【ワシントン西田進一郎】米国のドナルド・トランプ次期大統領(70)は11日、政権移行チームの新たな体制を発表した。共和党内に幅広い人脈を持つマイク・ペンス次期副大統領を責任者に据えたほか、長女イバンカ氏ら親族4人や側近も登用し、「トランプ色」が濃いメンバー構成となった。また近く、次期政権の重要閣僚の人事を決定することも明らかにした。
重要閣僚、近く人選
トランプ氏は来年1月20日の就任までの約2カ月間で、閣僚や省庁の次官ら約4000人の政治任用ポストの人選をする必要がある。ただ、「政界アウトサイダー」を自負してきたトランプ氏やその周辺と党側をつなぐ人脈は乏しい。党執行部や下院議員の経験があり、支持団体・組織とも深いつながりがあるペンス氏を執行委員会の委員長とすることで、連携して人選を急ぐ考えとみられる。
トランプ氏は11日の声明で、移行チームの目的は「変革を実現できる指導者たちを選び、最高の資質を持った集団を構成すること」と説明。そのうえで「国の再建のために急務の雇用、安全保障、機会創出をはじめ、米国を再び偉大にする作業にただちに着手する」と強調した。ツイッターでは「政権を運営する人々について間もなく非常に重要な決定をする」と述べた。
6人の執行委の副委員長のうち、元神経外科医ベン・カーソン氏は党候補指名を争ったトランプ氏同様、オバマ政権が導入した医療保険制度改革(オバマケア)を徹底批判。ジェフ・セッションズ上院議員は強硬な不法移民対策を主張していることで知られる。執行委メンバーに入ったトランプ家の4人は選挙中も、陣営の戦略構築に大きな影響力があったとされる。
ペンス氏と共に党主流派とのつなぎ役が期待されるのが共和党全国委員長のラインス・プリーバス氏だ。トランプ氏は政権構想を固めていく中で、ペンス、プリーバス両氏を通じて党と協力しつつ、自分の意向を反映しやすい体制作りを目指す狙いがあるとみられる。