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  • 新しい事業がうまれる、世界一の仕組みへ。クラウドファンディングサービス『Makuake』
  • Interview
  • 2016.12.12
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新しい事業がうまれる、世界一の仕組みへ
クラウドファンディングサービス
『Makuake』

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    中山 亮太郎
    2006年入社。社長アシスタントやメディア事業の立ち上げを経て、2010年からはベトナムにベンチャーキャピタリストして赴任し現地のネット系スタートアップへの投資を実行。2013年に帰国後、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングを設立し代表取締役社長に就任。同年クラウドファンディン グサービス「Makuake(マクアケ)」をリリース。

クラウドファンディングとは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、メーカー企業や、起業家・クリエイターが新製品やサービスの開発、もしくはアイデアを実現するための手段として、インターネットを通じて不特定多数の人から資金の出資や協力を募ることをいいます。

2013年5月、サイバーエージェント独自の会議「あした会議」をきっかけに、サイバーエージェントグループとしてもこのクラウドファンディング事業に参入しようと、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングが設立され、クラウドファンディングサービス『Makuake』がリリースされました。

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今回は株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディング代表・中山 亮太郎(なかやま りょうたろう)のインタビューとともに、運営する『Makuake』の立ち上げ背景とサービスについて紹介してまいります。

クラウドファンディング市場の変化

日本でクラウドファンディングサービスが開始され、サービスが浸透し始めたタイミングが2011年3月に発生した東日本大震災の直後。当時は震災の支援金をあつめるためのプロジェクトが多く、クラウドファンディングは、「寄付金集めができるサイト」といったイメージでユーザーに認知されていきました。そういった広がりを見せる中で2013年8月に『Makuake』をリリースしました。

寄付に限らず、スタートアップの新製品や、お店や、映画など様々な領域の事業が徐々に利用してくれはじめた中で、2014年9月には大手メーカーであるソニー社が、柄の変わる電子ペーパーを用いた腕時計「FES Watch」のプロジェクトで『Makuake』を活用し、800人にのぼるサポーターの支持を集めました。大手メーカーがクラウドファンディングを活用するというのは世界的にも珍しかったこともあり大きな話題となりました。これをきっかけにクラウドファンディングは、「寄付金集め」だけのツールではなく、メーカー企業を中心に「新製品のテストマーケティングツール」として活用できるという認知が大きく広がり、その後には中小メーカーやスタートアップメーカーの利用が急増、他の大手メーカーが活用する事例も増えていきました。

最近だと、日経トレンディの紙面においても『Makuake』から誕生した製品やサービスが数多く登場しており、新製品のみならず、新サービス、新店舗、新コンテンツが誕生する仕組みとしてクラウドファンディングはすっかり定着しつつあります。

ソニー「FES Watch」の事例

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※ソニーによる電子ペーパーを使った腕時計のプロジェクト。2014年9月に実施した1回目の募集では、140名の支持で約300万円を調達。2014年11月からの追加募集を経て、あわせて800名の支援を集めFES Watch 800個を完売。約1700万円を調達。

ベンチャーキャピタル時代、東南アジアで感じた日本製品のプレゼンス

僕自身の話をすると、クラウドファンディングサービス『Makuake』を立ち上げる以前は、グループ子会社である株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズで
ベンチャーキャピタルの仕事に従事し、東南アジアを拠点として活動していました。そこで感じていたのが日本製品のプレゼンス低下です。気づけば、東南アジアの現地で暮らす人々、そして自分自身も含めて、携帯電話はアメリカ製品、家電製品は韓国や中国製品を使っていて、日本製品を使うということがほとんどなく、日本人として危機感を感じていました。

「日本のモノづくりの技術は世界と比べてもトップレベルで高いはずなのに、その技術を活用した、画期的な新製品が生み出しづらい環境下にあるのではないか。」そんな課題を個人的にはふつふつと感じていて、「まだ既存にはないチャレンジングな新製品やサービス、店舗、コンテンツがどんどん生まれやすくなるための仕組みって、どうにか構築できないかな」と考えていたタイミングに、丁度「あした会議」で、サイバーエージェントがクラウドファンディング事業を開始することが決まりました。その時に「クラウドファンディングは自分が感じていた課題を解決するためのツールになりえるのでは?」と直感的に思いました。また、参入が決まるとともに、兼ねてからいつかは社長をやりたいと宣言していたこともあって、代表に抜擢いただき、株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングを設立する運びとなります。

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立ち上げ当初は、何が正解かも分からなかったので、とにかくスピード勝負。
約3ヵ月でサイトを構築して『Makuake』をリリースしました。
最初の頃はまだ実績も無かったので、業種を問わず300社近くアポイントにいき、プロジェクトを実行してくれる企業や個人を募っていきました。

まだまだクラウドファンディング市場が日本においてメジャーではなかった当初は、『Makuake』を通し少しずつ成功事例をつくりながらクラウドファンディングという仕組み自体の理解も広めていきましたし、既存の枠組みにとらわれない活用方法なども次々と生み出す事ができました。

その他、『Makuake』を代表する3つのプロジェクト事例

(1) 大手メーカー「JVCケンウッド」の事例

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プロジェクト内容 : (株)JVCケンウッドによる、周囲の音を取り込むことが出来る機能を搭載したワイヤレスイヤホンを制作するためのプロジェクト。
プロジェクト実績 : 楽器を演奏する方は、スマートフォンなどでお気に入りの音楽を聴きながら本製品のマイクで自分の演奏する楽器の音を同時に聴くことができます。同社は、製品化するかが分からなかったアイデアで「Makuake」を実施し、最終的に2,200万円を超える支援を集め大成功。現在社内では前向きに製品化を検討中。大手企業による新製品のテストマーケティングとしての成功事例。

また、大企業をはじめとするメーカー企業以外にも『Makuake』では、飲食店ジャンルや、映画・アニメをはじめとするコンテンツジャンルでも成功事例が多数あります。飲食店や映画ジャンルにおいては国内のクラウドファンディング市場1位の記録を樹立しています。最近では、日本酒ジャンルのプロジェクトも人気で、中には1000万円以上集める日本酒のプロジェクトもあります。

(2) 飲食店「ローストホース」の事例

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プロジェクト内容 : 渋谷にある「馬力屋ロッキー」の店主が独立して、馬肉専門店「ローストホース」を立ち上げるにあたり『Makuake』を活用。
プロジェクト実績 : 「Makuakeで支援した人限定の会員制」と打ち出したことで話題となる。プロジェクト開始9時間で目標金額の300万円を突破し、500万円を突破した1週間後に「これ以上支援が入ると予約が取れなくなる」ということで急遽プロジェクトは終了となるほど。2016年夏に実施した、200名限定の追加会員募集のプロジェクトも開始5分で会員権が売り切れた。(右が第1弾のプロジェクト左が第2弾のプロジェクト

(3) 映画「この世界の片隅に」の事例

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プロジェクト内容 : 片渕須直監督による『この世界の片隅に』のアニメーション映画化を実現するためのプロジェクト。
プロジェット実績 : 2015年3月にプロジェクトを開始し、国内クラウドファンディング市場・映画ジャンルでは最高額となる3900万円以上を調達。2016年11月より主演声優にのんさんを迎え放映以降、満員の映画館が続出し4連続で映画動員ランキング10位以内にランクイン。また11月22日より海外上映を盛り上げるため再度Makuakeを開始。11時間で目標の1080万円を集めて話題となる。現在もプロジェクトは実施中

メガバンクをはじめとする日本中の銀行と20行以上連携や提携!

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現在、『Makuake』では「みずほ銀行」をはじめとする銀行20行以上と業務連携や提携をしています。この取組みは、私がベンチャーキャピタルをやっていた時の経験がヒントとなって開始した取組みです。

ベンチャーキャピタル時代、この事業に投資をするかどうかを判断する際、特に難しいと感じていたことがありました。それは、経営者も情熱的で優秀、ビジネスモデルも理解できる、だけど肝心のエンドユーザーにこのサービス・商品がどれだけ刺さるか・人気がでるかリリースしてみないと分からないことが多くあり、ポテンシャルを図るのにとても苦労したということです。これは、同じく銀行も似たような苦労を抱えているのではと考え、取組みを開始するきっかけとなりました。

取組みの内容は、銀行が顧客としてかかえる企業や飲食店舗に『Makuake』を紹介し、実際にクラウドファンディングを実施してもらい、新製品や新店舗、新サービスに対するユーザーの反応をみてみるというものです。銀行によっては、ユーザーの反響や生の声を実際に確認することが出来るので、融資を判断するための材料として機能することもあると思いますし、お取り引きのある会社の新事業の営業サポートにもなります。

これまで銀行では、新製品を量産する前にエンドユーザーの反応を直接確かめるマーケティングの仕組みをカバー出来ていなかったのですが、『Makuake』を通じてリスクなく製品のヒット可能性を探ることができるという点で、銀行としても新たな事業性判断ツールかつ、営業サポートツールとして『Makuake』に高く期待を寄せていただいています。

『Makuake』が目指す未来

日本には津々浦々、素晴らしい技術をもったメーカー企業が膨大に存在します。
元々は下請けとして、部品や材料をつくっていたBtoB企業が独自の技術を活かし、消費者向けの新製品を開発する、そんなプロジェクトも増えています。例えば、名古屋にある木材の加工業者がその技術を活かし、曲げられる木の手帳をつくるプロジェクトを開始したり、自動車の部品メーカーが金属の表面を加工する技術を活かして、ワインが開きやすくなるデキャンタをつくるプロジェクトを開始したりと、下請けから脱却し、消費者向け製品のメーカーへの転換を試みようとしている企業の事例も増えています。そういった日本特有の素晴らしい技術をもったメーカー企業の後押しも、『Makuake』では積極的に行っていきたいと思っています。

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※名古屋木材社による、木の手帳をつくるためのプロジェクトは、目標金額50万円に対して、350万円を超える資金を集めた。

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※自動車部品メーカーによるデカンタのプロジェクト。「ガイアの夜明け」にも取り上げられ話題となった。

『Makuake』は立ち上げ当初から、「世界をつなぎ、アタラシイをつくる」というコンセプトをもっています。個人も、スタートアップ・中小企業・大企業も、規模は関係なくて、新しいチャレンジをするということはすべて一緒。そんなチャレンジを大きく後押し、『Makuake』を新しい事業がうまれる、世界一の仕組みにしたいとおもっています。

今後、世界で大きく挑戦するためにも、まずは国内で次々と革新的な事業が『Makuake』を通してうまれるようにサービスを成長させていきたいと思っています。

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