​人を嫌いになる理由

時々、接客術の本を読むことがあるbar bossa店主・林伸次さん。どこの本を読んでも「お客さんを好きになる」と書いてあることに疑問を持ったようです。やっぱりどうしても好きになれない人はいるもの。そこで林さんは、どうして人を嫌いになるのか、その理由を考えました。掲載中の石渡康嗣さんとの対談記事とあわせてお読みください。

願望憎悪と同族嫌悪

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

「接客業の極意」みたいな本を読んでいると必ず書いてあるのが、「お客さまの良いところを探して、その人のことを好きになろう」というものです。来店するいろんなお客様の中に「あ、この人ってこういう優しさがあるんだ」とか「この人って見栄をはらない正直な人なんだなあ」って感じで良いところを見つけて好きになると、その好意が相手に伝わって向こうもこちらに好意を持ってくれるので、何かとコミュニケーションがうまくいくんだそうです。

なるほど。とてもよくわかるのですが、人間同士ってそこまで綺麗事ではないと言いますか、やっぱり「好きになれない人」っているものですよね。はい。はっきり言いますと、お客さまの中にどうしても「嫌いな人」っているものです。もちろんそう感じるのは接客業のプロとしては失格なのかもしれません。

でもやっぱりそういう「嫌いな人」っているもので、「どうして僕はこの人を嫌いなんだろう」というのをひたすら分析して、できれば「嫌いな気持ち」を可能な限り少なくするか、あるいは「嫌いな気持ち」を出来るだけ客観視することにしています。

さて、どうして僕たちは誰かを嫌いになったりするのでしょうか。というわけで今回は、その理由を考えてみることにします。

昔何かで読んで「なるほど」と思ったのが、「誰かを嫌いと感じることの全てが願望憎悪と同族嫌悪のどちらかだ」ということです。これ、わかりますよね。まず願望憎悪は、「羨ましいなあ。あんな風に成功してお金持ちになりたいなあ」と本当は思っているのだけど、それを認めると今の成功していないお金もない自分がミジメなので、「ふん、あんな成金大嫌いだ。趣味悪い」とかって思うパターンです。

あるいはわかりやすいところでは「リア充なんて大嫌いだ」というものですね。本当は自分もそうなりたいのですが、「嫌い」と表明することで自分を守っているのでしょう。僕もよくやってしまいます。ほんと、羨ましいとそれを認めたくなくて「ああいうのイヤだなあ」って言ってしまいます。

そして同族嫌悪は、例えば田舎生まれの人が、別の田舎生まれの人を見て「ああ、ホント、ああいう田舎者ってカッコ悪いなあ」って感じるパターンです。その田舎者の中に自分を見てしまうのでしょう。

これは田舎に限らず、隣の県同士の人が嫌いあったり、隣の町同士の人が嫌いあったり、隣の国同士の人が嫌いあったりと、全世界中によくあることです。他の離れた地域の人から見れば、あまり変わらないように見えるのですが、本人たちは嫌っているというパターンですね。これもちろん僕もやってしまいます。自分と似ていたり、同じだったりするとどうも嫌いになるんですよねえ。

ですのでこの願望憎悪と同族嫌悪は「自分の心の中の問題」です。「そうか、自分はあの人みたいになりたいから、でもなれないから嫌いって思っているんだ」とか「そうか、自分とあの人はすごく似ているから嫌いなんだ」って自分の中で客観視できればかなり楽になります。

心を透明にする

確かにこの二つで嫌いな気持ちはかなり説明できるような気がするのですが、やっぱり別の「嫌いな気持ち」もあるなあと思います。

まず、「自分のテリトリーに入ってこられること」が「嫌いになる理由」として大きいと思うんです。例えば「自分が大切にしている人間関係の中に土足で入ってきたり否定したりする」とか「自分が好きなジャンルや大切にしている価値観なんかに土足で入ってきたり否定したりする」といった感じでしょうか。

他にも、やっぱり「自分を軽くあつかわれる」とか「マウンティングされる」とか「上から目線で接される」とかも大きいですよね。これは例えば「やたらと自分の方が詳しいと言ってくる」とか「社会的に自分が地位が上だとアピールされる」って感じでしょうか。これは二つとも「自我が危険を感じている」という状態なのでしょうか。

願望憎悪や同族嫌悪に関しては、自分の中でなんとか解決しなければいけない「ネガティブな感情」ですが、こういう「テリトリーに入ってきたり、マウンティングしてきたりする人」の場合は「戦う」か「逃げる」しかないと思うんです。普通は逃げるというか、「もう交流しない」を選ぶんでしょうね。中には「我慢する」という人もいるのでしょうか。

でもこれ接客の場合、そういう方はお店にくるお客さまなわけで、逃げるわけにはいきません。もちろん戦うわけにもいきません。僕の場合はそういうケースの場合はできるだけ「心を透明にする」ことにしています。マウンティングされても、軽く扱われても、自分のことではないように接します。接客以外でも、学校や職場やご近所みたいな、簡単に逃げることのできない関係性に悩んでいる方は「心を透明にする」をぜひ試してみてください。

ケイクス

この連載について

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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cofii1957 人を嫌いになる理由 #SmartNews https://t.co/wF8RqjInkw 約1時間前 replyretweetfavorite

yougo2021 人を嫌いになる理由 #SmartNews https://t.co/jR2ttHZsA1 約2時間前 replyretweetfavorite

y_ich 人を嫌いになる理由| 約3時間前 replyretweetfavorite

hexagoban 心を透明にする選択。 https://t.co/aQUzLDDNuZ 約3時間前 replyretweetfavorite