ども。中村です。以前にデジマラボでも紹介したIBMの大本命HR-Tech『Kenexa』。皆様覚えてますでしょうか?
Watson連携で各スタッフのスキルやステータスを可視化、予測することで面接や育成のコストを大幅に下げるとかなんとか…。てな話だったんですが、実は僕らもイマイチ全貌がよくわかっていなかったんですね。
が、なんと今回はそのIBMから直接お呼ばれしまして。これはチャンス!とばかりに直球でアレコレお話をうかがってきました。(※今回長いのでインデックス付けときました)
まずはお呼びいただきありがとうございます。さっそくですが、イマイチ全貌がわからないKenexaについてお話をうかがってもよろしいでしょうか?
そう言って民岡さんが示してくれたKenexaファミリー?とでも言うべき製品群は以下の通り。(といってもこれでも主要なものだけを抜粋してる状態ですが)
以前のデジマラボ記事でも紹介した、スタッフの企業に対するエンゲージメントを測る『Employee Voice』、自然言語によるWatsonとの対話から具体的なキャリアパスをユーザーに示してくれる『Career Coach』。
採用管理の基幹システムとなる『Talent Acquisition Suite』に、Employee Voiceで取得したサーベイデータから様々な人事データとの間の相関関係を分析 ⇒ 「この人このままいけばこんな感じになるかも」「売上成長率を上げるためにはどの課題に最優先で取り組むべきか」という未来予測分析や現状の分析が可能な『Talent Insights』などなど。
なるほど確かに。ここまでHR領域を網羅する機能を搭載していたら、そりゃ説明は難しいかもですね。ガーッと一息に紹介されても、大抵の場合「なるほど大体全部できるんだな」で脳みそフリーズしそうです。
そのデータを取得するために、例えば従業員に対するアンケート作成・収集・分析を担う『Employee Voice』があり、結果を可視化して具体施策に落とすために『Talent Insights』やサーベイツールに付属するアクションプラン生成機能がある。といった感じですね。
なるほどなるほど。
ん? 予測に基づいたマネジメント層への行動指針提示?
て、つまり『こうやったほうがいいよ』みたいな所までKenexaは指示してくれるんですか?
まず目的別にセットされた質問文テンプレートを選択。もしくは『新しく質問を作る』を選択 ⇒ スタッフに聞きたい内容をカテゴリから選ぶと、いくつかの質問文候補が生成されるのでこれをクリック…と。
手順自体はいたってシンプル。
ぶっちゃけこの手のツールは『何を社員やスタッフに質問すれば有効な回答が得られるんだろう?』って設計が一番難問だったりするんですが、Kenexaの場合そこをIBMの培った30年超の研究結果+Watsonによるサジェストでシンプルに解決してるんだとか。
で、出てきた結果は上記のような画面でゴリゴリ分析可能。
ここまではまぁHR-Tech系ツールでは割とよくある構造なんですが、ここからが IBM Kenexa の真骨頂。
長年の産業組織心理学に基づく研究成果を用いた、Cognitive なパワーを見せてくれます。
サーベイ(つまり有効なアンケート)結果に基づき、あらかじめ定義された具体的なマネジメントアクションの提示を行ってくれるんです。
もちろんサーベイ結果のWatsonの分析機能連携も可能。なので、マネージャータスクの管理や、行動結果と人事データの相関関係洗い出し…なんて事もカンタンらしいです。
なにこれすごい。てか、怖い。
やる!ときめるとその進捗や効果などがモニタリングされ、可視化が難しかったマネジメント業務を評価できるようになるイメージですね。
はあぁ。。。さすがIBM。
なるほどこれは確かに『予測(Predictions)』の先。『規範指示(Prescriptive)』ですね。
いままでは経験による判断…ていうかもはや勘頼みなとこがあった人事マネジメント領域において、業界標準データやベンチマークなどの分析結果を適用。
「何やればいい結果がでやすいのか?」をタスクにしてくれるってのは凄まじい革新ですね。
―ここまでできるようになっていたとは…。正直驚いていますが、最新のHR-Tech領域ではもう普通の事だったりするんでしょうか?
新規採用には大きなコストがかかる。だからそのコストを極力下げつつ既存スタッフには長くいて欲しいという事になる。
そうなれば当然、「どんな体験を提供すればいいのか?」という課題に直面し、それを解決するためのデータをどう取得しどうアクションするか?を、どこも求めていくことになるんですよ。
言われてみれば「そりゃそーだ」な話なんですが、これは言い換えればこれまで不可能だったその辺のデータを取得する方法なり技術なりが発展し、ついに取得(≒データドリブンな改善施策)可能になった。ということ。
例えばWatsonと連携した『Watson Career Coach』であれば、音声やテキストでスタッフが投げかけた愚痴やボヤキに対し、以下のような感じで超具体的なアドバイスを返せるようになってるそうです。
※HR Tech2016のデモより。正式リリースは2017年1月以降だそう
嬉しいような恐ろしい様な…。
若干気持ちは複雑ですが、データ的に見てより自分のやりたいことを求められる短縮ルートが存在し、それを上手いこと活かせるなら。。。確かにEmployee Experience(従業員体験)は上がっていくはずですよね。
このアドバイスを正確に人間がやるってのは…まぁ…。難しいというか、残念ながらほぼ不可能ですし。
これは Candidate(応募者)に自身をアピールする動画を緊張しにくい自宅で撮ってもらい、採用面接の1次フローに使う…。というものなんですが、これをKenexaと連携させることで大きな変革が起きようとしています。
さらに将来的には、人工知能が動画内の声色や顔色、表情などを分析し、『自社に合った人材か否か?』などを判断できるようになっていく予定です。
公平性を保ちつつ、企業側と応募者側の双方にコストメリットがある新たな面接手法ですよね。
なんと…動画の分析までされるようになったら完全にSFの世界ですが、そこまで行かなくても現状の機能でも面接セッティングの手間や面接担当・応募者両方の心理的、時間的負荷を最小限にできますね。。。
これにさらに、今後リリースされる予定(2017年1月以降)だというレジュメ自動読み取り&ポジションマッチング予測機能を備えた『Watson Recruitment』が組み合わせれば…。
もう採用時の手間や応募者のイライラって体感半分くらいにできるんじゃないでしょうか…。すごすぎです。
―最新動向の凄まじさはふわっと理解できましたが、例えば「世界と比べて日本ここやばい」みたいな、日本の人事が抱える課題などはあったりしますか?
効率重視の組織、成果主義、終身雇用、即戦力重視、アウトソーシングなど。要するに人事部門が『目先の結果』にとらわれすぎてしまったことにより、組織全体の求心力や人材の潜在力への関心、創造性、長期志向などが弱くなってしまっているんですよ。
結局の所、あらゆるイノベーションは人の創造力によって生まれるものなので、上記のような状態では起こしにくくなってしまうんですね。
今はまさに、このイノベーションをいかにして起こすかが、企業の存続や成長の鍵を握っているというのに。。。。
うーーーーむ。まぁ、長く不況が続きましたもんね。。。
すぐに成果を出さなければ来年潰れるかもしれない。てな状況の中で、何の(データ的)根拠もなく貫き通すのは確かに難しいですし、ある種どうしようも無いような気もしますが。
だからこそ、「こうすればこうなる」というデータ収集と解析が可能になった今、Kenexa / Watson TalentをはじめとしたHR-Tech領域にこれだけの興味と感心が集まっている。ということなんでしょうね。
30年以上IBMが集積してきた企業と従業員の産業組織心理学的な研究データが示す「過去からの知見」と、Watsonが示す「現在データから予測される未来の行動指針」をどう結びつけて活用するのか。
これからの人事に求められる、必須の観点としていきたいですね。
現状、多くの…というかほぼほとんどの企業において現場のマネージャーさん達は忙殺されています。もうそれは大手だろうと中小だろうと関係なく。
だって面接一つ、評価一つとってもとんでもない手間がかかっているのに、その上チーム内のコミュニケーターとしての役割や、時にサポート、時に実務に従事しなくちゃいけないんですもの。もうこれはしょーがないよね。。。
と、上記のように思っていた自分を恥じました。それはもう恥じました。
手間がかかる部分があるなら、それを何とかするのがテクノロジーだ
自動化した先でマネジメント層の「考える時間」と「思考のヒント」つくればいい
その先にこそようやく本来の意味でのマネジメントは可能になるはずだ
Kenexa / Watson Talent、そしてHR-Techに関する民岡さんの言葉全てに、そんな意思がビシビシ込められているのを感じ、一応はマネージャー層の一人として仕事をしている僕自身 ハッと目が覚めたような感覚でした。
HR-Techは単なるコスト低減のための話じゃない。
マネージャーのクビを切るための技術でもない。
人間がより人間らしく、効率よく働くための「考える時間」を生み出すためのムーブメントなんだなぁと改めて認識しました。
民岡さん、IBMの皆さん、お忙しいなかありがとうございました!
Kenexa / Watson Talent…導入しようかな。。。お値段ここには書けないですけど、パルスサーベイ(Employee Voice)だけなら思ってたよりずっとライトに導入できるらしいですし…。
