【ワシントン会川晴之】トランプ米次期大統領は22日、「核戦力を強化する」と述べた。ロシアのプーチン大統領がモスクワでの軍高官との協議で、核戦力の強化を打ち出した直後にツイッターに投稿したもので、ロシアに対抗心を示した形だ。世界の核兵器の9割を保有する米露両国が核軍拡に走れば、中国など他の核兵器保有国を刺激するのは確実だ。
トランプ氏は「世界が核に関して分別をわきまえるまで、米国は核戦力を大幅に強化し、拡大しなければならない」とツイートした。トランプ氏はプーチン氏と親交が深い石油大手エクソンモービルのティラーソン会長を次期国務長官に指名するなど、対露関係改善を模索すると見られていたが、「力には力」で対抗する姿勢を示した形だ。
ただトランプ氏の報道担当のミラー氏は、毎日新聞の取材にトランプ氏の発言は「テロリストや不安定政権に核兵器が拡散することが脅威だと強調したもの」と語り、核軍拡を進める考えを強調したものではないと釈明している。
プーチン氏はこの日の会合で「戦略的核戦力の能力を強化する必要がある」と述べ、核兵器を搭載できる弾道ミサイルの強化に取り組むよう指示した。特に米国が欧州に配備を進めるミサイル防衛システム(MD)を「突破できる(核)ミサイル」の必要性を強調した。