おはようございます!
ママ起業専門税理士のあさかわひろきです。
今日は、エステサロンの開業時に知っておいてほしい、備品と税金のおはなしです。
知っていると知らないとでは、その後の税金が全然違ってきます。
エステサロンの備品購入と節税のポイントを学んで、買い物上手になってください。
Contents
1. エステサロンの備品ってなんだ??
念願のエステサロン起業を決意した、あなた!
まずは、色々な備品を準備しないといけません。
単に備品といっても、小さいものから大きいもの、金額も安いものから高価なものまで、想像以上に多種多様です。
例えば、小物類だと、アロマオイル、作業着(制服)、シーツ、タオル、コットン、ガーゼ等々が思いつきます。
業態によっては、ベッド、椅子、エステスチーマー、ホットウォーマー、美顔器等々の機材の導入も考えられます。
さらに、店舗で開業する予定の方や、自宅でも改装するつもりの方は、電気設備、内装工事、看板等の内外装設備も視野に入ってきます。
本当に備品って色々ありますね。
この備品、いつ?いくらまで?経費になるのでしょうか??
意外に知られていないのですが、備品を経費にするのに、税金の世界では一定のルールがあります。
それでは、そのルールを早速、話しましょう!
2. えっ?備品は経費にならない?
買った備品は、どれもすぐに経費になると思っていませんか?
実は、原則、すぐには経費になりません。
備品ごとに経費にできる年数(専門用語で「耐用年数」)が決まっていて、その年数で経費にしなければなりません。
例えば、耐用年数が5年の備品を25万円で買った場合。
買った年(1年目)に経費にできるのは、5万円(25万円÷5年)だけです。あとの20万円(=25万-5万円)は2年目以降に持ち越しとなります。
でも、たった数百円の鉛筆1本買っただけなのに、わざわざ鉛筆の耐用年数を見つけて、経費の計算をするなんて、相当面倒くさいですね。
そこで、以下のように、金額に応じて、割り切ったルールがあります。
3. 鉄板の10万円ルール
1個又は1組10万円未満の備品であれば、買った瞬間、経費にできます。
100均で変える小物から安めのパソコン家電まで、大半の備品は10万円でおさまります。
このルールの恩恵を受ける備品は多いです。
当たり前と思っている「備品は経費」。
実は、このルールのおかげなのです。
4. 意外に知らない20万円ルール
10万円以上の備品を買ったら、面倒くさい計算は避けられないのでしょうか?
実は20万円未満の備品であれば、もう少し楽な計算ができます。
それは、
「どれでも3年で経費」
もし、12万円の備品を買った場合、経費にできる金額は以下のイメージです。
1年目(買った年) | 4万円 |
---|---|
2年目 | 4万円 |
3年目 | 4万円 |
10万円ルールよりかは面倒くさいですが、
- 備品ごとの耐用年数を探さなくてよい
- 3年で経費にできる(通常の耐用年数は3年以上の場合が多いです)
といったメリットがあります。
とはいえ、12万円を払ったのに、1年目に経費にできる金額は4万円なので、なんか損した気分になりますね。
5. 禁断の?30万円ルール
どの方でも適用できるルールは以上の通りです。
しかし、これとは別に、ある条件をクリアした方だけが利用できる特例があります。この特例、なんと30万円未満の備品を、すぐに経費にできるのです。
10万円ルールのパワーアップバージョンみたいですね。
気になる条件は、主に以下のとおりです。
- 青色申告制度の適用者であること
- 1年で適用した30万円ルールの総額が300万円までであること
この辺から見ても、青色申告はやるべきですね。
6. えっと、、よくわからなくなりました、、。
色々なルールがでてきましたが、結局、どうしたらよいのでしょうか?
以下の3つの基本ルールを順番に覚えていれば大丈夫です。
基本ルールその1 :10万円ルールをしっかり利用する。
備品の価格が1個99,999円と100,000円とでは雲泥の差です。性能や機能もそこまで変わらないのであれば、なるべく、10万円未満のものを検討しましょう。
基本ルールその2 :青色申告制度の適用者になって、30万円ルールを上手に使う。
10万円以上の備品でも30万円ルールが使えれば安心です。上限(300万円)はありますが、全額経費にできるので、計算の手間や節税の機会が広がります。
基本ルールその3 :20万円ルールが適用できるか確認する。
10万円以上20万円未満の備品を買った場合で、30万円ルールの上限300万円も使ってしまった場合。
10万ルールや30万円ルールよりは面倒くさいですが、20万円ルールを適用しましょう。
7. 1個?1組?金額の判定
これで、10万円ルール、20万円ルール、30万円ルールの3つのルールが理解できたかと思います。
ところで、このルール。なんでもかんでも1個で金額を判断してはいけません。
1個ではなく複数が合わさってはじめて機能するような備品については、その複数を1組と捉え、その1組で金額を判断します。
例えば、机と椅子の応接セット。机が7万円、椅子が5万円だったとします。
この場合、机と椅子、バラバラで判断するのでしょうか?それとも机と椅子を1組として判断するのでしょうか?
捉え方によって、10万円ルールの適用が変わってきます。
この場合、机と椅子はセットではじめて機能すると考えます。よって、机と椅子は合わせて「1組」です。
つまり、1組12万円(=7万円+5万円)で金額を判断するので、10万円ルールは使えません。
20万円ルールか30万円ルールの適用を考えましょう。
では、1部屋に必要な1枚3万円のカーテンを4枚買った場合、どうなるでしょうか?
これも、カーテンは複数枚合わせって、はじめて機能すると考えます。
結果、1組12万円(=3万円×4枚)となり、これも10万円ルールは使えません。
このように、ルールを適用する際、単位が1個なのか1組なのか、備品の機能を判断してから適用する必要があります。
8. おまけ
「10万円ルールと30万円ルールがあれば十分!20万円ルールって使えないな」
と思った方もいるかと思います。
鋭い意見ですが、税金の世界は、もう少し複雑です。
税金の1つに償却資産税というものがあります。
一定額以上の備品を購入すると、それに税金がかかるのです。
ただし、償却資産税の対象から外れる備品があります。これが、10万円ルールと20万円ルールの備品です。つまり、30万円ルールの備品は、償却資産税に対象になります。
勘のいい方はお分かりですね。
ポイントとなるのは、1個20万円以上30万円未満の備品。このゾーンは、20万円ルールと30万円ルールのどちらも適用できます。
早めに経費にして所得税を抑えたいなら、30万円ルールが有利です。他方、償却資産税を抑えたいなら、20万円ルールがいいですね。
所得税と償却資産税の両方を比べて、トータルで税金が安くなるように選択する。
これが、究極の節税上手かもしれません。