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ブレーキ踏んでなかった 運転ミス断定

事故現場

県警、走行記録装置解析 「事故直前にアクセル踏む」記録

 暴走したタクシーが福岡市博多区の原三信(はらさんしん)病院に突っ込み10人が死傷した事故で、事故直前の走行状況を記録するタクシーの「イベント・データ・レコーダー(EDR)」を解析した結果、ブレーキではなくアクセルが踏まれていたことが捜査関係者への取材で分かった。自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で送検された運転手の松岡龍生容疑者(64)は「ブレーキを踏んだが、止まらなかった」と供述しているが、福岡県警は直前にペダルを踏み間違えた運転ミスが事故原因とほぼ断定し、詳しい経緯を調べている。【平川昌範、佐野格】

 EDRはエアバッグが作動する事故が起こった際、直前の約5秒間のアクセルやブレーキペダルの操作状況や車速、エンジンの回転数などを記録する装置で、松岡容疑者が乗っていたタクシーの同型車には標準装備されている。飛行機のフライトレコーダーに当たり、事故原因の分析に利用されている。

 捜査関係者によると、福岡県警はタクシーの車内からEDRを回収し、警察庁の科学警察研究所(千葉県柏市)にデータの解析を依頼。その結果、事故の直前にアクセルが踏まれ、ブレーキは踏まれていないことを示す記録が残っていた。

 病院の近くで事故を目撃した近所の住民は「タクシーが病院手前で急に加速し、ブレーキランプも点灯していなかった」と証言している。EDRの記録はこうした目撃情報とも合致しており、少なくともタクシーが病院に近づいたころにはアクセルが踏まれて速度が上がり、そのまま病院東館に突っ込んだ可能性が濃厚になった。

 松岡容疑者は一貫して「ブレーキを踏んだ」と供述しているが、県警が専門家を交えてタクシーの車体を調べた結果、アクセルやブレーキ系統に異常は確認されなかった。タクシーには車両の異常をセンサーが検知した際に自動的に記録を残す故障診断装置も搭載されていて県警が解析を進めているが、これまでに異常を示すデータは見つかっていない。

 松岡容疑者は事故直前、病院から約300メートル離れた公園のトイレに立ち寄っており、「公園を出た後、ブレーキが利かなくなった」とも供述。病院から約200メートル手前の交差点では一時停止の標識を無視して進入するところも目撃されている。この時点で既にペダル操作を間違うなどしていた可能性があり、福岡地検は松岡容疑者を来年2月末まで鑑定留置し、体調や精神状態が事故に影響を与えていないかも調べている。

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