火災があった神宮外苑のイベント会場=東京都新宿区で2016年11月6日午後8時、本社ヘリから後藤由耶撮影
「中にまだ子どもが」。東京都新宿区の明治神宮外苑で開催されたイベント「東京デザインウイーク2016」の会場で6日、展示物が燃え、5歳の男児が死亡した火災。見学者を楽しませるはずのイベントで起きた惨事に会場は騒然とし、炎上する展示物に向かって、助けを求める悲痛な声が響いた。
燃えた展示物の近くで別の作品を出展していた美術大3年の男子学生(20)は、会場に来ていた自分の家族から「燃えている」と言われて火災に気づいた。ジャングルジムのような木製の展示物が、あっという間に燃え上がり、高さ3~4メートルの火柱が上がったという。近くで40代くらいの男性が「まだ子どもがいる」と泣き崩れていた。
斜め向かいのブースに出展していた男子大学生(21)は「火事だ」という声を聞いて周囲を見たところ、展示物から火が出ているように見えたという。「近くに消火器がなく、誰かが取りに行って戻るまで1~2分ぐらいあり、その間は周りの人も見ているだけの状態になって一気に燃え上がった。こんなことが起きてショックだ」と声を落とした。
埼玉県上尾市の女性会社員(31)は同じ会場で行われるライブに行く時に煙を見た。「中に入って遊べるようで、子どもが好きそうな展示物だと思った。まさか火事が起きると思わなかった」と驚いた様子だった。
東京都練馬区の中学1年の男子生徒(13)は「炎と煙が見え、最初は展示物の演出かなと思ったが、火事と分かってだんだん人が離れていった」と話した。【春増翔太、円谷美晶】