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東証一部企業DeNAがやらかしたデマ拡散サイトWELQ(ウェルク)問題にみるコーポレートアイデンティティの大嘘

オピニオン 社会問題

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DeNAが運営するデマ拡散サイト『WELQ(ウェルク)』の問題が、
永江一石の参入によって、あらためて炎上しはじめている。

 

 

この問題は数か月前から、アフィリエイター界隈で話題になっており、限りなくグレーというかブラック(薬事・著作権法)だが、SEOで結果を出しているWELQにたいして、どのような批判が正当かまとまらず、野放しにされている状況が続いていた。

辻正浩氏は重大な病気や「死にたい」等、命にかかわる問題に対して、モラルを逸脱した記事がSEO上位を独占しつつある現実に問題提起していた。

 

また、朽木誠一郎や、BuzzFeed Newsでも、この問題を取り上げている。

「がん」などのインターネットの検索結果で「信頼できる医療情報」を手に入れるために知っておきたいこと(朽木誠一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

無責任な医療情報、大量生産の闇 その記事、信頼できますか? - BuzzFeed News 

 

しかし、このような指摘を受けても、DeNAは該当記事の広告削除のみで、該当記事の削除や、Webサイトの削除は行わなかった。

「死にたい」検索トップの「welq」の記事、DeNAが広告削除 「不適切」指摘受け - ITmedia ニュース

 

そもそも、WELQ(ウェルク)は『ココロとカラダの教科書』と称して、
2015年10月頃に立ち上げられたWebメディアだ。

 

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『welq.jp』は、猛烈な勢いで成長しており(画像はSimilarWeb)、

 

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2016年10月の時点で、すでに日本のドメインランキングで47位に入っている。

はてなブログや、ゾゾタウンに匹敵するドメインレベルで、検索エンジンで上位表示させるSEOに精通した人物の存在が示唆されている。

今週、一番ホットな起業家が語る「次に来るメディア」

 

今回の炎上に至るまでには、辻正浩さんの再度の問題提起から、

 

影響力の強い永江一石さんが参加して、拡大することになった。

 

この再度の炎上で、WELQは運営の見直しを発表したが、
Webサイトは依然閉鎖されず、パクリ問題についての言及はない。

DeNA、健康・美容サイト「WELQ」運営見直し 内容に「医療デマ」と批判相次ぎ

 

ここで、専業アフィリエイターのクロネコ屋氏の言及が興味深い。

かつて「NAVERまとめ」と「2chまとめサイト」が検索上位を独占していた時代がありました。(中略)

しかし、Googleのクオリティアップデートによって「引用ばかりでオリジナルコンテンツのないサイトの検索順位は下げます」というアルゴリズムが加わり、NAVERまとめと2chまとめは検索順位から消えていった(順位が落ちた)…という歴史があります。

クラウドワーキングサイトで安いライターが無限に採用出来る限り、Welq軍団の月1000記事更新は止まりませんし、儲かると分かれば、さらに投資をしてあらゆる検索キーワードを支配しようと徹底的に殺るでしょう。

少なくとも、今後3年はDenaのキュレーションサイト群が検索順位上位をガンガン占領しそうです。

Denaのキュレーションサイト「Welq」群は最強なので今後も検索順位を独占すると予想 | クロネコ屋の月100万稼ぐアフィリエイト講座

 

Googleがつくりあげた『検索』の穴をついて、
ソーシャルゲーム崩壊後のあらたな金脈をみつけたDeNA。

しかし、その金脈はソーシャルゲーム同様、
「カネさえ儲かればいい」というモラルハザードを感じさせる。

 

ここで、DeNAのコーポレートアイデンティティをみてみよう。

Delight(喜び・楽しみ)

私たちのサービスで世界中の人々を喜ばせたい、楽しませたいという思いを込めて、「Delight」という言葉と「DeNA」の共通の頭文字である「D」をデライト・マークにすることで表現しました。

Impact the World(世界規模のインパクトを創出)

日本だけでなく世界中の人々に親しんでもらえる、価値あるサービスを創造していきたい。世界中の人々に親しんでもらえるような手書き風の書体にしたデザインには、そんな私たちの願いを込めています。

世界トップレベルのモバイル・インターネットのノウハウを持つDeNAが、世界中のお客様のニーズを深く理解し、新たな価値あるサービスをスピーディーに作り上げ、喜びと驚きを届けていきたいと考えています。

コーポレートアイデンティティ | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】

 

「私たちのサービスで世界中の人々を喜ばせたい、楽しませたい」という理念は立派だが、「モバイル・インターネットのノウハウ」を駆使して、よのなかにマイナスのインパクトを与えている現実をどのように考えているのだろうか。

 

また、DeNAがこれまでにかたちにしてきたビジネスは、社会に大きなマイナスのインパクトを与えたソーシャルゲームではなかったか。

なぜソーシャルゲーム業界はこんなにだらしないのか 続出する不祥事 度を越す”射幸心煽り” - 伊藤 悟

今年4月中旬、DeNAの創業者で社長を退任した南場智子取締役に疑問をぶつけた。すると、昔から米グーグルを超えたいと言ってはばからない彼女は、こう言って笑った。「ははは。確かにガチャでグーグルやフェイスブックには、なれないわな」

続・行き過ぎたソーシャルゲーム 依然残る「射幸心」 :日本経済新聞

 

射幸心に依存したガチャで、グーグルやフェイスブックになれないのは当然だが、人の不安につけこんだ記事をパクリ含めて安価に量産することで、世界中の人々が喜ぶとは思えない。

 

DeNAが「弁護士ドットコム」みたいに専門家による専門家の記事で構成するようにしていたら、全く炎上もしないどころかたくさんの人に感謝されたろう。が、あったのは

最低のコストと手間で最大の利益

という、まさに反社会的な思想だったわけですね。そこには顧客の幸福とかは全くなかった。儲けて逃げることだけ。ここが最大の問題です。

やってはいけない一線を越えたDeNAのウェルク(Welq)をとりあえず直ちに閉鎖すべき理由(シリーズ第2回) | More Access! More Fun!

 

永江一石氏の指摘は非常に的確だが、それでもクロネコ屋氏の指摘通り、DeNAは今回のごたごたを乗り切る可能性が高い(Google検索では対応しきれそうにない)。

 

だからこそ、この問題にいま気づき、声を上げることができるインターネットユーザーが、じぶんたちの意志を表明すべきだ。

 

ちなみに、ぼくは今年の10月に尿管結石をやった際、検索していちばんに出てきた記事がWELQの記名のない「と思います」「だそうです」であふれた記事で絶望した。

 

次に絶望させられたり、騙されたりするのは、
あなたか、あなたの大切な家族かもしれない。