人の学習については、多くの心理学者や教育学者が研究を積み重ね、その結果を発表しています。
その中でも有名な学習理論の一つが、バンデューラの社会的学習理論です。
社会的学習理論は、他の学習理論に大きな影響を与えた理論で、ソーシャルスキルトレーニング(Social Skill Training:SST)のベース理論の一つにもなっています。
この記事では、バンデューラの社会的学習理論とモデリングについて紹介します。
バンデューラの社会的学習理論とは
社会的学習とは、特定の分化に所属する人が、他人の影響を受けて、所属する文化で適切な態度、習慣、価値観、行動などを身につけていくことです。
社会的学習理論とは、社会的学習について、直接の体験だけでなく、むしろ、他人の行動を意識的に観察し、マネすること(モデリング)で成立すると説明する理論です。
カナダの心理学者アルバート・バンデューラが提唱した理論です。
社会的学習理論が登場するまでの学習理論では、学習する人の行動に対して、外から何らかの刺激が加わること(学習する人が直接経験すること)で学習が成立すると考えられていました。
つまり、何かを学習したい場合、その人が実際に経験して行動しないと学習できないと考えられていたのです。
しかし、社会的学習理論では、学習する人が直接経験せず、他人を観察してマネすること(モデリング)でも学習が成立することに着目しました。
例えば、子供にコップを形や色、大きさで分ける課題にチャレンジさせる時に、最初から子供にさせるより、パパママが先にやるのを見せてからさせた方が学習がはかどることが多いものです。
この例では、子供はパパママをモデルとして行動を観察し、マネをして、分け方を身につけると考えます。
また、モデルの対象は人だけでなく、映画、マンガ、アニメの登場人物などでも成立すると説明しています。
社会学習理論におけるモデリングとは
モデリングとは、他人の行動を観察してマネすることで、行動パターンの学習を目指すことです。
モデリングによって、新しい行動を正確に身につけたり、適切な行動を促したり、不適切な行動を抑制したりすることができます。
モデリングは、大きく4つの過程に分類することができます。
- 注意
- 保持
- 運動再生
- 動機付け
モデリングの過程:注意
モデリングの過程:保持
モデリングの過程:運動再生
運動再生とは、保持した記憶を行動として再生すし、行動を修正する過程です。
運動再生の過程を経ることで、脳内に保持されているモデルの行動(イメージ)と、自分の行動(現実)のギャップに気づくことができます。
そして、イメージと現実のギャップを認識し、現実の行動に修正を加えることで、モデリングの精度を上げることができます。
モデリングの過程:動機づけ
まとめ
バンデューラの社会的学習理論の基礎とモデリングについて紹介しました。
社会的学習理論は、教育現場などを中心に様々な分野に影響を及ぼしている理論なので、基礎くらいは押さえておくと良いでしょう。
また、モデリングの4つの過程を押さえておくと、家庭において子供に新しいマナーやルールを教える際に役立ちます。