「欠陥機オスプレイ撤去を求める緊急抗議集会」で、手をつなぎ団結ガンバローと叫ぶ参加者たち=沖縄県名護市で2016年12月22日午後7時46分、野田武撮影
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが13日に沖縄県名護市沿岸部に不時着し、大破した事故に抗議する大規模な緊急集会が22日、名護市の屋内運動場で開かれた。約4200人(主催者発表)が参加し、オスプレイの沖縄からの配備撤回を求めた。一方、米軍北部訓練場(国頭<くにがみ>村、東村)の約半分の返還を記念した政府主催の式典も同じ名護市内の万国津梁(ばんこくしんりょう)館で開催された。
翁長雄志(おなが・たけし)知事は返還式典を欠席し、抗議集会には参加した。沖縄では事故発生からわずか6日後の米軍の飛行再開を容認した政府への反発が広がっている。抗議集会は普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設に反対する翁長知事を支える政党や企業、団体などでつくる「オール沖縄会議」が主催した。
集会に参加した翁長知事は「政府は米軍の要求を最優先にして飛行再開を容認した。沖縄県民を日本国民とみておらず、強い憤りを感じている。政府が返還式典を強行したことは県民に寄り添う姿勢が全く見えない」と訴えた。辺野古移設については「新基地は造らせない。不退転の決意で取り組んでいく」と述べた。
一方、米軍北部訓練場の半分にあたる約4000ヘクタールの返還を記念した式典には、菅義偉官房長官や稲田朋美防衛相、ケネディ駐日米大使らが出席。地元の宮城久和・国頭村長と伊集盛久(いじゅう・せいきゅう)・東村長も出席した。
菅官房長官はあいさつで「沖縄の本土復帰後、最大規模の返還だ。県内の米軍専用施設の約2割が減少し、基地負担軽減に大きく資する」と強調。式典終了後、翁長知事の欠席について記者団に「基地負担軽減を掲げている知事が出席しなかったのは極めて残念。返還(の実現)はそんなに軽い話ではない」と述べた。
北部訓練場の約半分の返還に伴って、オスプレイが訓練で使用するヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)6カ所が残る訓練場内に整備された。事故を受けて、沖縄では改めて配備撤回を求める声が強まっている。【佐藤敬一、田中裕之】