをばくばく食べていた。
ご飯がまた絶妙なのだ。水分少なめでちょいカタめ。これがルーと一緒に食べるのにちょうど良すぎる…!この値段でこんなカレー食べさせてくれるなんて、花一すごいな。
そう、カレーもご飯もカツもすべてが絶妙な仕上がりなのだ。そのおかげでフクちゃんもフナちゃんも順調すぎるくらい順調に食べ進んでいる。フナちゃんに至っては、比喩ではなく本当に飲んでる?ってレベルで早い。
フクちゃんが半分食べ終える頃、フナちゃんの皿は……
!!!
もうあと2~3口じゃない???いつの間に……!
これを見て焦ったのがフクちゃんだ。「いや全然余裕です。自分、後半追い込むタイプなんで、大丈夫っす」と強がってみている。
そうこうするうちにフナちゃん完食。
「ごちそうさまでした。じゃ、先出てますわ」とさっそうを店を後にするフナちゃん。一方のフクちゃんもラストスパート。あと3口くらいのところまできている。
フナちゃんに先を越されたものの、フクちゃんもだいぶ余裕のある表情。汗は尋常じゃないくらいかいていたけど、一度もペースを落とすことなく、きれいに完食……!
フクちゃん「花一のカレーが美味しすぎて、味わっていたらさすがにスピードでは負けちゃいましたね。でもフナちゃんは福神漬けも食べてないわけだし、量ではこっちが勝ってますよ?」
……とのことだ。
こちらとしては、7割くらい食べ進んだところで「やっぱりキツイっすwww」というコメントがほしかったのだが、残念ながら2人とも終始余裕の表情で食べ切ってしまった。ほんと、空気読んでほしい。
とはいえ、1.45kgもするすると食べられてしまうカレーを出している花一こそが、真の意味でスゴいのだと思う。
おまけ:昨日の敵は今日の友
フナちゃん「フクちゃんもまあまあやるじゃないっすか」
フクちゃん「そ、そっちこそ。スピードはなかなかのもんだな」
フナちゃん「じゃ、今回も引き分けってことで」
……すっかり意気投合した2人は、お腹まわりが気になるので黒ウーロン茶で乾杯(※食後なので無意味)。
「今になって胃の中で膨らんできて草」「むしゃくしゃして食べた。後悔はしていない」「それ半分賢者タイムだろw」などと供述しながら帰っていましたとさ。
紹介したお店
店名:カレー屋 花一
住所:東京都港区 西新橋2丁目8-2