1. 政府は11月11日、今年の犯罪白書を閣議決定した。
高齢化が進むなか、「お年寄りの犯罪」にも注目が集まる。いったい、どんな数字が並んでいるのか。
法務総合研究所から犯罪白書を入手したBuzzFeed Newsは、その内容を6つのポイントにまとめた。
2. 1.刑法犯罪は戦後最少を更新
2002年に戦後最多の285万4061件を記録した刑法犯の認知件数は、13年連続で減少している。
2015年は109万8969件と前年より11万件減少し、3年連続で戦後最少を更新した。たとえばこんな感じだ。
- 殺人:933件(121件減)
- 放火:1092件(1件減)
- 強盗:2426件(630件減)
- 強姦:1167件(83件減)
- 詐欺:3万9432件(2091件減)
- 窃盗:80万7560件(8万9699件減)
3. 2.いちばん多く検挙されているのは高齢者
年齢層別にみてみると、検挙された人数は65歳以上が4万7632人(19.9%)と最多だ。
社会の高齢化に伴うものであるとも言える。いちばん人数が少ないのは、30代の3万4729人だった。
ただし、10万人あたりの人口比でみると、高齢者の割合は142.5人と最低。20代(321.3人)が最多になる。
ちなみに、受刑者の高齢化率も10.7%と、過去最高を記録している。
4. 3.高齢者の犯罪の半分以上が「万引き」
刑法犯として検挙された女性高齢者(1万6297人)のうち81.2%、男性(3万1335人)のうち45.6%が、万引きで検挙されている。
傷害と暴行は男女合わせて5523件と過去最多。20年前と比較すると、20倍にまで膨れ上がっている。
白書ではこの点について、「激情・憤怒にかられ、頑固さやプライドなどを背景として犯行に及ぶ傾向がある」などと指摘する研究を引用している。
5. 4.外国人による刑法犯罪は微減
2005年に4万3622件と過去最多だった外国人の検挙件数は、1万6017件と前年より4.7%減っている。
いちばん多いのは窃盗の6303件で、全体の66.9%を占めた。次に多いのは傷害と暴行。1017件(10.8%)と、近年は増加傾向にある。
6. 5.児童虐待が過去最多
子どもが被害に遭う犯罪も増加傾向にある。行政などの積極的な取り組みの成果ともみれるが、楽観視できる数字ではない。
なかでも児童虐待で検挙されたのは811人と2年連続で増加しており、過去最多。うち殺人は42人、傷害や暴行は581人だった。
検挙されたのは全体では父親が75.7%だが、殺人では母親が83.3%と高い。実の親による犯行が全体の約6割だ。
7. 6.検挙されたうちの約半数が再犯者
刑法犯で検挙された23万9355人のうち、48%が、過去に検挙された経験(交通違反をのぞく)を持つ再犯者だった。
白書でも再犯防止策は「依然として道半ば」と評価している。なかでも問題視されているのが、高齢者の再犯だ。
2014年に刑務所を出所した高齢者のうち、2015年末までに再び刑務所に入った「再入率」は20.4%で、他の年代よりも高かった(30〜64歳は18.9%、29歳以下は13.5%)。
白書では「出所後の社会生活の立て直しが高齢者では特に困難」であると指摘。重点的な対策の必要性を提言している。