動画:坂本龍一さん次世代育成に評価、「音楽は共通言語」
2016年12月22日 13:26 発信地:東京
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【12月22日 AFPBB News】音楽家の坂本龍一(Ryuichi Sakamoto)さん(64)が都内で21日、芸術分野で若い才能の育成に貢献した功績者「アートパトロン」をたたえる「第25回モンブラン国際文化賞(Montblanc dela Culture Arts Patronage Award)」を受賞した。
坂本さんは、オノ・ヨーコ(Yoko Ono)さんや小澤征爾(Seiji Ozawa)さんといった歴代の受賞者について触れ、「並べられてしまうのは面はゆい。いいんだろうかという気持ちが強いが、しっかり受け止めて、これからも精進していきたい」とスピーチ。
東日本大震災で被災した子どもたちで編成された「東北ユーオーケストラ(Tohoku Youth Orchestra)」の代表・監督を務めるなど、次世代の音楽家育成のため精力的に活動してきた坂本さん。しかし本人は、「あまり人を育てようという感覚はない。育てるのは下手」とコメント。「音楽は世界共通言語だというが、世代間でも同じ。年齢による差は感じない。ただ、彼らより経験を積んでいるので、気がついたことがあれば伝える。でも、自分が言っていることが正しいとは思わない。自分自身が明日変わるかもしれないし」と語った。
自らの活動が「アートパトロン」と評価されたことについて「自分がパトロンだと思ったことは今日までなかった」と照れ笑い。しかし、「近年音楽は売れなくなっている。売れるものもあるが、それがいい音楽とは限らない。日本も世界も、いい音楽をやっているひとが続けられなくなってしまうのは悲しい状況」とし、音楽の分野でのパトロンの必要性を訴えた。
また、米音楽界最高の栄誉とされる「第59回グラミー賞(Grammy awards)」に、米映画『レヴェナント:蘇えりし者(The Revenant)』のサウンドトラックで自身3度目のノミネートを果たした件について手応えを聞かれると「こればかりはこちらが選べないので分からない。欲張る気持ちはない。終わった仕事だし、仕事は次々と先に進んでいる」と答えた。
坂本氏は、2014年に中咽頭がんを患い、療養中に楽曲制作を引き受けた。「当然厳しい仕事になるのは分かっていたので、相当迷った」と当時を振り返るが、デビュー時からほれ込んでいたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(Alejandro Gonzalez Inarritu)監督からの依頼ということで決断した。「一緒に仕事ができるのは、たぶん人生に一度。またがんが再発しても仕方ない」と覚悟の上で臨んだが、「作業するなかで体力的にも回復してきた。仕事によって生かされた面もあるかもしれない。才能ある人と一緒にやれる喜びは原動力だ」と振り返った。(c)AFPBB News