22日の米国債市場では来月の利上げが確実視されている。トランプ次期米大統領のリフレ政策で米国の金融引き締めペースが加速するとの観測が背景にある。

  フェデラルファンド(FF)金利先物に基づくブルームバーグの試算によると、12月13、14両日の連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げ確率は100%に達した。5年債入札では最高落札利回りが12月以来の高水準となった。23日には7年債入札が予定されている。債券市場のインフレ期待を示す指標は、2015年以降の最高に近い水準にある。

  トランプ氏は大規模減税に加え、10年で最大1兆ドルのインフラ投資を選挙運動で公約した。8日の大統領選挙での予想外の勝利を受けて、金融市場では国債が急落し、ドルと株が上昇した。連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は先週、利上げが「比較的早期に適切になる可能性が十分にある」と発言した。

  三井住友トラスト・アセットマネジメント債券運用部の栗木英明氏は、トランプショック後にインフレ期待が高まり米国株も上昇したため、米金融当局は利上げしやすい状況だと指摘し、来月の利上げを100%確信していると語った。

  ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、2年債利回りは前日比2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.09%。10年債利回りは2.31%。

  市場のインフレ期待を示す通常の10年債とインフレ連動国債(TIPS)10年物の利回り差は約1.95ポイント。2月の1.12ポイントから拡大傾向にある。

  三井住友の栗木氏は、利回りがさらに上昇すると米国のファンドは予想しているとしながらも、2.3%前後にある10年債利回りは日本や欧州の投資家を引きつけていると指摘した。さらに、トランプ政権の下で財政赤字に対する懸念が強まれば、利回りは2.5%前後に上昇し、10年債とTIPSの利回り差は3ポイントに拡大する可能性があるとの見解を示した。

  ブルームバーグが実施したアナリスト調査によれば、2017年末の10年債利回りの予想は2.5%弱となっている。同調査では直近の予想ほど比重が大きい。

原題:Fed Hike Is Certainty for Bond Traders as Market Odds Reach 100%(抜粋)

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